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風景2

 空と海が見える。真っ直ぐに伸びる水平線。もうじき太陽が顔を出すのだろう、辺り一面明るくなってきた。誠に大自然の為せる神秘の時間である。暫くすると水平線から下に太陽が顔を出し始めた。海辺での朝の御来光とは、実に有難いものではないか。心が洗われるようだ。これ以上人生に何を望もうか。金や名誉がなんだ!この美しい一時に比べる価値もない!


「俺、無実です!マジで!」


「テキトーなことぬかしてんじゃねーぞ小僧!」


「無いっす!マジで無いっす!」


「てめ、シャバ僧の分際でうちらの姉さんに手ぇ出すったぁ、わかってんだろな!あぁん?」


「俺潔白だっての!だからぁ、下ろしてください。・・・頭痛ぇ。」


 心苦しいが前言を若干修正させて頂こう!金や名誉は要らないが、命が惜しい!そして、逆さ磔の刑を終わらせて頂きたい!


 まず、格好だ!確かに家を出た時は上下着てたはずだ。はずなんだが、今は何か知らんがパン1だ!で、場所だが、浜辺のどっか桟橋みたいなところの下にある鉄条網の様なフェンスに両手足縛られている。んで、向きが上下逆さまときている。漢字の「大」ってあるだろ?あれを逆さにした格好になってると言えば良いか。要は頭に血が登るのだ!で、この厳つい感じのあんちゃん達なんだが・・・ごめん、初対面なんだわぁ。昨日の帰りに道端で何か絡まれてそのままここに連れてこられた感じだ。


 そんな中、連中の一人が言う


「何か、埓あかねぇし、ちゃっちゃと片付けちゃおうか。」


 ん?何だと?片付ける?


「グッバイ」


 そう言うなり、麻で出来た袋を頭に被せ、首のところで縛りやがった。


「じきに満潮だ。見つかるころには、大方魚に食われて誰かわからなくなってら。さて、お前ら帰るぞ。」


 そう言って、男達が遠ざかっていく音が聞こえた。そして、暫くして波が近づいて来ている。明らかに頭の下に水面ができつつある。そして頭が水に浸かり出し、波が顔を打つまで数分とかからなかった。


 何とか身をよじって、手足をばたつかせ、ほどけ、ほどけと頑張るが、これがびくともしない。おや、何処からともかく綺麗な歌声が聞こえてきた。讃美歌って奴か?いよいよ死を間近にして走馬灯的なあれが働き出したか?でも、俺教会とか行ったこと無いんだけどな。いや、それよりこのままだとヤバい。これどうにかしないとなぁ。

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