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無題  作者: 冒険したい焼きもろこし
第一章/すべてはここから始まった。/
11/84

第八話/なんじゃこりゃ。/

「お前は俺を怒らせた…俺をつつき、侮辱し、威嚇した。そう。あの雨の日。」


いつだよ、と心中で突っ込む。

なにいってんのこいつ。ちょっといじられたぐらいで。

少し上から目線で話を聞いてやろう。


「あの日、俺は覚悟を決めた。必ず復讐すると。俺をいじったやつを、絶対に倒すと。その日まで、雨を続けてやる、困らせてやる、不快にさせてやると。いつか来る復讐の日まで、お前をさがし続け、灼熱の地獄(この世の屑の溜まり場)に落とすと。」


こいつ中二病入ってるのか?

まずそんなに怒ることか?

情緒不安定か?

そんなことで村人を恐怖におとしめたのか?

その行為の罪の重さ、わかってんのか?


おっと、ついつい同じ土俵に乗ってしまった。


ヒーローはクールじゃないとね。


「うるさい。要点を簡潔にまとめてこい」


「つまりはだ。俺はお前を倒すと決めていた。よくも、よくもカタツムリだった頃の俺をいじりやがって…角と頭は出せても、手も足もでない、とってもか弱い俺を…だから、だから、俺はお前を許さない!どやっ!…命に変えても、俺はお前を許さない。お前が倒れる時まで、俺はお前を倒しにかかる!どやあっ!」


かっこいいことはいっているが、中身が中身なだけに決まらない。非常に残念なやつだ。

役者には向いているかもしれない。


「なるほど、俺に非があるわけか。カタツムリの癖に、変なことを言うな、お前。」


挑発してみる。さあ、どう出てくるか?


「うるさい。とにかく、決闘だ。それ以外の解決法は認めん。」


結論。意外とちょろかった。


「あっそ」


「開戦だ」


おもむろに桜総卿が右手をあげる。こちらも戦闘体勢に入る。空気が凍る気がする。後ろの人たちも息ひとつしない。


でも、そんなことを考える暇なんてなかった。


ほんの数秒の間のあと、桜総卿が超高速で手を降り下ろす。その手のひらには、闇であろうか、黒いオーラがかかっている。


「ちっ!」


とっさに左にジャンプ。ジャンピングキャッチの要領だ。野球なんて一体全体なんの役に立つのかわからなかったが、とっさに役に立った。優秀。すぐ右の地面が大きくえぐれる。ものすごい威力だ。


「うぎゃあああ!」


後ろから悲鳴。

まずい。俺が避けたことで、後ろにいた誰かに当たったか。完全に予想外だ。


「っく!」


俺の中で何かが壊れた。関係ない一般人を巻き込むとは…許さない!


同じ土俵に乗った感があるが、気にする余裕はない。


その一瞬の隙が命取りとなった。

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