バスは高タンパクの宝庫
この物語はフィクションであり、実在の人物及び団体とは一切関係ありません
ちょっと、お下劣な内容となっております。低俗なものを読んでも、心の平静に自信がある方のみ先にお進み頂ければと思います。
エロの花が咲く
薄っすらピンクのエロの花
赤くて黒いエロの花
全てのエロの花は心を惑わす魅惑の色を持つ
そして人は、その色に溺れる
エロの花が匂う
酸味を含んだエロの花
杉の花粉の匂いのエロの花
どの花の匂いも、期待と言うエッセンスが含まれている
そして人はその匂いに魅了される
エロは特別な花ではなくて
ごく自然に、何処にでも咲く花
ネオン街や病院、職場に学校
バスの中やビデオショップ。
最近はネットカフェ。
何処でも咲いてしまう安易な花だ
しかし、それは真のエロの花ではない
偶像に過ぎない
本当のエロの花には色が無い
想像のままに色をなす
本当のエロの花に匂いはない
周囲の匂いが花の香りだ
僕はそれを探し出す
そして、種を取り、僕はエロの花で新しい世界を創りだす
”僕はその世界の創造主となった”
☆★ 萬のエロは♂ ☆★
★☆ ♀しその香り ☆★
「ハーハーはー」
息を切らして、駅の階段を3か月振りに猛然とダッシュしている俺は、今、最高潮に怒っている。
(金返せ、このくそ電車!1分も遅れやがって!!)
横目で睨んでも鉄の塊からはびた一文も出て来ない。
一文?
この平成の世に、簡単に一文と言う金を出せる人間が居るのなら、是非会って見たい。なんてことは、聞き流して欲しい。
(遅れるだろうが、頭来んなー!)
ただ怒りに任せて、難癖を付けているだけである。
綱渡りの乗り継ぎを予定していた俺は、珍しく電車が遅れた為に荒い息をたてる破目になっているのだ。
この走っている場面から始めると言うのはよくあるパターンだが、この先、次第に下方向に進んでいく。
かなりお下劣である。
俺が走る先にあるのは、北郷営業所行きのバス停だ。
何のことはない。家に帰るバスに乗ろうとしているだけである。
事実を端的に述べると、ただそれだけの事になるのだが、絶対にこのバスに乗らなければならないと言う俺の心理を読み取ることが出来るのならば、そんなに安いものではないことは理解して貰えることだろうと想像する。
俺はここ数日、この綱渡りの乗り継ぎで家に帰るのが日課になっていた。
それと言うのも、次のバスまでの間隔は20分。
俺としては、”受験前の貴重な時間”を僅かでも無駄にはしたくないのだ!
僅かな時間も惜しんで受験勉強がしたい。
なんて事が理由であるのならば、誰も俺の心理など理解はたくはないだろう。もちろん、この俺がそんな理由で懸命に走る訳がない。
本当の理由は、もちろん別に存在するのである。
実はこの時間のバスに、俺はちょっとした楽しみを発見してしまっていたのだ。
いや、今の俺に取っては、先にも申し上げた通り、ちょっと何て安いものでは無いのである。
健全な高校生を持続させる為にな不可欠な、若き血潮の加乗な栄養素放出の為の、種が、このバスには存在するのである。
それは、何にも替え難い。
遅れましたが、俺の名は千乃工口。
誤解しないで欲しい。名前にカタカナは含まれてはいない。四文字共、全て漢字である。
俺は、先月18歳になったばかりの某公立高校に通う3年生。R18もOKである。
家族は4人。公務員で無口な大人しい親父、千乃史吾樹に、デパ地下でパート勤めをしている外出好きのお袋。千乃顔出。
それに、中学1年生の妹の少毛だ。
5つ下の妹、少毛には、生意気にも!彼氏がいて、既に初キッス済みなのだそうだ。
余計なことに兄ちゃんっ子の妹は、先日俺の前にニタニタしながら、聞きたくもない報告をしに来やがった。
それには兄の甲斐性として、一応余裕の表情で聞いてやるのが務めである。
俺は羨みと妄想の中、必至に面の皮の硬直と若干の”俺の僕”の硬直を宥めながら聞いてやること30分。
そこまでであれば、俺も耐えるに忍びないのであるが、何と、少毛は余計なことに俺の初キッスの話を詮索して来やがった。
それには、俺も動揺を隠しきれない。
何故か?と言えば、・・・そうです。
その通りです。
未経験な俺には答えようがないのでございます。
キスが早いか遅いかで引け目を感じること自体に間違いがあるのだが、俺の羨む行為を先に行っている相手に対して、幾ら論理で勝っていても気持ちで負けてしまうのが必然だ。
そこは、論理で未経験を正当化するよりも、ここは回避するに限る。
俺が直ぐに高速で思考を巡らすと、迂闊にも出してしまった動揺は、妹に野暮な詮索をされない程度の僅かな時間で、平静を取り戻すことに成功した。
流石に受験生だけのことはある。
日々使っている頭は回復、いや回転が速い。直ぐに解決策を見出したのだ。
自分で言うのも何だが、子供の頃に余りにも可愛かった俺は、たぶん冗談だったと信じたいが、近所の小母さんに、唇を舐められたことがある。
その衝撃的な出来事を瞬時に記憶回路から抽出して、年齢を少しばかりさば読んで、少毛に聞かせてやったのである。
部分的な経験値は俺より上でも、所詮は中学1年生である。高校3年とは人生を乗り越えた数量が少し違う。
俺の現状打開のアドリブ能力に、少毛は尊敬の眼差しを惜しげもなく向けてくれ、食入る様に話を聞いてくれた。
どうも、唇を舐めるキスは、中学1年生の女の子にはかなり刺激的であったようだ。
お陰で俺の少毛に対する威厳は、後半年は自動更新されることは、間違いなさそうだ。
何か空しい気もしたが、決して、うしろめたい気持ちは感じていない。
決して100%嘘をついた訳ではない。肝心な行為は本当であるのだから。
今になって心から思う。変体小母さん”有り難う”。
何事も経験だ。
余計な話になってしまったが、ご想像の通り、俺は生を受けて18年間と言うもの彼女と言う存在を賞味したことが無い。
自分で言うのも何だが、容姿はそれほど悪くは無い。小母さんに唇を舐められた位である。
むしろ良い。
宜しい。
恵まれている。
もちろん自意識過剰などでは無い。
人間ウォッチング(一部の女性に限られるが)を趣味としている俺は、客観的に自分を見つめる能力は人並み以上に備えているつもりである。
とは言っても、彼女と言うものは容姿だけで出来る訳ではないのだ。
そんな安易な夢からは、既に二年前に覚醒している。
だが、如何せん解決策を見つけるには未だに至っていないのが現実だ。
それでも、世の中にはマニアという珍重な御趣味の方もいらっしゃるはずなのだが、運がないのか、未だにお目にかかれていない。
それは、タマタマだろうか?
”タマタマ”おっと、イントネーションを間違えてしまった。
こっちの”偶々”であった。
もしかすると、これが拙いのかもしれない・・・。
そんなことで黙って放っておくと、高校生の健全極まりない体内中にたっぷり流れるもんもんとする若き血潮には、余分な栄養素が累積していくばかりなのである。
これは定期的に吐き出さないと、煩悩と相まって、俺を誤った道へと駆り立てることになりかねない。
ここは、定期的にありきたりの、ごく一般的な自己解決策を選択するしか道は無いのである。
本当は、高校生活最後のあがきとして、派手にそこから打開したいところではあるのだが、それも2か月後に大学受験を控えている身としては、残念ながら全ては終わってからの短期間にかけるしかないのだ。
俺の通学時間は片道約1時間。学校から最寄の駅まで徒歩10分、そこから電車で約25分。乗り換え時間がダッシュで5分にバスが15分。そいでもって、バス停から我が家までが徒歩5分である。
健全な高校生を持続させる為の余分な栄養素の放出には、呼び水ならぬ、上質の呼び栄養素が必要である。
人は見逃しがちだが、この1時間には上質の栄養素生成の為のあらゆる副食物を発見することが、時としてあるのだ。
朝食のホテルのバイキング等と比較するのは、全くを持っておこがましい。
今日も、きっと目の前のバスの中には黒毛和牛のサーロインステーキが俺の、俺の切れ味鋭い視線のナイフを待っているはずである。
「よし、ぎりぎり間に合った」
俺は、ここ以外では滅多に食することの出来ない黒毛ちゃんを眺める為に、バスに飛び乗ろうと、地面を強く蹴ろうと・・・蹴ろうとしたが、
「何だ?何で、今日はこんなに混んでんだ?」
いつもなら、座れることの方が多いバスなのにだ。
「おかしい?」
と、窓から良く見ると、いつもより混んでいるとは言え、中の方は空いている。
老人達が入口付近に固まっているのである。
「詰めろよ、老人達!」と、心で思うが決して口に出して言う勇気は無い。
きっと、彼等はそこまで頭が回ってないんだ。それもしょうがない、長い時の悪戯のせいだ。
俺は自分に言い聞かせることにした。
しかし、これでは、お目当ての”超ミニスカ牛”の油の乗った”黒毛ちゃん”を見つけることが出来ない。無念だ。
それでも、せっかくダッシュまでしたんだ。ここで、一本バスを見送るのはもったいない。
次のバスに、都合よく黒毛ちゃんがいるとは思えない。それに20分待つには、外は案外寒い。
俺は何んとか足の踏み場を見つけ、体を反転させると背中でいたわりながら老人達を中に押し込み、バスに乗り込んだ。
背中越しには老人達の”若い兄ちゃんが、良いだの、何たらだの”と言う、俺への賛辞が渦巻いている。
悪い気はしないが、特にメリットも感じられない。
俺はそれに完全無視を決め込み、ホッとひと安心していること、
束の間・・・。
電光石火の勢いで現れると、足の踏み場の無いバスに飛び込んで来た紺色の塊があった。
そいつは、無理やり一方の足で俺の右足横にスペースをこじ開け、もう一方の足を俺の両足の間に開いた僅かなスペースに滑り込ませて来た。
(な、何だこいつ!)
そう思ったが、老人達の以外にも大きな圧力に身動きが出来ない。
俺は強引な接触を受け止めるしかなかった。
そいつは外に飛び出ない様に、抱きつく様に俺にピッタリと体を押し寄せてくる。
「うっ・・・」
突然の不愉快さに最初は面食らっていた俺だったが、
遅まきながら数秒の時を経て、間違った感情であったことに気づいてしまった。
『 に、匂いが違う!! 』
<つづく>
R15に抑える為、今後文字にモザイクが入ることがあるかもしれません。