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萬のエロはしその香り   作者: 工口郷(こうこうごう)
第2章 初演
25/73

立位体前屈とおしり

柔軟体操部で正解だったのか?

昨日、俺(千乃工口ちのくぐち)は流されるままにAV界と言う異世界に来てしまった。


 勝手の分からないこの”AV界”と言う世界。

 だが、不思議とトントン拍子に事が運び、今、俺は”併性へノ路学園高等学校へいせいへのじがくえんこうとうがっこう”通称”へ高”の転入が決まり、”柔軟体操部”の部活を見学するまでに至っている。


 柔軟体操部とは、俺が成り行きで所属することになった部活なのだが、なんとこの柔軟体操部は校内ランク第1位と言う成績で、その為、高待遇を得ていると言うのである。

 偏見かもしれないが、”柔軟体操”なのにである。


 果たしてこの柔軟体操部が、ただのストレッチを行うだけの部と言う解釈でいいのだろうか?

 それだけで1位になれるものだろうか?


 俺にはこの”校内順位”と言う、格付の意味するところが未だ不明である。

 分っているのは、この格付けが人気順ではないと言うことだけである。


 それに、学年第1位と言うことで”柔軟体操部”部長の千逗里緒せんずりおが、今回の”AV撮影大会”の学校代表に成ったのだが、学年1位とは一体何の成績なのだ?

 まさか、定期テストの成績だけで決まる何てことはないだろう。


 俺は未だ何一つとして、この疑問の解決に至っていない。

 

 それに、柔軟体操部顧問の塩南先生の方針が、”美”と言う名の”エロ”に向っているのは間違いなさそうなのだ。

 その方針の意味するところは、一体何なのだろうか?

 さらに、新入りの部員の俺に意見を求めるてくる意味も不明だ。

 

 謎は深まるばかりである・・・。


 今、塩南先生の発案の元に制服で行う”へノ路高体操”が終わり、部活本番に備え、部員達は着替えに行ったところだ。

 

 どんなコスチュームが俺の目の前に登場するのだろうか。

 謎と一緒に期待が膨らんでいく・・・。

 

★☆ 第 17 話 ★☆

☆★ 立位体前屈 ☆★

★☆ ♂ と ♀ ★☆

☆★  おしり  ☆★


「は~い、ではストレッチ始めま~す」

 更衣を終えて整列した部員達が部長の里緒に従い、体操体系に列を開いていく。


 そして、何のことはない。

 始めたストレッチは、俺が自分の世界の陸上部で行っていたものと、全く代わり映えがないのである。

 色気の欠けらもない・・・。

 

 えっ?!

 思わず口を開きそうになってしまった口を、俺は右手の力を借りて元に戻す。


 塩南先生、”へノ路高体操”との趣向と違い過ぎではないでしょうか?

 そう抗議の心を顔に出し、先生の顔色を伺って見るが、先生はにこやかにふわふわしているだけである。


 残念ながら、このストレッチはこれで良い様だ・・・。


 と言うことは、この柔軟体操部は”へノ路高体操”だけが、塩南先生の遊び心が含まれているだけで、特に何の変哲もない”柔軟体操部”と言うこなる。

 

 うっそ~・・・。

 吹き出しの様に膨らみかけた、俺のあらゆる思考がしぼんでいく。それと行動を共にしていたハード的部分も以下同文。


 確かに先程までの塩南先生の発言は、エロに向っていたはずなのである。


 なのに、なぜだ?!


 部員達が着替えた姿も、これぞ学校指定のジャージと言わんばかりの上下コバルトブルーのオーソドックスの安物である。目を疑う限りである。


 確かに校長室からアルパカ組の教室に向う時に、「柔軟体操は柔軟体操」だと言っていたが、その言葉には形容詞一つの修飾も隠されていなかったと言うことなのか・・・。

 

 だめだ、落胆で呼吸が苦しい。


 早とちりだったのだ・・・。

 せっかく取り戻した高校3年の青春を、ストレッチに燃やさなければならないと言うのか・・・。


 俺は外見上の平静を保つのに必死だ。


 ただ、気になるのは塩南先生もジャージ姿に着替えて来たと言うことである。

 しかし、いくら着脱容易なジャージを身にまとって来たとしても、先生がそれを駆使した芸を見せてくれたりはしないだろう。

 重箱の隅を突っつく様な期待は、空しいだけだ。 


 先生は相変わらずふわふわと部員達の周りを飛び回っている。

 俺の気持ちも知らずに。

 恨めしい・・・。

 

 やはり、俺はマッサージ部を選択するべきではなかったのか?

 もちろん、太棒先生の畳部等訳の分からない部は、もちろん眼中には無い。


 ここは手堅くマッサージ部だったかもしれない。

 柔軟体操部の選択は余りにもアドベンチャーであった。


 男女比からいくと部員もその比で構成されているに違いない。肉体的接触の可能性はマッサージ部の方が断然高かったはずなのだ・・・。


 そうだ、


 揉みつ揉まれつ、組んず解れつ、雨アラレ。

 あんな処も、こんな処も影日向、本人同士の意思次第・・・etc。


 と言うこともあったかもしれないのだ。


 失敗だ・・・。


 これでは俺は毎年新学年を迎えた時に、1年間の後悔でブルーな気持ちに追い詰められていくのと同じ心境だ。今は11月なのだぞ!


 俺は完全にG2戦士に騙されてしまった。

 塩南先生にやられてしまったのだ。


 なぜ、あの時、部活を決める時に平常心が働かなかったのだろうか。

 これでは、先程まで溜まり溜まっていた質問も、回答をもらう前に半減である・・・。


 そんな、幾ら後悔してもし足りない後悔に苦しんでいる間に、


「は~い、ストレッチ終了」

 里緒の声で、部員達は各自行っていたストレッチを終えてしまった。再び整列をする。


 これで、部活は終了なのか?

 期待を裏切って、普通のストレッチで終わってしまうのか?


 しかし、まあこんなノーマルなストレッチを眺める位であれば、早く帰ってこの世界で楽しく暮らして行く対策を考えた方がいい。その前に今日の宿泊先も探さねばならないのだ。


 だが、第一スタジオの時計は、まだ午後2時を指したばかりである。

 先程の塩南先生の話では、午後3時までのはずであるが・・・。

 

 そんなことを考えていると、整列した部員の半数強がスタジオの奥の扉に入って行き、中からマットを運び出して来た。


 恐らく1年生部員思われる。次から次へと運び出してくる。

 それを恐らく3年生部員と思うが、彼女らの指示に従って2年生部員がスタジオ内に敷き詰めていく。

 やはりAV界も運動部の年功序列は厳しい様だ。


 何を始めると言うのだ?

 今、里緒の掛け声と共にストレッチが終わったところである。と、言うことは柔軟体操部のメイン活動は終わったはずなのだが・・・。


 このマットは、丁度寝具のマットレスと同じ大きさである。

 良く見ると、生地も薄手で花柄である。寝具のマットレスそのものに見える。


 昼寝か?まさか・・・。


 では、何故運動部がマットレスを敷き詰めるんだ?

 何故体操用の白いマットではないのだ?


 何だ?

 何か、起こるのか?


 俺のしぼんだ物が、騒ぎ出してくる。


 すると、

「今日の体操は、ブリッジと立位体前屈の基本練習をやりま~す。二人一組になってねン」

 塩南先生の開始の合図と共に、部員達は一斉に上靴を脱ぎ全員がマットレスの上に移動する。



 何だ?

 ストレッチと柔軟体操は違うのか?


 確かに厳密には違うだろう。

 では、柔軟体操の為のストレッチだったと言うのか?


 では、一体全体、柔軟体操とは何なのだ・・・。

 ストレッチの必要な柔軟体操とは何なんだ?


 そう言えば、塩南先生は確か校長室からアルパカ組の教室に向う時にブリッジとか・・・。

 そうだ、ブリッジでオレンジジュース位飲めないと駄目だと言っていた。


 それに、それに、昨日のリオの自主練習も布の少ない下着姿のブリッジであった。


 ブリッジ!


 まさか、昨日の里緒の様に生地の少ない薄手の下着姿になるとか・・・。

 いや、過度な期待をしては、裏切られた時のショックが大きい。

 ここはマイナス思考で行くべきだ。簡単に一喜一憂するべきではない。


 そう思っていると、始まったブリッジは想像通り、期待は負の方向に進んで行った。


 やっぱり、ジャージのままである。

 そして、ブリッジも補助役に支えられ、時折片手を瞬時だけ離す位で、芸としても見ごたえがない。

 ほぼ普通である。


 いや、芸の見ごたえはどうでもいい。

 それに、ブリッジが柔軟体操に含まれるかどうもどうでもいいのだ。

 問題はそこではない。柔軟体操部が楽しいか楽しくないかである。


 昨日の里緒の下着姿のブリッジは単に風呂上りで暑かっただけと言うことか・・・。


空振りである。またもや空振りだ。


 やはり、マイナス思考で正解だった。

 そのお陰で、今何とか立っていることが出来る・・・。

 人生の基本は、期待を低く取っておくことだ。



 しかしだ、そんなしぼんだ気持ちも、塩南先生の次の一言から展開が一変したのである。


「次は、先週約束した”立位体前屈”をやりますわよ~ン。ちゃんと衣装は準備してるかしらン」


 それに部員達は、


「は~い」

 と希望に満ちた返事を返す。


 衣装?

 俺も希望に満ちてもいいのだろうか?


 ジャージの下に何かを隠しているというのだろうか?

 まさか、もう一度着替え直すことはあるまい。


 ジャージの下と言うことは、確実に上に着ているジャージよりも生地の面積が小さいか、或いは薄手であるかの二者択一だ。もしくは両方と言うことだ。


 そう想像をもっこりしていると、

 まず、先頭を切って、塩南先生が「ホイ、ホイ、ホイ」とジャージの下を気前よくずり下げていく。


「おお~お~!」

 俺は言葉をのみ込み、再び右手で下がり掛けた顎を抑える。


 それに、追随して部員達も気前よくずり降ろす。余計なことに2名の男子部員もだが、それは見ないこととする。


 しかし、格安のコバルトブルーのジャージの下から顔を出したもは、残念ながら薄手のアンダーウエアーと言うものでは無かった。

 そんなに甘くはない。


 ショートパンツと言うやつである。

 だが、このショートパンツ。


 何かが違う。

 何か引っ掛かるものがあるのだ。

 俺の直感が期待を引き戻していく。


 良く見ると、このショートパンツと言うやつは、かなり肌にぴったりとフィットしており、さらに、ぴったり過ぎて、脚丈は股下より若干鋭角に、切れ込んでいるではないか。


 だが、肝心なのはそこでは無い。俺から見た最大のポイントは、素材に伸縮性が欠けていることである。


 あの素材と、あの丈である。前屈で起こり得ることは言うまでもない。


 絶対に、絶対に屈伸により突きだされたお尻は、生地を圧迫するはずだ。そして、生地の逃げ場は一つだ。


 お尻の”溝”しかない!!


 しかし、俺のポジションではその理論を確かめる術がないのだ。

 今、俺のいるポジションから立位体前屈を見ても、後頭部が見えるだけだ。せいぜい逆さうなじ位だ。

 うなじや、後頭部を見て何が面白い。うなじの何処が楽しいのだ!


 何とかベストポジションに移動したい・・・。


 そんな中、

「いち、にい、さ~ん・・・」

 里緒の声に合わせて部員達は、前屈を始める。そして、塩南先生が一人一人に身をもって熱心に説明をしていく。


 何かいい方法はないのか?


「それじゃあ、全然だめなのよン。

 もっと腰を反って、お腹とお尻を出して、そのまま~、はい前屈~」


 先生の説明には俺も賛辞を贈りたい。だが、見れないことが空しい。


「はい」 

 その指導に部員達は忠実に従っている。


 みたい、見たい・・・。

 むっちりお尻がみたい・・・。

 食い込み前屈が見たい・・・。

 

 しかし、いくらこの俺の視野が広いとは言え、後から見ることは不可能だ。

 何か、必然的に部員達の後ろに回る方法はないか?


 俺は立位体屈伸が終わらぬ内にと、頭を高速に回転させ、可能性を消去法で減らしていった。

 だが、妙案が見つからない。その数は直ぐに”0”になろうとした。


 だが、その時である。


 ふわふわとした、天の手招きを俺の視界が捉えた。


 なんだ?

 こっちへ来いと言うのか?


 塩南先生は前に出した右手を、手首を下にして前後に振っている。

 決して、揺れているのではない!


 間違いない!来いと言っている。

 そこまで言うのなら。行ってもいいぞ。


 先生は手を振り続けている。


 よし!

 そんなに来いというのなら仕方がない。行ってやろう。直ちに、直ちにだ!


 俺は振りたい脇目も振らずに先生の元に向った。無論、視野は可能な範囲で広く取っている。

 合わない焦点の中、俺の理論が確かだったことは確認出来た。

 うっすらとした視界には、行き場の無くなったショートパンツの布地が半尻はんけつを表現している。


 見たい!

 手を伸ばせば届く所にあるのだ・・・。


 見たいが、ここで凝視してしまえば俺の品位を部員達に疑われてしまう。

 この先をトータル的に考えれば、

 ここは、ここは、ここは我慢だ!!工口くぐち


 ここは、焦って覗いてはいけない。

 事は大義名分のポジションに移動してからだ。


 俺がゆっくりと、急ぎ足で塩南先生の元に行くと、先生は待ってましたとばかりに俺に話しかけて来た。

 俺は視野を可能な限り広く取る。

 

「くぐっちゃん、いいっでしょン。この眺め」


 塩南先生は乙女の様に両手を胸の前で組んで俺にそう言うが、雰囲気は女湯を覗いてる最中に、覗きに来た仲間を喜んで招き入れている男子高生と同じである。

 

「どうかしらン?この立位体前屈」


 先生は、また俺に感想を求めて来た。

 俺に対する接し方が全く男友達ではないか?

 何を期待しているのだ?


 いや、今はそんなことはどうでもいい。


 やっと、やっと解禁になったのだ!

 俺は次々に29-2人に焦点を合わせ、よりはみ出した臀部を探す。

 いるぞ、あそこも、ここも・・・。よりどりみどりちゃん。


 その甲乙付け難い逸品の中から、俺は最高傑作をを見つけ出した。


 持ち上げられたボリューム感に縦横の比率。ほっそりとした膝から骨盤にかけてのラインには、全くごつごつとした硬さはなく。程良い脂肪が丸みを出している。

 肌の色、艶、それにキメ細かさは群抜ぐんばつ。さらに股間の隙間が非常に狭い。


 それに、何と言っても食い込み量の大きさに関らず、清楚に見えることだ。

 

 ”ベストショートパンツ賞”を挙げたいくらいだ。

 

 俺は顔を確認すべく、彼女が腰を上げるのを待った。

 でも、中々俺にその素顔を見せてはくれない。


 分った、もう分った・・・。

 お前のお尻の素晴らしさは分った。

 だから、だから今後の為に、それに、見たものに対する感激を増幅させる為に、俺に顔を見せてくれ。お願いだ!


 願いは時として、奇跡を呼び寄せる。

 多分、ただの偶然だが、彼女は腰を上げて振り向いてくれた。

 その彼女は・・・んっ?


 千逗里緒?!

 里緒さん?


 千逗里緒であった。 


 驚きと、興奮に包まれる俺。

 既に二人の仲が戻っていることの喜びに、恐らくほくそ笑んでいたことと思う。


 その時、俺の視界の中央、それも直ぐ目の前に顔が現れた。


「部っ長ちゃんねン」

 そう言って、ふわふわ笑う。

 

 いかん、忘れていた。この人の前でそんなあからさまな行動を取ってはいけなかったのだった。

 それに、余りの眺望にこのパラダイスを与えてくれた恩人に対して、感想を応え忘れるところであった。


「部長ちゃんのお尻どうだったン」

 やっぱりきた・・・。


「はい、おし・・・」

 危ない。危なく釣られて里緒のお尻の感想を言うところであった。

 忘れてはならない。これは立位体前屈なのだ。


 そう思い、一度ためらったのだが、この先生の目線は完全に男であるのだ。

 もう面倒だ。

 里緒個人ではなく、全体として、そこそこ応えてしまおう。

 さすがに里緒個人のお尻に触れるのは抵抗がある。

 

「いえ、皆さん素晴らしいです。後ろにお尻を出してからの前屈なので、お尻のボリューム感がアップされた上に、腰や腿と遠近感が出てより魅力的です」


 お尻を中心に回答を作って見た。 しかし、肝心なことには、まだ触れていない。

 それでは、先生は満足しないであろう・・・。


「あと、ショートパンツの生地が素晴らしいです。その窮屈な中でもがくお尻と生地との攻防。そして、逃げ込んだ生地による、え~、何と言うか・・・」


 幾らなんでも、その先は言いにくい。

 すると、


「めり込み具合ねン」

 そう、はっきりと言う。


「えっ!」 

 俺は先生のあからさまの言葉には衝撃だ。

 だがそれ以上に、衝撃が起こった。


 先生は俺の方に背中を向け、模範的な立位体前屈を俺個人に披露しようとしているのである。


 すると、一気に先生の雰囲気が変化した。

 全くふわふわとしたところがみられないのである。

 魅力が俺にムンムンと伝わってくるのだ。


 そして、マッチョがポーズで筋肉を誇張する様に、先生は自らのお尻をこれでもかと言わんばかりに誇張する。

 

 そ、それは・・・。


 やばい!

 里緒のもいいが、これは別格だ。


 俺はそれに一瞬で危険を感じ、半目で遮をかける。

 セルフモザイクで自己防衛だ。


 とても、平常心ではいられる代物ではない。何処に入り込んだのか、ショートパンツのうしろ半分の生地が、元の3分の1にも満たなくなっている。


 しかし、それであって、お尻中央の溝は開いては見えないのだ。

 恐ろしい括約筋かつやくきんの大活躍だ。


 あの校長室での出来事は、幻では無かったのだ。

 やはり、やる時はやるG2戦士なのだ。部員達とは格が違っている。


「ど~おン、めり込み」

 先生が前屈のまま、俺に聞く。


「そ、そう・・・」

 俺は慌てて応えようとするが、目の前でめり込んだ本人を見ながらでは応えにくい。


 既に気付いてはいたがこの衣装、”めり込み”を目的として縫製されているのである。

 一瞬どう応えようか悩んだが、こんな時でも喜んでいいのかどうなのか、俺の脳は働いてしまうのだ。


 直接的回答を回避する方法を・・・。


 俺は、先ほどから”めり込み”と言う表現が気になっていたのだ。そこで、


「そ、その~・・・。先生、もしかすると、”めり込み”と言うより、どちらかと言うと、”食い込み”が的確かと・・・」

 俺の応えに、


「食い込み?」

 先生は立ち上がり、口元に拳を宛て俺の言葉を噛みしめていたが、閃いた様に口元の拳をもう一方の掌に叩きつけた。


「パチン」

 と言う音がなり、先生の目が輝く!


「なるほどー。食い込み!いい言葉だわね。ン~、それいただきだわン。

 そぅよン。膝のあたりの細さから腿に掛けての丸み。そして、それに強調されたヒップ。

 さらに、その”食い込み?”食い込んだ衣装が最高に”美しい”わン・・・」


 先生は”食い込み”と言う言葉を大いに喜んでくれた。


 ”先生、そんなに喜んでくれたら、俺も嬉しいです”

 口には出さないが、俺もそんな気持ちで一杯だ。


 しかし、先生はそこでまた立ち止まった。


「”美しい”?ん~”美しい”も、ちょっとこれも表現が不適格かしらね。”最高”に何と表現したらいいのかしらン。そうねン・・・」


 それって、完全に”エロ”だろう。そう思うが言っていいのだろうか。この言葉・・・。

 そう思っていると、


「くぐっちゃんだったら、どんな表現するのからリン」

 俺に回答を求めてきた。


 えい!ここまで言ってしまえ。

 

「”エロ”いかと・・・」

 正直に言ってみた。すると、


「”エロイ”?」

 塩南先生は、顔をしかめて首を傾げる。

 また、何か考えているようだ。しかし、先ほどよりも顔が遥かに険しい。


「は、はいい~」 

 あれ?どうしたの先生?

 今まで、喜んでいた表情が強張っていますが・・・。

 

 不味かっただろうか?

 AV界では言っていけない言葉なのだろうか”まほまほ”の様に・・・。

 そう思ったのだが、

 

「”エロイ”って何?」

 考えるのを諦めて、俺に聞いて来た。


 えっ・・・?


 この世界には”エロ”と言う言葉がないのか?

 それとも、”AV”界にはエロと言う概念がないのだろうか?


 塩南先生はふわふわとした表情で、俺の回答を心待ちにしている。

 どうやって説明したらいいのだろうか・・・。


 俺はこの後の部活の時間は、塩南先生にエロの意味説明することに必死で、殆ど半尻はんけつを楽しむ、いや、練習の見学をすることが出来なかった。

 

 しかし、この先生、本当に女性だろうか?それとも、女性が好みでいらっしゃるのだろうか?


 <つづく>

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