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チョコ2 迂闊な少年

ストーリー構成を見直しつつの第二話です。

駆け足に注意しながら頑張って書くのでこれからもよろしくです。

 あれから一週間。あれ以来、俺は彼女といっさい言葉を交わしていない。


 だって、突然なれなれしく話しかけてきてうざいとか思われたくないじゃん。好きな人だからこそ余計に意識しちゃうんだよ。


 でも、だからといって何もしなければいつまで経ってもこのままの関係――いや、もしかしたら誰かにとられてしまうかもしれないのだ。恋は競争というが、誰と競っているのかすらわからないから焦ってばかりいる。あーーもう!


「おい木崎、大丈夫か?」

「え?」


 突然の声に顔を上げると隣の席のやつこと、山野下がいた。


「大丈夫ってなにが?」

「いや、なんか頭抱えてうなってるからどうしたのかと思ったがなんともないみたいだな」

「おう、平気だぜ。サンキューやまのした」

「違ーよ! 俺はやまのかだよ、何回間違えとんじゃい!」


 あれ? そうだっけ?としばらく考えてから思い出す。


 あ、そうだった。こいつやまのかじゃん……。あんまり考え込んでたせいで入学式のときと同じミスしちまった。てか、そっちも悪いだろ。読みにくいんだよ。


「お前のぼーっとした性格は別にいいけどよ、人の名前は間違えんなよ」

「す、すまん」

「あと次、体育だかんな」

「え、嘘!?」

「さき行ってるぞ」

「ま、待てよ!」


 山野下はそう言うとさっさと自分だけ行ってしまう。

 俺は急いで体育着に着替えたが、教室を出た直後に無機質なチャイムが鳴り響く。


▼▼


 俺はその後、体育の担当教師にきっかり叱られた。先生に遅刻した理由を聞かれぼーとしていたと答えると、クラスの奴らは大爆笑だった。彼女も笑ってるようでめっちゃ恥ずかしかった。


「ちくしょう……」


 先生の説教が終わって、俺が戻ってくると山野下が俺の肩に手を置いて言う。


「どんまい」

「いや、どんまいじゃねえよ! もっとはやく言えよ!」

「でも、俺が言わなきゃチャイム鳴るまで気づかなかったろ?」

「うっ……」

 図星をつかれ、思わず目を泳がす。すると――彼女と目があった。彼女は目が合うとすぐに目を逸らしてしまった。


 ……あれ? なんで目逸らし――


「こらー! 木崎!」

「!!」

 教師が怒鳴りつけてくる。振り返ると、男子が100mを走るために集まっていた。


「女子に見惚れとらんではやく来い!」

 教師の怒声が再び響き渡る。クラスメイトはまたもや大爆笑。あのときの俺の顔はきっと真っ赤だっただろう。


 くそぅ! なんであの教師は恥をかかせることばっか言うんだよ!


「それは木崎がぼーとしてるからだろ」

「え!?」

 突然の声に驚いて隣を見ると山野下がいた。


「お前、エスパー?」

「ばーか、んなわけねえだろ」

「じゃ、なんで俺の心の声聞こえん?」

「いや、普通に声に出てたけど?」


 まじか……。どうやら俺は心の声がいつのまにか声に出ていて、さらにぼーとしているらしい……ってなんでだよ! あぶなっかしすぎんだろ!


「? なにして――!!」


 自分で自分にツッコミいれてから山野下をみるとクラウチングスタートの構えをとっている。さすがの俺ももしやと前を見ると、前に並んでいた奴らはもう誰としていなかった。俺が構えをとる前に「ドン!」とスタートのかけ声が聞こえた。っていつ「よーい」言ったんだよ!

 そんなことを考えている間に隣の奴らは一斉に走り出す。俺も急いで走り出そうとして自分の足につまずいて転んだ。

 それはもうド派手に転んだ。頭から突っ込んだ地面に向かってどっかのアニメみたいに見事なまでのズッコケを披露した。


 本日、三度目の怒声と爆笑。俺の心は恋の焦りと現在の恥ずかしさでもうボロボロだった。見ると彼女もくすくすと笑っていた。……もう、駄目だ。立つ気力もない。

 俺は地面に突っ伏したまま、目を閉じた。

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