お喋りしよう
「…料理上手なの?」
「いやぁ…そこまで上手じゃないねぇ…まだ簡単なものしか作れないかなぁ?」
彩花はうどんを食べながら、珍しく表情が和らぐ。
「…でも、私のために作ってくれるの、嬉しい」
「僕もさ?やっぱ、小難しいものみたいなのは、人に作って欲しいとか言われないと、やらないんだよ」
彩花はうどんを見つめ、小さな声で言う。
「…私に作ってくれるの、続けてね」
「頑張るよ。リクエストあったら言ってね?」
彩花は恥ずかしそうに指先で布団をいじり、呟く。
「…オムライス」
「オムライスなんかでいいの?もうそれは僕のレパートリーに入ってるよ」
真哉は身体を前のめりにして、ケラケラ笑う。彩花は不安そうな目で真哉を見上げる。
「…下手でも、私のために作ってくれるの?」
「いや、オムライスは自信あるよ?卵もちゃんと半熟に出来る」
彩花の目が少し輝く。
「…すごい。半熟の卵、好き...」
「それでね!?ライスの上に卵乗せてペロ〜んと被せるみたいな事も出来るから!これ、次はオムライスだね!」
彩花は期待と不安が入り混じった表情で尋ねる。
「…次は、いつ作ってくれるの?」
「明日でもいいかな?」
彩花は少し驚いたような表情で、頷く。
「…明日? そんな早く...でも、食べたい」
「じゃあ、明日だね!」
彩花は嬉しそうに頷き、微笑む。
「…うん。明日、待ってる」