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萬のエロはしその香り   作者: 工口郷(こうこうごう)
第3章 三校合同AV祭
70/73

一子一皮半ムケる(まずは薄皮)

エロは身を助く。エロも積もれば一財産。

工口くぐちの才能は如何に・・・。

 このAV界の人々は、俺の生まれ育った世界の人々の感覚とそれ程違ってはいなかった。俺、千乃工口ちのくぐちが、直ぐにこの世界に馴染めたのはそのお蔭である。

 しかし、この一点についてだけは、その感覚の違いにかなり驚かされることとなった。

 それは勿論・・・、


 人前でスッポンポン姿を晒してもそれ程抵抗感が無い。


 と言うことである。

 

 モノの大小、形、色、被ったり、ペロンとしていたり、etc。

 そんなことも何のその、個々人の顔の違いと大差なしと言った感じで・・・。


 とは言っても全く恥ずかしくない訳でもなさそうなのだ。個人差はあれ、場所や状況によって、または異様に凝視されたりなどすれば、多少は感じる様ではある。だが、俺の元の世界とでは比較するまでも無く雲泥の差がある。


 それを解り易く例えるならば、そう、女性で言えば表面積の小さい水着姿、男性で言えば純白のブリーフ姿をそれ程仲の良くない友人に見られる位の感覚であろうか。ちょっと違っているかもしれないがその近辺だと思う。

 では、何故AV界の人達は裸を見られても恥ずかしくないのだろう?

 と俺は考えて見た。


 思い当たるのは、”あれ”しかなさそうである。


 そう、あれ。この世界の産業の根幹、”AVビデオ撮影大会”の存在に他ならない。


 このAVビデオ撮影大会で撮影されるビデオは基本、スッポンポンになる。しかし、それにも関わらずそれを観る側には年齢制限の規定がな無いのだ。その為、この世界の人達は子供の頃から当たり前の様に異性のあんな部位ところや、こんな陰部ところを頻繁に目にすることになる。まあ、全ての人間の故郷ではあるのだが・・・それは置いといて。


 と言う事はだ。


 と、言う事は慣れるんじゃなかろうか。いや、慣れるだろうよ。

 幾ら何でも”おぎゃ”とあそこから出てきた時から、ずっと見ているんだ。そりゃあ、特別な花園または、甘えん棒にはなり得るはずがない。


 俺にとって、当初、この一点は大きな驚きであったし、今も慣れ親しむには幸いにも至っていないことは、こんな精神構造に産んでくれた親には感謝したい。きっと、あのお袋の息子だ。一生慣れることは無いだろう。そう思いたい・・・。


 ・・・と言うことで、俺が感覚の違いで”一番”と言うか、ほぼ驚いたのはこの視覚的感覚のみであった。


 だが、最近になって俺はもう一つこのAV界特有の感覚に気付いたことがある。


 初めは個人的なものなのかと思い、さほど気にも留めることもなかった事であった。だが、“三校合同AV祭”を控え、最近、色んな部活の応援に行くようになって、それがAV界の常識的な感覚なのだと気付くことになったのだ。

  

 それが何か?


 と言うと、”演技で裸体を晒すことは平気であるのに、高々、セリフを発することに対しては、恥ずかしそうに躊躇ためらう”と言うことである。


 考えて見ると、AVビデオ撮影大会のビデオを見ても会話の類は殆ど見られないし、それに、三校合同AV祭の応援に行った時に各部から出された演技案でも、言葉せりふを含む口から発する”音”については全く無視をしているのである。


 これは、何故だろう?


 まあ普通に考えて、感情を声で表現すことが極度に恥ずかしい。

 そう言うことなのだろうが、それにしても演技である。極端過ぎるのではないだろうか。


 日常を思い起こして見ると、この世界の高校生と言うのはAVビデオに関することを除いては、積極的なタイプの人間は一握りと言っても言い過ぎでは無いし、青春のメインイベントである男女交際の姿など、街角で殆ど目にすることは無い。

 これも、やはり声に出して気持ちを表現することが”恥ずかい”と言うことの影響なのではないのだろうか。

 

 元の世界で裸に対する免疫の乏しかった俺にとって、最初こそAVビデオで自由に裸を見れると言う現実だけで喜びにおつりが来たものだが、最近ではこんな俺でさえも、ただの裸じゃ物足りなくなって来ている。

 そう、感情をもっと出したものを見たいと言う欲求が出てきてしまっているのである。


 稀に、声の漏れが多いビデオを見付けてしまうとエライ儲けた気になってしまう・・・。


 ああ、そうだ。声で思い出したが、俺はいつも暗証番号を入れっ放しなので気にしていなかったが、AVビデオの視聴で、何故か音声を出すのに暗証番号が必要なものがあったはずだ。もしかすると、これが言葉に対する感覚を過敏にしているのだろうか・・・。


 そう言えば、そんな暗証番号の必要なビデオって、”まほまほ”何て言葉を、よく発したりしている気が・・・?


 んっ、待てよ?


 ”まほまほ”って言葉、ミラミと里緒以外から聞いたのは、AVビデオでそんな時だけだった様な気がする・・・。


 あれ?


 もしかすると”まほまほ”って、その系統の時に使う為の言葉なのか?


 ミラミも、里緒も、俺と二人っきりの時に“まほまほ”と言う言葉を漏らしたのは、二人ににとってそう言う状況だったって言うことなのか?


 ・・・・・・。



 あれ?


 ホントに・・・。


 他の感覚の時には使ったりはしないのかな・・・。


★☆ 第24話 ★☆

☆★ ♂ 一 子 ♀☆★

★☆一皮半ムケる★☆

☆★(まずは薄皮)☆★ 


「ねえ、工口君の言ってた、柔軟体操部の蘭香部門らんこうぶもんでの演技の変更のことなんだけど、

 みんなに話してみたらね、面白いからやってみようってことになったの・・・」


 嬉しそうに俺、千乃工口(ちのくぐち)に話しかけて来るのは他でもない、我が”併性へノ路学園高等学校(通称:へ高)”において、堂々の個人ランク1位に輝き、更には、我が柔軟体操部の部長でもある、へ高の大スター千逗里緒様だ。以前とは違い、ここの所ずっとトロケそうに俺に優しいのは、決して錯覚ではない。


 因みに、蘭香部門(らんこうぶもん)とは、2週間後に迫った”三校合同AV祭”の種目の一つ、団体戦のことである。


「・・・”音楽に合わせて”ってところがみんな斬新で、凄くいいなって気に入ってるの。ホンと工口君って凄いなってみんな尊敬してるの↗」


 ちょっと多めの吐息で尊敬と言われると、お尻から前方にかけて、妙な神経が過敏な状態になってしまう。これが結構気持ち良かったり、なんだったり・・・。


 俺は学校行事の“AV祭”、今回は三校での合同開催に至り”三校合同AV祭”だが、このAV祭の演技では「身体の絡みが必須では無い」と言う事を、昨日、合同実施校が下見に来た際に初めて知ることとなった。

 もちろん、実際には多い少ないの差はあれ、全く絡みの無い演技などは無いらしいのだが・・・。


 ただ、それを知って視点が変わった俺はちょっとしたアイデアを思いついたのだ。

 このアイデアの採用有無は我が柔軟体操部にとっては、校内部活ランクを左右する大きな賭けとなってしまうことになる。

 だが、今回はAV界のトッSOD高も参加しているのだ。通常の演技で守りに入ってはトップを取るどころか、二桁順位に甘んじることも有り得るだろう。それは部員全員の意見でもある。であれば、ここは勝負をするのが塩南間子先生率いる柔軟体操部と言うものだ。


 それに、俺は内心イケると踏んでいる。

 それは、基本AV祭の演技も万民の心を奪うことにある。であれば、俺の元の世界とさほど感覚に差の無いこの世界の人達なのだ。きっと目新しいその演技に大きな興味を持つに違いない。絶対にイケるはずなのだ。


 では、そのアイデアとは?と言うと、正直、俺のオリジナルではない。俺の元の世界のパクリだ。

 しかし、パクリで申し訳ないのだが、この世界では誰も知るわけがないのだからパクリだと、敢えて話す必要もないだろう。

 俺の発想が素晴らしいと言う事で、誰も不幸にはならない。しかも、俺の株価は上がる。言う事はない。

 もちろん、成功すればの話しではある・・・。


「いや、そんなこと無いって。演奏隊の三校合同AV祭の開会式の練習を思い出して思い付いただけなんだ・・・」


 それも半分はホント。

 この“演奏隊”とは、吹奏楽部や、ブラスバンド部みたいなものである。AV界のどの高校にも演奏隊と言う団体が存在する。もちろんへ高にもだ。

 ただ、あくまで部活はAVビデオ撮影大会に関した部のみなので、この団体は部活とは別個に演奏の腕に自身のある者達が集まった団体であり、その活動範囲はAV祭を始めとする主だった学校行事での奉仕活動のみで、大会等に出場することは無いし、それに大会事態が存在していない。


 何せAV界では、“AVビデオ撮影大会”が文化と娯楽をほぼ一手に担っている大産業なのだから、そんなものだろう。よって、当然のことながら曲自体も進化していない。単調なものばかりでつまらないものばかりだ。

演奏隊のレパートリーも聞いていて心惹かれるもの等ある訳が無い。

 だが、それでもこの演奏隊が俺のアイデアのカギとなるのである。重要なのは柔軟体操部には、何とこの団体に所属する部員が4人もいるのである・・・。


「工口君は謙遜するけど、他の人とは違うなって・・・、やっぱり、工口君はラミア様にスカウトされた・・・、あっ・・・」


 里緒が言葉を詰まらせる。

 里緒と、ラミア様こと“ミラミ”は、俺の部屋で不運(俺にとって)にも遭遇し、気まずい状況で別れて以来、未だ修復する再開を果たしてはいないままだ。


「・・・スカウトされたんだから、やっぱり凄いなって思っちゃう。それでね・・・」


 里緒は、うっかり口に出した名前に、声を詰まらせ暗い顏になったが、瞬時に元気に取り繕った。あの時、自分で言ってしまった言葉に未だショックなのだろと思う。


 あの時、里緒はミラミに対して啖呵をきったが、相手はこの世界の絶対的な宗教の天使的存在”スカウター様”なのだ。 里緒が平気な訳が無い。それでも、俺の手前、精一杯気にしていない振りをしているのだろう。可愛いヤツだ。


 里緒も普段のアイツを知ればそこまで気を使う相手では無いことが判るはずなのだが・・・、それでも一応あんなヤツでもラミア様である。崇拝されている彼女に対して余計な情報をリークはするべきではないのだろう。

 もしかしたら、俺が知らないだけで、アイツも凄いことが出来るかもしれないのだ。現に空は飛べる・・・。


「その曲なんだけどー、どれにしようかって悩んでるの。私は”コウノトリの海第三楽章”が良いと思うんだけど・・・」


 どんな曲だか全く解らないが、所詮AV界の曲である。大体の検討は付く。それは俺の構想とは残念ながら合わな過ぎる。


「うん、それも良いと思うんだけど、俺に思い当たる曲があるんだ。いいかな・・・」


 作詞作曲までも自前だとは、流石にそこまで言う度胸は俺には無い。ここは正直に言おう。


「・・・実は・・・内緒だけど元の世界の曲なんだ」


 こんな時、里緒は俺の素性を知っているから話が早い。


「わぁっつ、そうなの。じゃあ、それ、これから教えてもらってもいい?

 みんな直ぐに聞きたいと思うの」


「ごめん、それが今日はこれからマッサージ部の応援に行かなきゃならないんだ。だから、明日、披露するからさ、演奏隊の4人に楽器を用意してもらってもいいかなぁ。それと、ギターを1台追加で用意してもらえる?

 それに、分ってるとは思うけど、48部の最近の曲と言うことにしておいてくれないか」


 追加のギターは残念ながらエレキギターではなくクラシックギターに近いものだ。

 自慢じゃないが、こんな俺でもギターは多少弾けるつもりだ。もちろん、謙虚な俺は控えめに言っている。ホントは結構自信があるのだよ里緒ちゃん・・・。


「分ってる。だけど・・・、今日聞けない何て残念。

 でも、マッサージ部の応援じゃ仕方ないものね。じゃあ、戻ったらみんなにそう言っとく。

 でも、早く終わったら戻って来てね。待ってるから・・・」


 心から待っていそうな言葉を残すと、小走りに我が柔軟体操部の練習場件部室の第一スタジオ向かう里緒。スカートの裾がぴょこぴょこと跳ね上が。錯覚でなければ一瞬見えた影はストライプであった。

 それに、何だか俺の体液が過敏に反応してしまう。ドキドキ&ムラムラ、エロエロだ。


 すかさず瞬き二回で残像を大脳へと保存する。


 今日の里緒はいつもに増して可愛いく見えないだろうか?

 再び、スカートの裾が股下の一線を越えて跳ね上がることを期待してしまうから、今日の俺の体液はいつもより液圧上昇中。


 里緒のパンティーは、正直なところ今ここで見なくても時間を合わせれば更衣中や、それに部活の練習中にだって結構横目で見る位のことは出来ることなのだ。因みに更衣室は男女別ではなくて、学年別となっている。


 確かに大自然の景観が飽き無い様に、何度見ても良いものでは良いのであるが、そこまでしなくても毎日そこそこは里緒の大自然は堪能させて頂いている。

 着ているものだっていつもの制服姿だし、スカートが短くなった訳でもない。

 

 なのに、今日の俺はどうしたと言うんだ?


 それに、女性の裸など毎日ビデオで見ている・・・(ゴホン)、演技の勉強の為に見ているし、里緒と出演した第27部の新人大会では里緒は俺の目の前でパンティー1枚の姿になり、俺はその感触を胸で受け止め更に、唇まで重ねたのだ。今更ここで、そんなに覗きたい等と・・・何をそんなに、もっこりエロくなっているんだろうか。


 正直なところ先の新人大会で唇を重ねた時に更に先を欲していた欲求と、今のたかだかパンティーを見たいと言う欲求と差が全くない気持ちだ。

 人間のエロさの現れは事の大小では無いってことなのか・・・?


 未知ならば俺自身理解出来るが、既知なるものだぞ。言ってみれば再放送だ。

 じゃあ、一体何がそんなに・・・?


 まるで二重人格の様に、俺の大脳の気持ちを無視する体液は、身体中央やや下の小頭の指令に従い一部位に収束し、エロ燃料電池を形成していく。

 ストライプの詳細を確認したいと駆り立てる。いや、さらにその先、抱きしめたくてしょうがない。


 体中の関節が里緒に絡まりたいと言っている・・・。

 その先を望む気持ちが俺を支配しようとしている・・・。


 エロ心ってヤツはどうにも、先、先を欲したがって止めどが無い、フィニッシュまでは。

 何故、今パンティーごときで欲求が傾くのだ。


 どうしてだ?

 どうしてこんなに、今日は高ぶるんだろう?


 こんなエロ心だが、今日は何かすごく大切なものの様な気がする。

 それは、俺自身に取ってだろうか?

 演技の為だろか?それだけだろうか?

 それではなく、何か人間に必要なことの様な・・・そんな気がしたりもする。大げさかもしれないが・・・。

 

 里緒の仕草とスカートの跳ね返った見えそうで見えないというもどかしさが。

 里緒の感情が俺の心をくすぐっている。

 次への期待が俺を競り立てる。

 普段より少し鼻にかかった喋りの振動に俺が共振している。


 そうだ。この全ての”シツエーション”が、里緒の清楚なエロさを増幅させているのだ。

 俺の心を強震させているのだ。


 走り出した俺は簡単には止まらない。

 俺の小頭が大脳を支配しようとしている。


 いっかん!

 えいっ、落ち着け、落ち着くのだ工口。

 理性じゃ理性。ここで何が出来ると言うのだ。何も出来まい・・・。


 ただのパンティーじゃないか。お前は既にそれを知っている。

 その少し上だって既に制覇している。


 体液よ集まるな。集合するな。校長の裸だ。校長の裸を想像するんだ。

 左に片寄った、いや・・・。


 分散だ、解散だ。


 ・・・・・・。


 よし、いいぞ。収束しかけた血潮引けていく。引き潮だ・・・。


 次の集合は4時間後、家に帰ってからだ。

 時間は守れ。潮の満ち引き。


 里緒の後姿を上半身を中心に見送りながら俺は人の道を逸脱しなかったことにホッとする。


 それにしても・・・くそ~、何で今日呼ぶんだ!このままひと気のないところに連れ込んで。

 あんなことや、そんなこと。今日なら・・・。いやいや、そんな出来っこない想像をするのは4時間後だ。


 俺は後ろ髪と、尻毛をひかれながらマッサージ部の練習場第二スタジオへと向かうとする。


 へ高の勝利の為とは言え、ステーキの後にらっきょを食べる様なものだ。拙過ぎる。

 お高く性格に難のある稲荷家一子率いるマッサージ部の相手をするのは気が進まない。それに、既に二度も腹立たしい応援を行っている。役目は終えているはずだ。

 それなのに、何でまた・・・。


 宝家たからいえ先生も、俺に何を期待しているのやら・・・。

 因みに、宝家先生は生徒会とマッサージ部の顧問の先生だ。


 今回、俺は校長(代理)と塩南先生、宝家先生に太棒先生と俺の素性を知る3人の3年のAV科を受け持つ先生達から、へ高の勝利の為に直々に可能な範囲で他部への演出協力も頼まれている。

 

 今のところ、俺は元の世界のエロいものを思い起こして、半ば無責任に色々な案を振り絞っては演技の提案をして来ている。かつて元の世界で見たエロ本とインターネット喫茶でのストックが財産となっているのだから、人生って何が幸いするか分らない。

 俺が提供出来るのは、各部の演じるネタまでと言うことになるのだが、ただ、ネタの説明も口頭だけで伝わる訳がない。自ら実演したり大まかな演技指導位はすることにはなる。

 はっきり言って、この実演と言うのが何とも恥ずかしいのだ。


 特にこのマッサージ部の蘭香部門(らんこうぶもん)の演技”ポールダンス”は、いや、思い出すまい。

 あの俺の妖艶なる演技の披露は二度とごめんだ・・・。


 という事で、第2スタジオに到着だ。幾らへ高の校舎が広いとは言え、羽田空港では無いのだからそんなに距離は無い。

 マッサージ部の練習場である第二スタジオは、柔軟体操部の必要以上にご立派な扉とは違い、こちらは現実的なシンプルなスライド式の金属製扉である。

 広さも一回り小さく、例えると、バレーボールのコートを2つ並べた位と言ったところだろうか。広いように思えるだろうが、へ高最大の70名を誇るマッサージ部には高い人口密度だ。

 奥には更衣室と部室が横並びに有り、その横にはつい立式の間仕切りで仕切れる8畳程のスペースがある。


 部員たちは、必死に高さ3メートル程のポールと戯れている。流石に和良の様に旗になれる部員は男子をを含めてもいない。


「やあ、千乃君」


 真っ先に俺を見付け、向かえてくれたのは○塚歌劇団の男役並に高身長、容姿端麗、油の一滴も感じさせない爽やかないい男では無く、女性の宝家たからいえ先生だ。


「あっ、先生、どうも」


 軽く会釈をする俺。

 

「多忙なところ申しわけない。君のポールダンスが部員達にも好評で助かっている。有りがとう」


「いえ、大したことないです」


 何を言ってるんだ俺は・・・。


「そこでなんだが・・・」


 早速、来たぞ。


「・・・申し訳ないが、追加でお願いがあるんだが聞いてもらえないだろうか」


 そう来るか・・・。

 

「そう、それに知っての通り私達の出し物のが、バレてしまったのはご存知よね・・・」


 と、恐らくは自分の連絡ミスが元なのだろうが部員達を睨み付けながらしゃしゃり出て来る生徒会長、及びマッサージ部部長の稲荷家一子。


「・・・これでは、とっても他校を始め観客の度肝を抜くことは出来ないわ」


 などと、買ってな事をのたまってくれる。


 だいたい「度肝を抜くより、他に抜くものがあるだろう」とは思っても言ったりはしない。

 そんなことより、他校だってポールを使用する以外は具体的な演技内容は知らない訳だし、観客に至っては全く何も知らない。だから、当日の演技評価には何ら問題は無いはずなんだが・・・。と俺は思うのだが、ここは余計なことを言ってもいいことはない。黙って聞いてみよう。


「で、何を?」


「私の出場するコンビ部門の演技を考えて欲しいの」


 お前の演技を?新たに演技を考えれってのか?

 簡単に言ってくれる。この間は、自信満々に自分で考えると宝家先生に豪語していたではないか・・・。


 今更、俺の引き出しからはドラ○もんも出なければ、ホリ○もんさえも出て来はしない。くしゃみをすれば壷からハク○ョ○大魔王位なら・・・いや、変な壷を売る人達との付き合いは無い。


「そう言われても、思いつけば出し惜しみをするつもりは無いが、急に言われてもなぁ・・・」


 と考える振り位はして見せる。


「そうだろうな、もう結構、興味のある案は出してもらってるからな。

 私も千乃君のお陰で、AV祭がいつも以上に楽しみなんだ。これ以上考えれって言うのは酷だろうな」


 と宝家先生は俺に理解を示してくれるが、一子は今にも俺に襲いかかりそうな目付きで、何か出せと言わんばかりに見詰めて来ている。

 

 宝家先生の言う通り、今回俺は相当な数の演技を提案している。

 我が柔軟体操部の全演技に、マッサージ部の蘭香部門(らんこうぶもん)にはポールダンス。同じく畳部にはオーソドックスな “殿ご乱心を 浴衣帯解き”、カルタ部には“競技中接触” ロッククライミング部の“人体登り”。コンビ部門では、畳部の“押し売りと団地妻の攻防”。それに、背景部、こたつ部etc・・・。

 今回初めて行う御何おなに部門では、全部を集めての作戦会議まで行った。

 お陰で校内ではエライ有名人になってしまっている。


 まあ、ここまでやってしまっては、今回だけ逃げると言うのは難しいだろうとは俺も思わない訳でもない。

 ここは、何か適当なものでも、言うだけ言ってみるしかなさそうなのだが・・・しかし、そこそこの案を考えなければ他校の度肝を抜けると一子は判断してはくれないだろう。

 一子はしつこいし、それに、最優秀AV大賞を受賞すると、毎週頭にある本番のAV大会への出場資格が貰えると言うとびっきりの副賞が付いているのだ。簡単には引くまい。


 さて、工口どうする?


 ・・・・。


 何か出て来い・・・降りて来い。

 もし、エロ神様がいらっしゃるのならば・・・俺に、この俺に、今すぐ降りて来てくださ~い。お願いしま~す。


 と、言っても、降りて来てくれる訳も無く・・・早く柔軟体操部に、いや里緒のところに戻って、ストライプの詳細を・・・んっ?


 里緒。

 ストライプ。


 なるほど、その手があるか・・・。


 うんっ、それって結構面白くないか?

 色んな意味で・・・面白いだろう。


 よし、それで行ってみよう。


 しかし、恥ずかしがるだろうか?

 いや、一子の図太さなら大丈夫だろう。

 それに、大丈夫で無ければ無い方が面白いかもしれない。


「宝家先生、稲荷家会長、分りました。ちょっと案を思い付きました。

 ただ~、大丈夫かどうか・・・?」


 俺の口調と瞳が気に障ったのだろう。もちろん気合いを入れる為にワザとやったのだが、一子の目付きが変わった。


「失礼な!私に出来ないとでも言うの?・・・」

 

 よし、よし、乗って来たぞ。

 俺好みのシツエーションは、ちょっぴりマニアックかもしれないぞ。


 覚悟はいいか、一子。


 これから羞恥の皮を俺がムク。


 そして、お前のエロさを増幅させて見せる。


 まずは薄皮からだ・・・。


<つづく>


次回は久々にR15チックになりそうです。

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