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【全年齢版】幼馴染はヤドクガエルの王子様~「1000回契れ」って…これなんの呪いですか!?~  作者: 黒燿
第1章:その美しさは、まるでアルカロイド系の猛毒。

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第3話:「同衾」って、なんですか?

ああ、ついにこの時が来てしまった……。


ベッドの上で、ぎゅっと目を閉じる。


これまでにこのカエルは、

・城に招けと言った

・食事を共にしたいといった

・同じベッドで寝たいといった

って…… どんどんどんどんどんどん要求が高くなってきてるじゃないの!!


一緒に寝たいって、どういう意味なのよ!


頭の中で10年の恨み辛みを悶々と考えていると、ベッドの下からぬめっとした、ペタペタ、ヒタヒタ、という小さな足音が聞こえた。

背筋にぞわっと冷たいものが走る。


青く小さな塊が飛び上がると、ギシンッ!という音をたててベッドの端に乗った。

カエルだ。


もそりもそりと身体をくねらせ、ゆっくりと這い寄ってくる。


あああああ…… 

わたしの初めてはこんな代償のような形ではなく、せめてルカに捧げたかった……

固く目を閉じると、晴天の空に真っ赤な薔薇の花びらが舞う、あの禁戒の森でのルカとの誓いの日が眼前に広がった。


――もちろん、そんなものは私の妄想にすぎない。


目を開くと、真っ青な毒々しいカエルが、今まさに唇をうにょーんと伸ばして口づけをしようとしていた。


「!!!!!!!!!!!!!」

「いやぁああああ!!! やっぱむりぃいいいいーーーーー!!!」

窮鼠猫を噛むがごとく、力いっぱいカエルをむんずと掴み、あらん限りの力で壁に思いっ切り投げつけた。


「……あ。」

わたしは『やってしまった……』とばかりに目を覆う。

大きな物の怪のカエルとはいえ、さすがにこの力で壁に投げつけてしまったら……。


しーーーーーん……と静まり返った、物音ひとつしない部屋。

臓器のはみ出したぐちゃぐちゃのカエルがあったらどうしよう……と思いながらも、ずっとそのままでいるわけにもいかず、わたしは恐る恐る手の覆いを下げてゆく。


すると……。


そこには、輝くばかりに見目麗しい(っぽい)、高貴な輝きを放つ青年の姿があった。

(「っぽい」というのは、彼が陥没した壁に、正面からめり込む形で全裸で埋まっていたからだ。)


生まれて初めての男性の裸……お父さまでも見たことがないのに!


――に、目を丸くし、口は開いたままになっているわたし。

いや、驚くのはそこではないはずなのだけど……。


その殿方はようやく壁から身体を外し、くるりと向き直り、真っ直ぐに私に向かって歩み寄った。

そして、口を開いてこう言った。


???「カリン、私だ」


青みがかった流れるように柔らかな漆黒の髪。

その髪には虹色の輝きを放つ天使の輪の輝き。

澄んだ湖のように煌めく美しい青い瞳に、太陽のように温かく優しくわたしを照らす笑顔……


そして、

その足の間にぶら下がっている、見たことも聞いたこともない赤黒い()()はなんなんですかーーーーー!?


「ぎゃーーーーーっ!!! むりむりむりむりむり変態!露出狂!あとなんか!」

「来ないで! 来ないでぇええええ!!!!!」

わたしは周囲にあった、枕やらクッションやら手あたり次第を投げつける。


???「ちょ…… 待て 痛い とにかく私の話を聞いて……くれ…… カリンよ うっ」


怯まず一直線にわたしへと向かってくるそのボコボコになった全裸の殿方は、わたしの眼前にまで近寄り、すっとその手を差し出し見せつけた。

???「これを見るのだ」


全裸の殿方の差し出した、右手の甲。

そこには、10年前のあの日に見た、十字の薔薇の傷跡があった。


「え……」

「これ……は…… あのときの…… 薔薇の……傷……?」

ふと、この美しい青年の面立ちと、あの日のルカの微笑みが重なる。

『まさか…… いや、でもそんな馬鹿な……』


「そうだよ、カリン 私だ、ルカだ」

「ルカ…… 本当にルカ……なの?」


薔薇の花びらがが舞い飛ぶかのような勢いで抱きしめ合うわたしたち二人。

「ああ、ルカ わたしはどんなにこの日を待ちわびたこと…… か……?」


ルカ(?)はわたしをいきなり抱き上げると、そのままベッドに押し倒す。

「え????? な、なにを?????」


「カリンよ、聞くのだ」

「私は魔女との契約で、お前が今日18歳の成人になる日に、お前と契りを交わして夫婦にならないと、一生カエルのままになってしまうのだ」


「えええっ そんな……」

「……って、契りってなんですの?」


ルカはわたしの胸元にあるナイトドレスのリボンをほどきながら、話をつづけた。

「ああ、愛しのカリン 私はあの日から10年、お前に触れられる日をどんなに待ち望んだことか」

「私は溺れそうになっているお前を助けるため、あの日、魔女に願ってしまったのだ」

「『カリンを助けることができる姿に変えてくれ――』と」


「気が付いたら、猛毒を持つコバルトヤドクガエルの姿に変えられてしまっていたのだ」

「10年だ…… 長かった…… 私はこの事実をお前に伝えることも許されず、猛毒の身体であるが故触れることも許されず……」

「今日のこの日まで、カエルの姿で耐え忍んだのだ」


「だから、今日、私はお前を思いっ切り抱く」

ルカは少し息を荒げながら、美しく深く青い真っ直ぐな瞳で私をじっと見つめている。


「……それは魔女との契約を解くため? に、すること……なの?」

わたしは、少し悲しい顔をして見せた。


すると、吐息がかかるほどの近さまで、美しいルカ(?)の顔が目の前に寄る。

熱気を帯びた吐息がかかると、なにか魔法がかけられたかのように、私の顔もほてり始める。


「10年前のお前との約束のため 人に戻ってお前を私の妃に迎えるためだ」

ルカ(?)はわたしにそう告げると、濡れたような柔らかく熱い唇を押し付ける。

「んっ……」

その熱に、わたしもつい声を漏らす。


ルカ(?)の熱は唇を通してわたしに伝わり、わたしの身体も芯から熱くなり始める。

脳天からつま先まで電流が走ったかのような、情熱的な口づけを何度も何度も交わす。

ルカ(?)の手がわたしの身体を優しく伝い、その軌跡までもが痺れるように過敏に反応を示す。

「はぁ……」

何が起こっているのか、前後不覚になるほどに、わたしの頭は熱に浮かされる。


「ルカ…… あなたは本当にルカなのね?」

「ああ、そうだとも 私の愛しいカリンよ」

わたしの目に熱い涙がにじむ。


「嬉しい……! こうして初めての「ともね」をすることになる相手が、あなただなんて!」

それを聞いたルカ(?)は、ぽかんとした表情を見せる。

「とも…… ね……?」


「ええ、そうよ 「同衾」って「ともね」のことなのよね?」

「「同衾」とは夫婦二人が共寝をすることなのでしょう?」

「男女が一夜を明かすことを「契り」と言うのでしょう、さあルカ、早く一緒に寝ましょう!」

「それでルカの呪いが解けるのですよね? ならば一晩と言わず、この先生涯仲睦まじく同じベッドで寝ることにいたしましょう!!」


「ああ、呪われたカエルと一晩ベッドで眠るだなんて…… 考えただけでも恐ろしくおぞましいわ!」

「よかった、それが実はルカだったなんて……!」


無邪気にはしゃぎ、まくしたてるわたしの前で、ルカ(?)が黙ってうつむいている。

そしてベッドのシーツをたくし寄せ、股間を隠すようにあてている。

「きょ…… 私……は…… お前を…… 思いっ切……り……」

ブツブツとルカ(?)が何かを言っているようだったが、よく聞き取れない。


「ど……どうしたの、ルカ!? お腹でも痛いの!?」

「今使用人にお薬でも持たせましょう……」

立ち上がろうとするわたしを、ルカ(?)が引き留める。


「だ、大丈夫だ、カリンよ しばらくすればおさまる…… フー…… スーハー……」

ルカ(?)は深呼吸などをして宙を仰いでいる。

「それに、今誰かを呼びに行って私がいたら、城中の者は大騒ぎだ。 朝を待つとしよう」


再びベッドに横になる、わたしとルカ(?)。

ルカ(?)はわたしの背中にぴったりと寄り添う形で密着していて、後ろから抱き抱えてくれている。


わたしの後ろには、変温動物のぬめった冷ややかな身体ではなく、温かなルカのぬくもりがある。

時折ルカ(?)は小刻みに身体を震わせ、熱い吐息で荒い呼吸をしたり、なにかわたしのお尻あたりに固いものが当たったりするのだが、カエルの呪いの後遺症なのかもしれない。


こんなに安心して眠れる夜が来るだなんて、考えたこともなかった。

明日、朝日が昇ったら、また昔のような輝かしい日々が待っていることだろう。


夜明けが待ち遠しい。こんな夜は10年ぶりかもしれない。

明日からのわたしには、ルカ(?)がいるのだ――。


そして夜が明けた。

いつの間にか眠ってしまったわたしは、寝ぼけ眼を擦りながら身体を起こした。


「ぎ」


「ぎぃいゃあああああああああああああ……」


人生二度目のわたしの雄叫びは、爽やかな朝の空気が流れる城中へと響き渡った。

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