風景37
マウントポジションから振り下ろした鉄槌が顔面に8発入った段階で、緒方の脳裏にふとよぎる。
「アイアン相手にこれ程までに上手くいくものか?・・・いや、そんなはずがない!」
緒方はとっさにアイアン(幻覚)から離れた。優勢に驕らず、天祐に縋らず、八方塞がって、その窮地でこそ安息する。そういった生き方をする者に結果湧き起こる、戦いが上手くいくことへの違和感。そのような違和感が緒方を数秒間支配した。すると更に次の数秒で逡巡した後
「なるほど。そういうことか。」
と呟く。これは決して自分が優勢だったのではない。むしろ罠に嵌められようとしていたのだと。察するに三角締めあたりで返そうとしていたのか、もちろんあの体制でやれることなど数えるほどでしかないが、相手はそれを確実にやってのける男である。事実あれだけの正拳を受けながら、すでに今平然と立ち上っているではないか!“手合わせ”などという甘い考えを持った自分を恥じ、今改めて確信に至る。
「全力で殺しにかかって、ようやく五分だ!」
そう言って再度鋭いタックルで突進していく。
うぁ~ん。つかまっちまうよ~。緒方が殴った瞬間女の子の顔面がぁ、つぶれるのよ。マジでつぶれるのよ。そりゃつぶれるよ。緒方180あるし、ケンカ強いもん。女の子マジ弱いもん。血とか、歯とか辺りに飛び散ってボロボロなのよ~。
だけど、次の瞬間何故か女の子の顔が元に戻ってるのよ。つぶれた目とか折れた歯が元に戻ってるのよ。で、なんでだろうって確かめようとするじゃん。そこですかさず緒方がまた殴るじゃん。顔つぶれるじゃん。わけわかんないじゃん。だけど次の瞬間また何故か女の子の顔が戻ってるじゃん。不思議じゃん。で、なんでだろうって確かめようとするじゃん。そこですかさず緒方がまた殴るじゃん。顔つぶれるじゃん。わけわかんないじゃん。だけど次の瞬間また何故か女の子の顔が戻ってるじゃん。不思議じゃん。で、なんでだろうって確かめようとするじゃん。そこですかさず緒方がまた殴るじゃん。顔つぶれるじゃん。わけわかんないじゃん。だけど次の瞬間また何故か女の子の顔が戻ってるじゃん。不思議じゃん。
・・・ていうのが7、8回やった後。また、不思議なことが起こったのよ・・・。
気づいたらね・・・女の子が大きくなってたのよ。




