「常軌を逸していた」 石破内閣1年を振り返る
質問者:
石破さんが「ついに辞任」と言う感じなのですが、1年間とは言え色々あったような気がしますね……。
筆者:
そうですね。
僕は半分冗談っぽくはありましたが、「自民党総裁選を実施しそうになったら石破氏は自民党解党解散する」説を唱えていたので大きく外れてしまいましたね(笑)。
ここで簡単にではありますが「石破政権の1年」について個人的な振り返りを行いたいと思います。
◇就任直後
まずは自民党総裁、首相指名直後から「異様さ」を露呈することとなりました。
自民党総裁選の公約では国会で補正予算について話し合ってから解散をするかどうか決めると言っていたのにもかかわらず、就任した直後に解散をしたのです。
また、国会の答弁で「総裁選の公約通りに実施するとは限らない」ということを口にし、即座に全ての公約を事実上否定したのです。
この時点でまず法的には問題が無かったとしても「人間として果たしてどうなのか?」と疑義が持たれました。
更に直後の衆議院選挙中に「裏金議員」として非公認した議員の所属する支部に対して「公認費用」を含む2000万円が渡されていたことが分かりました。
裏金問題については完全に中途半端で、切るなら徹底して切り棄てるか、
もう仲間として受け入れるかのどちらかにしておけばそれぞれの固い支持者から自民党へ票がまだ入ったと思いました。(ただかつての旧石破派でも“裏金問題“はあったので徹底的な処罰は自らに跳ね返ることになったのでしょう)
◇選挙終了後も……
また、衆議院選挙終了後に「商品券10万円」を当選1回目の議員に配っていたことが発覚し、
「これまでの首相の慣習」に普通に則っていたことも分かりました。
石破氏はどちらかと言うと「自民党への改革者(党内野党)」として忌憚のない意見を述べていたようなことを期待していたために、
しかもこの後1人あたり10万円以下の国民への給付については「当選議員1回目以下」の扱いとして不評を買うようになりました。
春の国会では立憲民主党と「握った」ことによって「実質増税」とも言える将来の負担増を予測させるような年金改革法案を通過させた一方で、
減税に対してはネチネチと「日本の財政はギリシャより悪い」などという言い訳を重ね
所得税控除引き上げを雀の涙ほどしか引き上げないという有様でした。
外交に関してもどちらかと言うと親中寄りの交渉を行い、アフリカやインドに対して「投資」と言う名のバラマキを行いました。
外為特会原資は国債で購入しているので、「日本国民への投資」を行うべきでした。
極めつけはアメリカとの「関税交渉」でして、80兆円と武器購入、農産物輸入拡大と引き換えに10%下げさせる程度しかできないという有様でした。
トランプ氏側が「非関税障壁」と提示した消費税(アメリカには消費税が無いためにアメリカ側からの会社が不利になる)を廃止して10%下げさせるべきでした。
◇史上初の「国政選挙2連敗」にも関わらず続投を試みるも力尽きる
参議院選挙中では石破首相や自民党の「失言」が相次ぎました。
特に鶴保予算委員長(当時)の 「運のいいことに能登で地震があったでしょ」が致命的でしたね。この発言だけで5議席は失ったと思います。
自公過半数割れまで3議席だったので「人選」と言う「身から出た錆」が今回の辞任への遠因となったと思います。
結局のところ「居座り」と見られて批判の嵐に耐え切れず最終的には自ら身を引く決断をしたのだと思います。
質問者:
なんだか「いいところが無かったな」と言う印象しかありませんでしたね……。
最後は潔く身を引いたということなのでしょうか……。
筆者:
参議院選挙から約50日経過しての会見だったために「潔かった」とはとても言えません。
そもそも、去年の衆議院選挙では自公で過半数と今年の参議院選挙は非改選合わせて自公で過半数と言う、「極めて低い目標」でありながらその目標を下回っても「比較第一党」ということを強調していましたからね。
質問者:
では逆にどうして辞任を決断されたのでしょうか?
筆者:
恐らくは辞任会見の直前に会った小泉氏、菅氏から「小泉氏を総裁選で支援すればポスト確約」を貰えたのでしょう。
現状でも「史上初の国政選挙2連敗」の不名誉ですがこれが解散総選挙で「3連敗&自民党崩壊」となれば歴史の教科書などで悲惨な書かれ方になるでしょうからね。
現職首相が自民党総裁選へ出馬して落選したことは過去1回しかなかったようなので(過去は全て直前に断念)その不名誉もありましたし、
石破氏にとって最悪の展開は新総裁から「除名」をされて首相なのに無所属で選挙に臨んで落選まですることです。
政治家家系の石破氏としてはそれだけはなんとしても避けたかったんでしょうね。
◇ただし、「安倍政権も良くなかった」ということを強く認識しなくてはならない
質問者:
何だか最後まで国民へ目線が無いまま政治闘争に終始した感じでしたね……。
筆者:
ただ、タイトルには「石破政権は常軌を逸していた」と書きましたけど、
国民を見棄て政治闘争に明け暮れている感じがある政治家が常態化していること自体が「常軌を逸している」と言わざるを得ないですね。
この点は民主主義以前の「独裁政治」時代と全く変わらない様相と言えます。
石破政権の過去の総理大臣との特異性は「選挙で敗北したにもかかわらず更に居座ろうとした」ということぐらいでしかありません。
質問者:
次の総裁選候補者の有力候補として高市さんが挙げられていますけど、
筆者さんはあまり評価されていませんよね。
筆者:
高市氏は要は「安倍政権の継承者」と言う位置づけで保守派から期待されているのだと思います。
僕は日本文化を守る――分類で言えば保守っぽい考えではありますが(保守だの革新だの分類がそもそも好きでは無いですが)、安倍政権が「保守」だったとはとても思えません。
事実上の移民政策である外国人技能実習制度を始めたのは安倍政権ですし、
オリンピックやカジノで利権を拡大し、
TPPの加入や種子法廃止によって農業の衰退の一因となりました。
また「三本の矢」とか言っておきながら2つ目の矢の「積極的な財政出動」は法人減税のみで、むしろ消費増税によって「賃下げ」が行われました。
こんな政治の継承者だと言われても僕は全くテンションが上がらないということです。
質問者:
亡くなった安倍元首相は一体何が優れていたんでしょうか?
筆者:
これは小泉元首相にも言えますけど彼らは「保守っぽい演出」が得意だったと思います。
小泉元首相は靖国参拝や拉致被害者奪還で、
安倍氏は集団的自衛権の行使や中韓へ強めの態度を取ったことだと思います。
(拉致被害者はもっと早く政府が動いていればもっといい方向に進んだと思われ、どれもそこまで評価できる内容だとは思えないんですけど)
後は当時のアメリカ大統領(小泉氏ならブッシュ氏、安倍氏ならトランプ氏)と極めて友好関係(実際は隷属を深めただけ)を築いたかに見えたのも大きかったと思います。
質問者:
なるほど……確かに保守の方からは妙な人気がありましたよね……。
筆者:
カテゴリとしては保守の数が多いと思うので、「保守を騙す」のが票獲得のためには一番手っ取り早いのだと思います。
こういった政治家の印象操作に騙されないためには、
「実際に国民に対して何をしようとしているのか?」
ここを見極めることが大事だと思います。
向かう先は緊急事態条項を憲法改正で創設し、マイナンバーなどデジタルで紐づけしつつ、権力機構を集中させた事実上の覆しがたい独裁体制だと思っています。
これらが嫌でしたら、「予兆」をこれまでの政治家の方の言動から見極めてしっかり評価することが必要なのかなと考えています。
質問者:
だから何か、いつも各政党や政治家さんに対して「警戒」みたいな発言をされているわけなんですね……。
筆者:
一度この独裁体制が起きてしまえば覆せないと思うので、起きないように努力(政治的発信を行う)をするしかないと思います。
何にせよ政治が動くことは間違いないのでいい方向に転んで欲しいなと心の底から願いたいですね。
今後もこのような政治・経済について個人的な意見を述べていきますのでどうぞご覧ください。