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第3話 お屋敷での生活

「ありがとうございます、テリスさん!」


王都に送り届けてくれたテリスという名の商人は、セドリックをペスナリス子爵の館の前まで送ってくれた。


「いいってことさセドリック。それに、これからもたまにお父上からの手紙を届けに寄るかもしれないからな」


「その時はよろしくお願いします」


「おうよ。それじゃあ達者でな」


子爵の館は王都でも貴族や裕福な商家の屋敷が集まる閑静な場所にあった。


まずは門番に挨拶して、姓名を告げると、さっそく中に通され子爵に会うことができた。



最初の挨拶が肝心なのは、日本も異世界も一緒。


きちんとひざまずいてご挨拶しようじゃないか。


「はじめまして、カタニス・エナ・マルタンの二番目の息子、セドリックでございます。お仕えするためにやってまいりました。これからどうぞよろしくお願いいたしいます!」


ひざまずいたまま、胸に右手を当てておじぎをする。

どうよ。きちんとしているだろ?


子爵を見ると、金髪・長身で頑丈そうな体つきをしているが、穏やかな表情をした、まだ青年といっていい若い男であった。

おそらく三十を超えていないように見える。


「はははっ、ずいぶんかしこまっているな。では、私もきちんと挨拶をしよう。ヨルク・エナ・ルドナタ・ペスナリス子爵だ。領地は王都からは東へ二日くらいの場所だ。これからよろしく頼むぞ」


「はっ!しっかりと働きます!」


「いい返事だな。だが、そんなにかしこまらず楽にしてくれ。さあ立って」


「はいっ!」


おーう。

なかなか優しそう。

これは上司ガチャあたりなのではないだろうか。


「そなたの父君のカタニス殿とは砦で一緒に過ごしたことがあったのだ。世話になったものだよ。彼からは息子を厳しくしつけてくれとは言われている。彼への感謝と敬意を込めてしかと騎士の心得を伝授しよう。セドリック。しっかり頑張れよ」


とーちゃん、なに言ってるだよ。

オレは役人になりたいっていったじゃんよ。

頼むよ。まじで。


「ありがたきお言葉、感謝申し上げます!」


「旅の疲れもあろう、まずは部屋に案内させるからそこで荷物を置いて、体を休めるといい。今日は特別に湯を部屋に運ばせるから体を洗いなさい。それから軽い食事も。落ち着いたら荷解きをしていなさい。今日の夕食は一緒に食べよう。マーク、彼を部屋に案内してあげなさい」


子爵は、いつの間にかドアのそばに立っていた若い男に声をかけると、彼は部屋に入ってきた。


「はじめまして、セドリック。僕はマーク・フルシェだ。子爵の従士だ。これからよろしく」


「は、はい。よろしくお願いします」


「セドリックよ、明日からはマークがいろいろと教えるから、よく、いうことを聞くようにな」


「かしこまりました!」


「では、部屋へ行こう。セドリック、ついてくるように」


「はい!」


マークぱいせんに案内された二階の奥の部屋は、ちょうど空いていたということで一人部屋であった。

これはラッキー。というか待遇いいな。


「今、お湯を沸かしてもらってるから、沸いたら運んできてやろう。子爵に言われた通り、荷解きでもして待ってな」


「あ、あの、自分でやります!」


「ははっ、お客様扱いは今日だけなんだから、遠慮せず味わっときな。お勤めや修行のことは明日説明するから。お湯と、軽い食事だな。夕食までまだあるから持ってくる」

マークは愛嬌ある笑顔を向けて部屋から去っていった。



むむっ。

主人はなにやら思いやりがありそうだし、先輩も優しそう。

逆に大丈夫か?

こんなに順調だと不安になるよ。

前世ではなかった展開だ。

おかしい。何かあるのではないだろうか・・・


夕方になると夕食に呼んでもらえた。


子爵の家族と顔合わせ。


もちろん、年の近いお嬢様がいるはず。


おそらく、暴力的でツンデレか、病弱な色白薄幸ガールか、ついてくる系甘えんぼさんか。

どんなパターンのガールがきても大丈夫!

平穏な暮らしに向けてしっかり対応するぞと意気込んでいたのに、結果的に、それらはなかった。


普通に素直そうな息子さん(六歳)と、その美人ママさん、美魔女の子爵のお母さまが挨拶してくれた。


ボーイ・ミーツ・ガール系のイベントはかなった。

いや、いいんだけどね。


転生少年が魅力度最高値でよろしくスマイルをきめると、おぼっちゃまも奥様方もみなさまにっこり。

よろしくしてくれそう。


転生の秘法はちょっと失敗したんだけど、この魅力度設定だけは大成功だ。

ほんとよかった。

前世より生命維持の難易度が劇的に改善されてる。


前世はひどかった。

魔法で圧倒できるようになるまで、人らしい扱いを受けられなかったからなあ。


明日からは、子爵家の騎士になるための見習い騎士である従士になるための「見習い従士」として修行と勉強が始まる。


いや、何度も言うけど役人になりたいんだけどね。

まあ、途中までは同じような勉強だからいいけどさ。


マークぱいせんの説明によると、転生少年はまだ十二歳なので、がっつり鍛錬コースでは無いようだ。


おおよそのスケジュールは、朝は季節によるけど日の出前から日の出くらいに起きて、お馬さんのお世話をして、主人やご家族の起床のお手伝いをお世話して、それからお屋敷のスタッフみんなと朝食をとる。

そのあと午前中は引き続きお世話やお手伝いをする。

お昼くらいになると、みんなで一休みして軽い食事をして、午後からはお手伝いがない場合は、剣や弓のお稽古やお勉強の時間だ。


急ぎの用事を頼まれていないときは、おぼっちゃまと家庭教師とのお勉強を、一緒の部屋にいて話を聞いていてもいいとのこと。

遠縁ながら一応、親戚なので悪くない待遇だ。

いや、悪くないどころか、とてもいいかもしれない。


スキルの動物やお勉強系はもう簡単には上がらないだろうけど、まだ低かったり持っていないスキル槍術だったり弓術なんかはあげれそうだ。


とにかく、運動系スキルを上げないとHPが低すぎて怖いのよ。

頑張らねば。


誤字などありましたらご指摘ください。

つたない文章ですが、楽しんでいただけたら嬉しいです。

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