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「あああ あ?」
「あああ あ?」
気が付くと妙な白い部屋に立っていた。
部屋の真ん中に一人の女性が立っている。
「里美!!!」
間違うはずもなかった。たとえ、彼女が成人前に川で溺死していようが、一日たりとて忘れなかったからだ。
「・・・・・・か、鏡くん?」
そして彼女も当然、間違えることはなかった。
抱きつく鏡。思考が追いついていなかったらしい里美もすぐに気を取り直したようで鏡を抱き返した。
「こんなとこにいたのか、ばか、探したぞ」
「あんたこそ、なんでこんなとこまで来ちゃうのよ」
抱擁は長く続いた。お互いの存在を確かめ合うように、そして、それぞれの人生の空白を埋めるかのように続く話はとめどなく続いた。
あの扉が現れるまで。