ハッピーハロウィン
どうものんびり+です!
ハロウィンと言う事で書かせて頂きました。
十月三ー日。
世間一般ではハロウィンの日。
本来の意味は俺も詳しくは知らないが、一般的には皆で仮装したり、子供達がお菓子をもらったり、そんなほのぼのした楽しい日。
笑顔が溢れる、陽気で愉快な日。そう思う事だろう。
――だが、それはあくまで一般的にはだ。
ここでののハロウィン……十月三ー日は、楽しくも、陽気でも愉快でも、ましてや笑顔なんてものとは無縁中の無縁。
本来、明るく賑わう筈の俺達が住む村は、現在午後六時、人っ子一人いない。村の家のどこにも明かりは灯っておらず、静寂と暗闇だけが村を包み込んでいた。
今年で、二十年目のハロウィンだ。
そう、二十回目の悪夢のハロウィン。
全ての発端は、二十年前の今日に遡る。
最初の犠牲者は当時の村長さんを始めとした村の子供が三人。
その次の年は、学校の先生と子供が三人。
その次も、さらにまた次の年も、今日までの間、必ずハロウィンの日には大人一人と子供が三人失踪する。
そしてその翌日、つまり十一月一日には、決まって村の広場に計四人の無惨な遺体が見つかるのだ。
そんな悪夢のハロウィンも、今年で二十回目。
次は誰が犠牲になるのか……。
「って、そんなもん決まってるよな……」
独り力無く、呟く。
「もうこの村には……俺しかいないんだから……」
皆……いなくなってしまった。
家族も、近所のおじさんやおばさんも、友達も、皆もういない。
「っは、ははは……」
渇いた笑い声が漏れる。
「もう終わりだな……」
静かな村には、俺の声だけが響き渡った。
……もう良いや。
もう、十分に楽しんだ。
楽しませてもらった。
だから、もう充分満足した。
「っは、ははは……あっはっははははは!」
もう疲れたから、俺も休む事にしよう。
「ハッピーハロウィン!」
俺は手に持っていたナイフで、自分の首を思いっきり切りつけた。
そうして、二十年間続いたある村の惨劇は幕を閉じた。
お疲れ様です。
一応言っておくと、犯人は“俺”です。
だいぶゴリ押しですけどね。
それでは、ありがとうございました。




