第四話/おや?なんでだろう?/
日記を閉じて今の気持ちを一言どうぞ。
「ふーむ。」
……おい。なんのインタビューだよ。
しかも答えになってないし。
閑話休題。
日記は恐ろしいものを語るようだ。
生きてないけど。
僕の愛用の日記帳。この空色の日記帳は、あの転生事件翌日からかきためてある。
もう一ヶ月ほどだ。我ながらよく続いていると思う。
三日坊主覚悟で始めたのだが、暇に任せて書いていたら思いの外続いた。
その日記帳の天気欄。
雨
荒天
雨。
雨だ
雨風強し
雨
風雨
小雨
雨
あめ
雨
あめ
雨。
お分かりいただけただろうか?
僕がやって来た翌日からどうしたわけか雨が降りやまないのである。不思議や不思議。
村の皆さんに聞いてみると。
大村さんは、
「え、ええと、わ、わからない」と。
男の子も
「わかんないよー」と。
村長、摘斗さんもわからないらしい。
こちらは本当のインタビューです。念のため。
一軒一軒訪ねて聞いてみたが、村人全員が知らなかった。
前代未聞の異常事態である。
まあ、自然現象だけどね……。
村長は晴れ乞いを決めた。
三日がたった。晴れ乞いは決行された。
盛大な演出がなされた。
しかし、晴乞いは効果を表さず、雨は降り続く。
こんなに降り続けているのはおかしいと、村の誰もが思っている。
町の店は次第にシャッター状態になってきた。
不作凶作によって、販売する物が無くなったからだ。
空前絶後の事態だ。
町は不穏な空気に支配されつつある。
村人の多くは失業状態。
仕事をしていても、開店休業状態。
そんな中、村の定期会合が行われた。
場所が摘斗さんの家だったので、覗くことができた。
「雨ですね。」
「そうなんじゃが、心当たりのあるもの、おるのか?」
と、摘斗さん。
間髪入れず若い者が手をあげて喋りだした。
「となりのうちで結婚式があった→神様が嫉妬→八つ当たり(今ここ)」
摘斗さんはその発言を一蹴すると、他の発言を促した。
次は、少し年配の方が話し出した。
「家で盛大な夫婦喧嘩がありましてのう。」
「それで、神様がお怒りになられた…あり得なくはないな。」
摘斗さんが何故か食いつく。
「いやいや、あり得ないあり得ないあり得ない重要なことだから三回言いました。」
先程の若い者にあっさり一蹴された。
こやつ、現代人か?
その日の会合はまともなものにならなかった。
もし日記が文字通り『語っ』たら
日記「昨日も一昨日も雨だぞー」
壮樹「へー。」
みたいになりますよね