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十一章 秘めたる思い
(要注意人物は、宮本キャプテンに村田福キャプテン、それに田中――先輩……意外な名前が挙がったな……)
遊理から提供された情報を反芻しながら、バスから見える風景を眺める克弥。
(今頃、桃たちは練習してんのか……)
四日で野球部に勝てるくらいに野球が上手くなる練習だ。いったいどれほどの猛特訓になることか、想像しただけでも恐ろしい。
だが、負けたくはない。
負けたときの桃の顔は見たくない。
悲しい顔をする桃を見たくない。
彼女の笑顔を見ていたい。
子供の頃から変わらない気持ち。
いつの頃からか抱いていた、抱き続けてきたその気持ち。
桃の笑顔を見続けるために、克弥は誓う。
「絶対に負けねぇ」
これから行われるであろう猛特訓にも、四日後の試合にも、それ以外のことにも。
どんなことにも負けないと誓いを立てる。
しかし、桃の家に辿りついた克弥は、驚愕することになる。
その家の庭で行われていた、練習風景を見ることで――。
短くてすみません。