第21話 瞑想スキル
転生少年はおぼっちゃまと一緒に、一日おきにクラナス伯爵のお屋敷に通い、剣の指導を受け、魔法の指導をしてた。
二週間ほど経過した結果、どうなったか。
この間、転生魔法少年は指導者として深い信頼を得ることに成功したので、お二人に『瞑想』という存在しないスキルがあるかのように信じていただき、『魂を濃くして魔力を上げる鍛錬』と称して、座って目を瞑ってじっとして大人しくさせるという究極のサボりテクニックを発明してしまいました。
今回は、二人が目を瞑っているという状況を利用して、鑑定の魔法をかけてみましょう。
鑑定の魔法をかけるにあたっては、目を瞑ってもらうのが大事です。
鑑定魔法は対象物が光るから、バレちゃうんだよ。
なんなんだよこのクソ仕様。
プライバシーの侵害は、いつのどの世界でも失礼となる。
主筋の上位貴族にそんなことをしたのがばれたら処刑クラスの重罪ですがな。
えい。
名前:ヒムエス・エナ・ルドナタ
性別:男
年齢:7歳
職業:貴族の子供
状態:健康
位階:1
能力値
HP:7/7
MP:33/33(+21)
STR:4
VIT:4
AGI:4
DEX:3
INT:6(+1)
LUK:13
CHA:14
スキル(戦闘)
魔法:2(+2)(素人)
剣術:2(素人)
瞑想:0(NEW)(素人)
スキル(非戦闘)
祈り:2(素人)
社交:0(素人)
動物:0(素人)
お、おぼっちゃま……
魔法スキルがもう2に上がってらっしゃる。
そしてMPが、転生失敗少年より多い33になっているなんてスゴイ。
え、まじで? 本当に?
そんなら、ルマリエッタ様は?
えい。
名前:ルマリエッタ・エナ・フロニルウス
性別:女
年齢:15歳
職業:魔法戦士(NEW)
状態:健康
位階:3(+1)
能力値
HP:107/107(+29)
MP:37/37(+30)
STR:14(+1)
VIT:11(+1)
AGI:15(+1)
DEX:17(+2)
INT:9(+1)
LUK:14(+1)
CHA:17(+2)
スキル(戦闘)
格闘:7(中級者)
剣術:14(+1)(専門家)
槍術:10(+1)(上級者)
弓術:6(中級者)
魔法:2(+2)(NEW)(素人)
瞑想:0(NEW)
スキル(非戦闘)
商売:3(初級者)
政治:2(素人)
動物:7(中級者)
外国語:3(初級者)
社交:4(初級者)
うおおおお。
ルマリエッタ様も魔法スキルが2に上がっとる!
まじかよ!
まだ二週間しか練習してないのに。
理由はもちろん転生少年の指導なんだろうけど、そんなに効果があるものなの?
まじかよ。
知らんかった。
あと、二人とも瞑想という初めて見るスキルが生えてきてる。
そんなのあったの? 前からあったの? どういう効果? 誰か教えてよ……。
つか、僕にもあるんですかね、それ。
鑑定オン! 瞑想があるかないかに集中して見てみるんだ!
名前:セドリック・マルタン
性別:男
年齢:13歳
職業:見習い従士
状態:健康
位階:2
能力値
HP:31/31(+5)
MP:20/20
STR:8
VIT:7
AGI:9
DEX:10
INT:19
LUK:19
CHA:19
スキル(戦闘)
魔法:20(レジェンド)
神聖魔法:0(素人)
精霊:20(レジェンド)
格闘:3(初級者)
剣術:8(+1)(中級者)
槍術:4(初級者)
弓術:2(素人)
スキル(非戦闘)
鑑定:20(レジェンド)
商売:11(上級者)
政治:14(専門家)
祈り:1(素人)
医術:14(専門家)
動物:5(初級者)
料理:1(初心者)
建築:20(レジェンド)
栽培:12(上級者)
採掘:0(素人)
工芸:20(レジェンド)
芸術:20(レジェンド)
研究:20(レジェンド)
古代語:20(レジェンド)
外国語:12(上級者)
社交:8(中級者)
指導:20(レジェンド)
瞑想:7(中級者)
おお、剣術が上がってる。
この前上がったばかりなのに、もう上がってるじゃないか。
伯爵家のカサナリス師範の指導力か……恐るべし。
さすがやね。
それよりも、やっぱり僕にも瞑想スキルがある。
スキレベは7。
最近覚えたんじゃなくて、前からあったんだろうな、これ。
ということは、どういうことかと考えると、その存在を意識していなかったから見えていなかったのではないか、という推測となる。
指導スキルもそうだったんだけど、自分が認識していないだけで、数値として表すことができる技や能力は、もっとあるということなのか。
異世界、奥深いな。
瞑想スキルは7か。
これ、きっとMPに関連あるスキルだよね。たぶんだけど。
ひょっとして朗報じゃない?
転生失敗している少年は、ありとあらゆる魔法を知っているのに、MPが魔法を覚えて二週間のルマリエッタ様より少ないという、大変悲しい状況となっているので、瞑想スキルを上げることができれば、もしかしてひょっとして。
おーし、なんかやる気出てきたな。
真剣に瞑想する二人とともに、転生瞑想美少年になってしまおう。
それからさらに二週間ほどお屋敷通いを続けると、ルマリエッタ様がプペシュ学舎へ通い始めるということで、今までの中一日おきの指導から、中二日おきの指導に変更となった。
彼女はプペシュ学舎でも魔法を学び、他にも戦略戦術や戦闘技術、歴史や教養など、紫苑騎士隊に入隊するために必要な知識を学ぶそうだ。
うまくいって欲しいね。
それにしても、プペシュ学舎か。懐かしいな。
プペシュ学舎というのは、昔この国にいた偉い大魔法使い、プペシュ様が建てた学校で、令和日本人が想像する学校という施設とは違い、私塾の集まりみたいな場所だ。
敷地の中央に、魔法講座がある本堂と大きな書庫がある。
学舎は魔法の講座が本体で、残りの講座は、講座の開設を希望する者が学長にお金を支払って場所を借り、そこで生徒を募って講義を行い、謝礼を受け取るというスタイルだ。
プペシュの理想を具現化しているとのことで、講師はあまりにひどい内容でない限り、お金さえ払えば自由に講義を行うことができるので、様々な『先生』がいて、様々な講座がある。
精霊魔法に特化した魔法の講義を行う教師もいれば、行儀作法の講座もあるし、政治・歴史・地政学・戦術研究講座から、外国語講座や医術、美術、剣術、建築術まで、ありとあらゆる講座がある。
もちろん、質はピンキリ。
『○○先生の講座で学位を取れば、どこの貴族家でも雇ってもらえる』なんていう人気のクラスもあるし、誰も知らない、キャリアに何の意味も持たない講座もある。
人気の講座の受講料はもちろんお高いし、逆に不人気講座では、なんと出席するとお金がもらえる場合もある、という噂もある。
講座の継続は無制限ではなく、人気がないと学舎との講座契約を打ち切られ、継続ができないので、『プペシュ学舎で講座を持っている』という社会的なステータスを失わないために、そういうことをする教師もいるのかもしれない。
でもそれは、前の話ね。
少年が転生する前の話。昔話です。
今はどうなっているんだろうね。
昔、大魔法使いヒロキだった時に、プペシュ学舎の書庫と実験室を使うために、講座を持っていたことがあったんだ。
講座を持つと、それらを教師として使用することができたからね。
その時に必要な資料と設備が、両方とも揃ってたからこりゃ便利ということで。
その研究には数年かかる見込みだったから、講座の契約が破棄されないように、定期的に講義をしなければならなくて。
人気のない講座は、下から順番に入れ替え対象となる可能性があったから、割と真面目に魔法のことを教えたんだ。
その時の生徒の中に、特に優秀な魔法使いの若者がいた。
名前はユシュ。
やっぱり思い出しちゃうな。
ユシュと僕は、先生と生徒という立場を越えて仲良くなって、一緒に魔法の迷宮に行ったり、遺跡の調査に行ったりしてたんだ。
懐かしいな。
彼は僕のように、人間の寿命を超えて生きることはなかった。
何度か勧めたんだけどね。
だから寿命がきて死んでしまった。
彼の気持ちは、その時はわからなかったけど、後でわかった。
だから、今世は寿命で死ぬことにしている。
普通に生きて、普通に死にたい。
ユシュと同じように。
彼は年を取ってから、プペシュ学舎で講座を持って魔法を教えていたから、彼の弟子か、弟子の弟子か、そのまた弟子くらいは、まだいるんじゃないかと思うけど、どうなんだろう。
プペシュ学舎か。
今はどうなっているんだろうか。
ちょっとだけ、行ってみたいな。
今度、ルマリエッタ様に学舎の様子を教えてもらおう。
誤字などありましたらご指摘ください。
つたない文章ですが、楽しんでいただけたら嬉しいです。




