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第7話 魔法少年

奥様のご病気騒動以来、信仰に目覚めたルドナタ家の面々は、月の神殿にお参りに行くようになった。


月に一、二度、奥様と大奥様が連れ立って出かけるときに、たまにおぼっちゃまとともに転生少年もご一緒させていただけることがある。


そんなときはチャンスとばかりに、『セレーネー様、アステリア様、奥様をおたすけいただきありがとうございました。これからも見守りください』などと、真剣にお祈りさせていただくと、何度目かのお参りの後に「祈り」のスキルと「神聖魔法」のスキルが生えた。


名前:セドリック・マルタン

性別:男

年齢:12歳

職業:見習い従士

状態:健康


位階:1


能力値

HP:7/7

MP:12/12(+6)

STR:5

VIT:4

AGI:6

DEX:7

INT:18

LUK:18

CHA:18


スキル(戦闘)

魔法:20(レジェエンド)

(新)神聖魔法:0(素人)

精霊:20(レジェエンド)

格闘:3(初級者)

剣術:6(中級者)

槍術:2(素人)

弓術:1(素人)


スキル(非戦闘)

鑑定:20(レジェエンド)

商売:11(上級者)

政治:14(専門家)

(新)祈り:0(素人)

医術:14(専門家)

動物:4(初級者)

料理:1(初心者)

建築:20(レジェエンド)

栽培:12(上級者)

採掘:0(素人)

工芸:20(レジェエンド)

芸術:20(レジェエンド)

研究:20(レジェエンド)

古代語:20(レジェエンド)

外国語:12(上級者)

社交:8(中級者)



『神聖魔法』と『祈り』のスキルが生えた!

表示されてるゾ!

やったぜ!MP増えた!


スキルとして認識されたといいうことは経験値が入るということだ。

経験値が入るなら上げることができるのさ。

これでMPも増やせるようになった。

やっぱり、神殿に連れて行ってもらって心からお祈りしたのがよかったのかな。

超うれぴ。




それにしても、邪悪な古代語魔法をも修めた転生少年は、ついに神聖魔法も覚えることができるようになったのか。

前世ではかなわなかったからな。

一応、前世の悪行はノーカンになったってことか?


うーん、感慨深い。


まじでセレーネー様、アステリア様、ありがとうございますありがとうございます。

これから朝晩の祈りはお二人に捧げよう。


~~~


夢に神様が出るということは、魔術師に必要な資質を持っていると考えられる。

そんなわけで、夢でお告げを聞いたおぼっちゃまは、魔法の資質あるかも?!ということで、魔法使いの家庭教師を呼んで魔法を学ぶことになった。


それは本当は転生少年の魔法で作った幻だったんだけどね。ごめんね。


この世界で、わずかでも魔法を使うことができるのは百人に一人くらいなので、もし魔法を使えるようになるならば、それはなかなかに貴重で名誉なことなのだ。

そうなればご両親もさぞ喜ぶことだろう。

出来れば使えるようになってほしいな。


そして、おぼっちゃまが家庭教師をつけて魔法の練習を始めたということは、一緒に授業を受けたりする転生少年も魔法を覚えてもいいということになる。

あってるよね、この考え方。


騎士の訓練しかしてないのに急に魔法を使い始めると完全に怪しいから、この機会は非常に好都合だ。

さあ、先生お願いします。


家庭教師だよ。通称かてきょ。

マジカルなかてきょといえば、学院かなんかで研究している巨乳のおねーさん魔術師か、舌っ足らずロリボイスの魔女っ娘ちゃんの二択なのでどっちが来るかと期待していたところ、さすが子爵様のお声がけなので、真面目そうなおっさんが先生としてやってきた。


おっさんはおっさんなので教えるのが上手そうだ。

いいね!と、いくないね!の二つしかボタンがないか

ら、いいね!押すしかないわ。

何とも言えないとか、どちらでもないってボタン付けて欲しいね。

いや、そもそもボタンないけどさ。


初心者の練習魔法といえば『灯火』の魔法。

歴史の資料によればわかっているだけでも三千年前からそうらしい。

指先にちょいと火をともす簡単で便利な魔法だ。


あてくしはなんといっても、ほとんどすべての魔法を習得した元大魔導士。

初歩の魔法なんて余裕なんです。


あっという間に大成功。

テクニックなら世界最高峰だと思うよ。

位階と魔力は低いけどさ。

おぼっちゃまより先に成功。


すごいねキミと驚くカテキョのおっさんには、教え方がわかりやすく、すっと腑に落ちましたとお返事。

いやいや、キミがすごいんだよと返す謙虚なおっさんには、いえいえ先生が素晴らしいのですと譲り合い合戦。

負けないぞ!


ここで大好物のラノベならば、おぼっちゃまが嫉妬でイジメを開始するんですが、うちのぼっちゃんは素直で優しいのでそんなことはなく。


「セディはすごいね!魔法じょうずだね!」


くりくりまなこで素直にお褒めいただけました。

おぼっちゃま、おやさしい。

ホンマええコやでー。


初日の授業を終え先生が帰った後、転生少年はおぼっちゃまのお願いで二人でそのままお部屋で一緒に魔法の練習。


「ぼく、なかなかできないよ」

悲しげに指先を見るぼっちゃま。

一生懸命練習してるんだけどなかなかうまくいかない模様。


かわいらしい。


うーむ。


彼が素直で優しいいがゆえに、奥様の病気の時は、魔法の幻を簡単に信じてくれてスムーズに計画が運んだからなあ。

そのおかげで新しいスキルをもらえたし、お礼にちょっとお手伝いするか・・・


「若様、魔法を使うには魔力を感じるのが大事だそうですよ、よろしければお手伝いいたしましょうか」


「かんじるって、どうするの?」


「まずは目をつぶってください」


「目を?」


「はい、目をつぶって集中し、魔力を感じるのですよ」

嘘です。

そんなの感じたことないです。目をつぶっていただくための方便なんですよ。


「わかった、やってみる」


と、お坊ちゃまが目をつむったところで、改めて部屋に自分たち以外はいないことを確認してから鑑定をかける。

鑑定は、対象に魔法を浴びせて光るからばれちゃうのさ。


ステータスぽん!

まずは状況確認が大事なんだな。


名前:ヒムエス・ルドナタ

性別:男

年齢:6歳

職業:貴族の子供

状態:健康


位階:1


能力値

HP:7/7(+3)

MP:12/12(+6)

STR:4(+1)

VIT:4(+1)

AGI:4(+1)

DEX:3

INT:5(+1)

LUK:13

CHA:14


スキル(戦闘)

(新)魔法:0(素人)

剣術:1(素人)


スキル(非戦闘)

祈り:1(+1)(素人)

社交:0(素人)


おおっ、魔法のスキルが生えているじゃん。

これなら経験が入るから練習してればいつかスキルレベル上がって使えるようになるな。

ならばそれっぽく言っておけばオッケーだ。

あと、祈りスキルが上がってる。

奥様のためにたくさんお祈りしたんだね。やっぱりええコや。


おぼっちゃまの背後に回り背中に手を当てる。


「セディ?」


「若様、魔力の流れを感じますか?」


「うん?どうかな、わかんないよ」


「若様の胸の下あたり、魔力があります」

ごめんなさい。そんなのはないです。


「あるの?!」

ないです。


「確かにあります。あとはこれを魔法に練り上げるのです」

ほんとにないです。


「ねる?」


「そうです、練るのです」

ないものを練るってどうなんだろう。いけるか?


「うん、練る、練る」

謎に納得をして集中するおぼっちゃま。


「このまま練習をお続けください、必ずできるようになります」

スキル経験が貯まればレベルが1になるからです。


「あっ、なにか、なにかきそうかもっ!ともれ、我が指先に!」


「うん?」


「あっ、できた!」


見るとおぼっちゃまが上に伸ばした人差し指の先にまごうことなく小さな火が浮かんでいる。


「できた!できた!」

まじかよ。


「おめでとうございます若様、ではその火を消すことはできますか?」


「消すの?」


「そうです、つけたものは消さねばなりません、消すまでが魔法ですよ。どうですか」


「消す、消す、消す・・・あっ消えた」


「できましたね!おめでとうございます!」


「やった!やった!」


「若様、ここで目をつぶって魔力を感じながらもう一度やってみてください」

このコったらなにを感じちゃったのかしら?

ほんとに魔力感じたの?


「うん!わかったよ!目をつぶってやってみるよ!ともれ、我が指先に!」


と、若様が目をつぶったところで鑑定どん!


名前:ヒムエス・ルドナタ

性別:男

年齢:6歳

職業:貴族の子供

状態:健康


位階:1


能力値

HP:7/7(+3)

MP:11/15(+9)

STR:4(+1)

VIT:4(+1)

AGI:4(+1)

DEX:3

INT:5(+1)

LUK:13

CHA:14


スキル(戦闘)

魔法:1(+1)(素人)

剣術:1(素人)


スキル(非戦闘)

祈り:1(+1)(素人)

社交:0(素人)


おおっ・・・魔法のスキレベが1に上がってる。なんちゅうタイミングだ。

ちょっと早くない?なんで?

しかも、このタイミングだとまるで転生少年が上げたかのように思われてしまうな。

それは間違いなのでちゃんと訂正しないといけない。


「ついた!ついたよ!またできた!」


「おめでとうございます!若様」


「おかあさまに教えてくる!」


そういってぼっちゃまは部屋を飛び出してしまった。


「あっ!お待ちください!若様!」


おぼっちゃまが目指すはお隣、奥様のお部屋。

ノックなしで突入し、侍女とお茶しながら編み物をしている奥様を直撃ご報告。


「おかあさま!おかあさま!魔法できた!」


そういって、おぼっちゃまは人差し指をたて「ともれ、我が指先に!」と唱えると、見事に小さな火がついた。


「まあ!なんてこと!ヒム!すごいわね!しかも、こんなに早くできるなんて!」


「うん!できたよ!すごいでしょ!セディが教えてくれたんだよ!すぐできたの!」


ちょ、あかんて、偶然だよ!だめだよ!だめ!


「まあすごい!セディもできるのね!」


「うん!セディが教ええくれたらすぐできた!」


「まあ・・・本当なの?!セディ?」


「いえいえ、まさか。偶然でございます。ヒムエス様の資質の良さでございます。先生も素晴らしくわかりやすい教えでした」


「ちがうよ、セディが魔力が胸の下にあるって教えてくれたからだよ?うそなの・・・?」


「え、いえ、嘘ではありませんよ」


「ほら!おかあさま、セディが教えてくれたんだよ!できたよ!『消えろ』」


そういって指先の火を消すと、おぼっちゃまは奥様の胸に飛び込んだ。

奥様はすごいすごい、さすがヒムと愛息を抱きしめていた。


・・・・・・


おぼっちゃまがセディがすごいと連発してたからな。

後で面倒なことにならなきゃいいんだけど。

誤字などありましたらご指摘ください。

つたない文章ですが、楽しんでいただけたら嬉しいです。

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