第二十五話/国王陛下(?)/
「下にイーしーたにー」
「おまえは何をしているんだ」
ふざけている優樹の頭をはたいて、大部屋に入る。ここに、国王陛下がいらっしゃるようです。
跪いたまま、足音で国王が入ってきたのを感じる。
国王(?)が口を開いた。
「…上戸壮樹か?」
「はい。閣下。」
「あの戦いで決定打を放った壮樹か?」
「はい。閣下。」
「実力はどのくらいだ?」
「…ギルド発行のランクはあいにく取得しておりません。」
「年は?」
「…15です。閣下。」
数秒の後、国王の雰囲気が一気に砕けると、びっくりするようなことが起きた。
「同い年なのかー」
「…はい?」
「そうかそうか。やったぜ!」
「…?」
「あ、顔あげて!」
「…はい。」
ゆっくりと目線をあげると、
そこにいたのは、ほぼ同年代の男。かなりの色白。ちょっと弱々しい体つきで、黒い髪はかなり整えてある。
「…同い年…?」
「ああ。今年で15だ。よろしく!」
喜びを隠しきれないようで、口角が緩みっぱなしだ。
「…15で、国王?」
「いや、お父さんが隠居しちゃってな。皇位継承というお運びな訳だ。」
こいつも事情持ちか。
「お疲れさまです、閣下。」
「…閣下ってつけなくていいよ。」
「なんとお呼びすればよろしいですか?」
国王は躊躇いなく言い切った。
「空、でよろしく。あと、敬語は不要だよ」
「…わかったよ、空。」
彼は口元をにへら、と緩めて、こういった。
「…友達、だよ。」
「…ああ。」
彼は突然飛び上がった。
「ぃやったー!友達、できたー!ぃやっほおおぉい!」
「…はい?」
堰を切ったようにしゃべる空。
「初めての友達だから。僕、ずっと、ひとりぼっちだったから。」
「…」
「僕、君の事を知ってからずっと、友達になりたいって思ってたんだ!」
「ありがとう。こちらこそ、よろしく。」
「ありがとう!壮樹!」
そうか、おまえ、ぼっちだったのか。よくわかるよ、その気持ち。
「壮樹、今度、一緒に町へいかないか?」
「あ?うん、喜んで。」
「…いま、反応遅くなかった?」
「気のせい気のせい」
「あ、そっか、はははは!」
根は気さくな感じだ。この分だと、国王の職は辛すぎるんじゃないか?
「ねー、ねー、いつにするー?」
「いつでもいいよ。」
「そうだ、お友達紹介してよ!」
「あ、それは、町へいくときでいい?」
「別にいいよ。」




