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幸せな日々

 それから離れていた時を埋めるように、2人は話し合ったし常に一緒にいた。

 今では、凛は執務をこっそり手伝っているし、ラルクも凛の鬼上司っぷりを垣間見た。

 凛の手伝いのおかげて執務は早く終わる日が多くなり、空いた時間は散歩に行ったり、城下町へ行ったり、本を読んだり平凡な日常とも言える日々を凛とラルクは2人でゆったり幸せに過ごしている。



 ーーそんな生活が1ヶ月が過ぎた頃、凛が倒れた。



「(ん? 横になってる? あー。とうとうラルの前でやっちゃったのか)」

 まだしっかり覚醒する前のぼやけた頭で、直前までの記憶と現状から結論を導き出す。

 今まではふらつきそうになる前にちゃんと座って休んだりしたのだが、今回は予防する間もなく急に意識が無くなった。

 ラルクの前でだけはやりたく無かったんだけどなぁと周りを見回すと倒れた執務室ではなく、ラルクのベットに寝ていた。しかも昼間だった筈なのに今は夜で随分長いこと意識を失っていたようだ。


 すると、食事を運んでくれていたらしいラルクが凛に気がついた。

 ラルクは素早くテーブルに食事を置くと、ベットに駆け込んできた。


「リン〜。大丈夫?」

 ラルクは凛を抱きしめながら声をかける。顔は見えないが、声が震えているので相当心配をかけたようだ。

「大丈夫だよ。心配かけてごめんね」

 ベットの上で食事を取ったあと、眠りにつこうとラルクに抱きしめられながらベットに横になる。



 暗くした部屋の中、ラルクが小さく言った

「おいていかないで」

 という言葉に、凛は寝たふりをして答えず

「(ごめんね)」

 と心の中で謝るしか出来なかった。




 ーーそして、倒れた次の日から、微熱が出始めた。


「(あー。本格的にお別れの時間が近付いて来たんだなぁ)」

 心配したラルクに今日は執務室へ行かず安静にしているように言われた凛は、ラルクのベットで寝ている。


「(この1ヶ月、何気ない日常がこんなに幸せな事なんて知らなかった。私ばっかり幸せにして貰ってバチが当たらないかな)」



 ーー次の日も微熱は下がらなかった。


 昨日いっぱい休んだからと執務室に行こうとしたら、熱が下がったらまた執務室に一緒に行こうとラルクに言われた。

「(熱はもう下がらないんじゃないかな)」

 と思ったけど、ラルクには言えなかった。



 ーー次の日はもう微熱ではなく普通に熱があった。


 熱が上がっている事にラルクが辛そうな顔をする。

 凛もやはりもう良くなる事はほぼないと確信したので、気になる事は死ぬ前にやっておくべきだと、今日の夜、話をしようとラルクを誘った。



 ーー夜。


 凛はベットに横になりながら、ラルクはベットサイドで寝る前のお酒を飲んでいる。

 凛はそんなラルクに聞きたかった事を話す事にした。

「ねぇラル。SEXしないの?」

 ーーゴホッゴホッ。

 ラルクがむせた。あまりにも直球すぎたのだろうか?

 ラルクが落ち着くのを待つ。

「あー。急にどうした?」

「恋人だとヤるものなんでしょ?」

「んー。……まぁそうだな。でもリンは気持ち良いと感じた事ないんだよな?」

「そうだけど……でも、ラルが気持ちよくなってくれればきっと嬉しいと思うよ」

 この1ヶ月の間、お互いに話した時、どんな話題からその話になったかは覚えていないが、人と体を繋げて1度も気持ちいいという”快楽”を感じた事がないと言ったらラルクは驚いていた。

 その時に、恋人は身も心も繋がりたいから体を繋げるんだと教えてくれた。

 そして同時に、ラルクと凛はガッチリ心が繋がったから焦って無理にする必要はないんだとも言ってくれて、結局今まで体を繋げたことはなかった。


「じゃ、リンが元気……になったらしてみよっか」


 凛の頭を撫でながら優しく微笑むラルク。



 やっぱりラルクも、薄々思ってるよね?









 もう、元気になる事はない



 ということ。

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