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崩壊するドグマとまさおの日常  作者: 和泉書房
秋のこと・再び
21/41

風景21

「おう、わかった。まあ、適当にお前らも休めよ。じゃな。」そう言って、俺は外に出てる部下との電話を切った。駅から続く繁華街の通り。その裏側にある雑居ビルの中で「株式会社バードエージェンシー」と看板が掲げられた一室。ここは臨時ではあるが俺の事務所。そういうことになっている。この21世紀に極道が表立って看板を掲げられるわけもなく、それっぽい名前で部屋を借りてるっていう程度の話だ。

 俺はもとはとある組の雑用みたいな扱いで、新宿界隈を根城にしていたが、先月から関東で外れも外れ、この町に移ってきた。それも組の命令だから仕方ない。

「ハロウィンって気付かない間にメジャーになってますよね。今日は通りも何気にカボチャグッズばっかっすよ。」

「でも、コスプレ見せて騒ぐだけで、大して山場がある祭りって感じでもないし。意味がいまいちわかんねぇ。まあ、今晩も何事もなく平和だろ。」

「確かに。あ、後は俺たちでやりますんで、鳥山の兄貴もお休みになってください。」

「おう、じゃ後は頼むわ。」

 そう言って俺は事務所を後にし、自宅である隣の部屋で一眠りする。もっともベッドとシャワーとトイレ位しか無いが。この町に来るって時、こんな俺でも付いて来てくれる子分ってのが四人もいて。内二人が今晩の電話番という事で隣の部屋に待機させている。残り二人は今外でお嬢さんの陰ながらの警護をさせている。

 俺がいた組の組長、親父には何人かお子さんがいた。その内の一人が京一さんだ。こんな稼業は嫌だからと、大学の時に家を飛び出して外資系IT企業に就職、十数年前のITバブルで独立、成功したってんだから大したもんだ。この町の一番良いところに家を構えて、そこで堅気として暮らしてる。昔二、三度、高田のおやっさんと屋敷に行ったっけ。その頃俺は二十歳手前でまあ、身なりの酷いこと。見るからに不良上がりだったな。毛嫌いされると思ったよ。俺みたいな奴の相手したくないから、あの人家を出たわけだし。ところがね、無愛想な俺にえらい優しくしてくれるんだ。不思議だったね。そのうち何か自分が恥ずかしくなってくるわけ。この人は本来の自分の家を出て、自分で食ってるのに、俺は他人の家に上がり込んで食わせてもらってるわけだから。それから、自分なりに頑張ってきたが、まあ血の気の多い努力だった。組のためとはいえ色々やって、去年まで塀の中だったからな。

 そんな時に引っ越し。まあ、理由は分からないでも無い。よその組との抗争。相手は孝道会という組織。周りの組とは犬猿の中でうちの組も含め何人かやられた。戦争になってもおかしくないんだが、親父はそうはしたくないらしい。だから俺みたいな血の気の多い奴が相手と揉めると不味い。だから一先ず揉め事もなさそうなこの町に、ってことだろう。まあ、考えは分かる。しかし、俺も含め子分達もここで飼い殺しってのはそろそろキツイ。京一さんはもう関係ないんだ。この町じゃ何も無いって。そう思っていた。その矢先、高田のおやっさんから電話がかかってきた。

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