第五話/いよいよクライマックスだ。/
状況、変化なし。異常、あり。
今日も今日とて、まるで梅雨を引き伸ばしたような雨。
いつまでたっても状況は進展しない。
この変わらない状況にしびれを切らす摘斗さんら村の中心人物。辺りのオーラが変わるほど機嫌が悪い。
『降られたら降り返す?ちゃぶ台返しだ!』とかいってるし。
降雨の影響で、農作物に実害が広がり始めている。いつまでたっても晴れが来ないので、作物が植わったまま腐り始めそうらしい。大変だ。
え……?凶作…?飢饉…?
深刻な食料不足を配給制の開始で補っているものの、商店はみんなシャッター(木だけど)をおろし、村全体がいよいよおかしな空気になってきた。
この配給は他の村からの救援物資らしい。
時は流れて祠での祈祷式の日。
雨の降りしきるなか、村外れの祠に村人が集まった。
この祠は、床が地下深くへ掘ってあり、神の世界に続いているとされている、神聖な場所である。
晴れ乞いの第二弾。もちろん雨は今日も降り続いている。
祈祷師は、名を沖田といい、二足のわらじを履いている。
本当に二足はいているわけではなく、祈祷師と小説家を両方やっているらしい。どちらか片一方では生活が立ち行かないとか。
家は摘斗さんの隣。僕が居候している家の隣である。普段はボサボサの頭に浴衣という乱れた姿が多いのだが、今日は真っ白な着物だ。足元に泥跳ねがあるのがおしい。
やがて祠は、静寂に包まれた。
沖田さんが、お払い棒(?)を振り回して祈っている。
辺りには、静寂と雨の音だけ。
その神聖なる空気を破ったのは、祠の奥から響いた声であった。
「お、桜総卿様!お止めください!」
「私はいく。もやし、ついてこい!」
二人の男だ。
「ぎゃあああああ」
パニックになった沖田さんが叫び声をあげる。
「助けてえええええ」
「おちつけおつちけ」
摘斗さんが押さえているが…摘斗さんも慌てている。
「普通じゃないな、文字通り有難いな」
ちがうでしょうっ!
「いったい何が起きてるんじゃ?」
「わ、わかんないです!?」
「お、女子供は村にもどれ!」
途端に、上を下への大騒ぎになった。
「だ、誰かいるのか?」
そんな中、摘斗さんが覗くと…