表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/18

第11話 迷宮訓練

翌日は、朝もはよから魔法の迷宮へ。


子爵とおぼっちゃま、それから自分と、護衛の騎士二名、従士二名の合計七人でアタック。


おぼっちゃまと転生少年は迷宮初陣ということで、しばらくは低階層をまわって慣れさせてくれるとのこと。前世では七十階くらいまで行ったことありますけどありがとうございます。お気遣いが嬉しいね。


前衛の子爵と騎士二名が敵をバッタバッタと倒していき、僕と二名の先輩従士がおぼっちゃまの護衛と後背への警戒をする。


ナナスの魔法の迷宮は、ローランド王国最大の迷宮で一階は直径1kmほどはありそうな大迷宮だ。

迷宮は、逆錐形となっていて下の階へ行くほど狭くなっていく。

スタイルは典型的な地下迷路タイプで、石造りの壁と床でできた通路が広がっていて、いくつもの小部屋があってモンスターがいたり宝箱が隠されていて、各階の奥に下の階へ降りる階段がある。


迷宮は「魔法の迷宮」と呼ばれるだけあって、普通の地下洞窟とは違う不思議な性質を持っている。


壁も床も淡く発光しており、灯りを持ち歩く必要がないのだ。


ただし、例外もある。


ごくまれに「ダークゾーン」と呼ばれる領域が存在し、そこでは迷宮の魔法によって完全な暗闇が広がる。そこではランプや松明はもちろん、魔法の明かりすら無効化される。

光を奪われた者は方向感覚を失い、足音さえ吸い込まれるような沈黙の中で進まねばならない。


ナナスの迷宮で現在公式に最高到達階として確認されているのは地下四十八階までだ。

前世の僕はもっと深い階に行ったことあるけどね。


新人の訓練に使われるのは、一階から十階くらいまでで、それより下へ行くとポップするモンスターが手強くなる。

魔石で安定して稼ぐ冒険者は十階から二十階あたりを周回し、珍しいドロップ品を狙う者たちは三十階より下に潜る。


この世界のシステムでは、とどめを刺さないと経験値が得られないということはなく、戦闘しているグループにおいて、自分にできることで貢献していればそれを経験とみなされるようで、戦わない斥候や、ヒーラーも頑張れば位階やスキルが上がるし、時には何もせず見ているだけでも、そこに成長があるならば、それが経験と判定されるので、上級貴族の子弟が護衛を連れて迷宮を回るというのはよくある訓練なのだ。


一階から五階に出るのは、スライム、ゴブリン、インプ、スケルトン、大コウモリや大ナメクジ、狂犬などなど。RPGゲームでお馴染みの低級モンスターだ。


そのいずれも前世で散々相手をしてきた雑魚モンスターばかり。僕にとっては懐かしのお相手。


けれど、七歳のぼっちゃまにとっては初めての実戦だ。頑張りましょう!


石の通路を進む一行の前に、ぬるりと影が揺れた。

半透明のスライムがずるりと床を這い出す。


すぐさま子爵が一歩踏み出し、鋭く剣を振り下ろす。

鈍い音とともに、スライムは真っ二つに裂けて消えた。


「すごい!」

ぼっちゃまの声が、通路に明るく響いた。

小さな体で木剣を握りしめ、前のめりになる。

恐れる気配はなく、むしろ目を輝かせている。


「ヒム、弱いモンスターでもためらえば危うい。判断を早くするのだ」

「はいっ!」


とはいえ、子爵やベテラン騎士には物足りない階層なので、時にはエンタメ供給ということで、子爵が剣術スキルによる特殊攻撃をしておぼっちゃまに強パパアピールもある。


「むーん!『剣閃』」

十歩先まで届く衝撃波を放つ、そこそこ強い騎士がよく使うスキルだ。


衝撃に当たったゴブリンが吹き飛んで倒れる。


「父上!すごい!」

「まだ敵がいるかもしれぬ、油断するなよ」


などと、あえてどやらず、クールに決めるパパにおぼっちゃまが大興奮だ。


そんな調子で最初はゆっくり慣らしながら階を進めていき、六日で六階に到達した。

それから一日の休みを入れてからも順調に階を進め、次の六日で十階まで進むことができた。


十階までいくと、一度に出現するモンスターの数が増え、身体がやや大きくなり強さが増すが、まだ単調な攻撃パターンが多く、ぎりぎりチュートリアルゾーンといったところ。


到着から二週間で十階に到達した後、子爵はそれより下に進むことはせず、十階を周回することにした。

ここまでなら子爵と二名の騎士の腕は確かなので、チュートリアルモンスターなどに後れを取ることはないので安心だろう。


魔法の迷宮は、入り口と各階の階段そばの壁に紋章のような飾り彫刻があるのが普通で、訪れた冒険者はそこに手を触れさせると、同じ迷宮内の一度触ったことがある紋章へ自由に転移することができる。

だから、明日からはすぐに十階の周回が再開可能。


自由に転移だぜ。

すごくない?


これって、よく考えるととんでもない魔法技術なんだけど、迷宮自体がありふれているせいか、この世界の人々は疑念を持たず、ごく当たり前に使っている。

僕も転移した当初はだいぶびっくりした。

もう慣れたけどさ。魔法ってすごいよね・・・。



十階で二週間、周回戦闘を行う。


慣れてきた従士たちは騎士たちに代わって前線に出て戦闘をするようになり、僕もおぼっちゃまの後ろの定位置から前線への転勤を指示されてしまった。


「騎士になるために必要な修練だ」とのこと。

いらんがな。


とはいえ、体育会系スキルが上がるので、真面目に頑張る。

一か月の遠征の終わりがあと一日となった夜、スキレベ上げにみっちり取り組んだので、なんか上がってないかどうか、自分に鑑定をかけて調べてみた。


ステータスどん!


名前:セドリック・マルタン

種族:人間族

性別:男

年齢:13歳

職業:見習い従士

状態:健康


位階:1


能力値

HP:30/30(+12)

MP:18/18(+3)

STR:8(+2)

VIT:7(+2)

AGI:9(+2)

DEX:9(+1)

INT:18

LUK:18

CHA:18


スキル(戦闘)

魔法:20(レジェエンド)

神聖魔法:0(素人)

精霊:20(レジェエンド)

格闘:3(初級者)

剣術:8(+2)(中級者)

槍術:4(+1)(初級者)

弓術:3(初級者)


スキル(非戦闘)

鑑定:20(レジェエンド)

商売:11(上級者)

政治:14(専門家)

祈り:2(+1)(素人)

医術:14(専門家)

動物:5(初級者)

料理:1(初心者)

建築:20(レジェエンド)

栽培:12(上級者)

採掘:0(素人)

工芸:20(レジェエンド)

芸術:20(レジェエンド)

研究:20(レジェエンド)

古代語:20(レジェエンド)

外国語:12(上級者)

社交:8(中級者)


おおっ。

いいじゃないか。

剣術と槍術のスキレベが上がってHPがあがっておる!

12も上がった!やったぜ!


だけど、ちょっと不安もあるんだけどね。


このまま剣と槍の修行をしてると騎士まっしぐらなのよ。

他にも騎士に必須の馬の世話もやらされてるせいか、最近馬と通じ合うことが増えてきたような気がする。

動物スキルが上がりそうな気がする。あと乗馬スキルはいつ生えてもおかしくない。


いや、さ、ほんとうに騎士になりたいならすごくいい環境なんだけどさあ。

目をかけてもらってるしさ、恵まれてるんだよ、ほんとに。


困ったもんだ。


そんなわけで滞在予定のひと月の最終日。

迷宮に潜るのは今日が最後だけどやることは変わらずで、いつものように十階周回で戦闘訓練だ。


現われたゴブリン五体を僕と二人の従士ぱいせんたち三人だけで戦う。

子爵と騎士のアニキたちはおぼっちゃまと一緒に見守り隊。


ぱいせん従士たちがタンク役のような感じで剣と盾でゴブリンたちを牽制する隙をついて僕が槍で突く。

えいえい。

やっぱり槍は強いよなぁ。

遠くから攻撃出来て実にいい。誰かの後ろから攻撃できるのが素晴らしい。

そうだな。これからも槍役に指名されるように率先して槍術のスキレベ上げするか。

誤字などありましたらご指摘ください。

つたない文章ですが、楽しんでいただけたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ