満月の夜に
明るい赤色の満月…
そこに烏の姿の悪魔がひとり。
満月、それは明るい月しかし…
闇をより暗くする日。
不吉な赤い満月が奇妙な笑みを浮かべている。
満月に照らされた赤い瞳をもつ烏が一羽、
木にとまっていた。
暗い漆黒の夜…
それは魔物や悪魔の日だった。
夜、一人で歩いていた。
真っ暗な道を…。
街灯などなく、月の明かりだけ。
家に帰る途中だった。
木の下を通りすぎるとき、烏が鳴いた。
人は少しビクっとして木を見上げた。
烏は見下ろした
赤い瞳が一人の人間をとらえた。
弱そうな人間に見えた。
烏は不適に微笑んだ。
人間は恐れ…逃げた。
しかし、逃げても…逃げても同じ道。
烏はそれを見て笑っていた。
人間は暫くは必死に逃げていたものの…いつの間にか力はて…
何回めかわからないほど通った木の下にうずくまり…耳をふさぎ…夢であれと願っていた。
「人間の姿は全てを弱くするなぁ。」
烏は言う
うずくまっていた人間は、ハッとして見上げた。
そこには漆黒の翼。
赤い瞳…。
烏の姿はなく…代わりに人の姿をした何かがいた。
人間ではない。
人間は怯えた。
しかし相手は平然とし、うっすら笑みを浮かべた。
「何を怯えている。」
相手は言う
人間は黙っていた。
声が出てこなかった。
恐怖恐怖恐怖恐怖…
相手はその心を察したらしく、呆れたように首を横に振った。
「どうした?そんなに悪魔が怖いのか?」
人間は息を飲んだ。
なんとなくは分かってはいたが、やはり彼は悪魔だったのか。
さらなる恐怖。
悪魔は可笑しいものでも見るように少し笑った。
「恐怖は負のエネルギー。悪魔にとっては嬉しいものだ。」
人間はひたすら黙っていた。
自分の恐怖心が表に出ないように…
「まぁ、同族に恐れられるのは嬉しくない。」
悪魔はいった。
赤い満月の下の、枯れ果てた木の下…
二人の悪魔が赤い瞳で見つめあい、声をだして笑った。
それは魔界の扉が開き、悪魔や魔物がやってくる日。
そんな満月の夜。
悪魔ってさ、何でも出来そうなイメージ