「放射能に汚染だと??」
「放射能に汚染だと??」
【はい。あるシステムに使用されていたAIが天才的なハッカーによってプログラムを変更されたことが事件の始まりでした。】
「な、なんであたしと鏡君がそんな世界に行かなきゃいけないの?」
【世界が汚染された現代、人類は深刻なエネルギー問題と格差などの複合的かつ合理的な理由によって、上町と下町に分けられていました。それが幸いし、人工の上位20%は当時の最新技術であるRN粒子を利用したRNカバーを展開したことにより、死亡を免れました。残る人類は宇宙に仮想都市を建設し、転移したのち、放射能が消える200年後、調査に戻ることを決意しました】
「ちょっと、待て。ってことは上位20%以外の人間を見殺しにしたってことか?どう考えても俺の住んでいた世界とは思えないんだけど」
【AIが誕生し、多くの仕事が代替できるようになったことが格差の広がりを加速させました。しかし、人類全体に仕事がいきわたるようなシステムもまた同時に開発されました。人類に技能をコピーする技術。『ボディーメモリ』です。この技術の開発により、もともと優れたエネルギー効率と器用さを持つ人類が劣っていた記憶力を補い、活躍できるようになったのです。この技術を無料で使用するためには条件を付与しました。トラブル回避のために自分の技能を選択しないこと】
「有料で洗濯できるのは富裕層のみ。格差が広がるわけだ」
【技能をBDカードでコピーすればいいのですから学校等の機関は研究者、そして経営者を育成するもののみをのこし、他は廃すことになりました。残った学校機関が置かれた町はやがて上町と呼ばれ、物価の高さから富裕層のみが住む町になりました。そして、労働者が住む町は下町と呼ばれるようになりました】
「理解できた。だが、それが俺の世界だとはおもいたくなかったな」
【200年後、人類は宇宙空間の仮想都市『ユートピア』から地球に調査員を派遣しました。しかし、調査員は死亡。送られてきたデータには異形の動物たち、そして、魔王、姫と名乗る男女がまるで魔法のような現象を起こし、調査員を殺害される光景が移っていました】