再会(ラルク視点)
ーー時は遡り、執務室。
「では、妹が来るので本日午後はお休みさせていただきます」
「ああ、妹さんによろしく」
「はい。突然ですみません。失礼します」
昨日突然イリヤから次の日、家族が訪れる事になった為、午後休暇を貰いたいと言われた。
これか? と、ユベルを見たいがちょうど護衛の引継ぎ中で居なかった。
イリヤは以前にも家族が突然会いに来るという同じ事があったので、凛関係ではないのかもしれない……。
と、前日までは思っていたが、昼食後に執務を再開した頃からなんとなくユベルの発する空気がソワソワしている気がする。
なので直球で問いかけてみる。
「ユベル。今日リン関係で何かあるのか?」
「さ、さぁ」
眉間に皺を寄せとぼけるユベル。
上手くとぼけられてないぞと突っ込みたいところだが、やはり今日何かがあるらしいという思いが優先して何も言わずに執務室をでる。
自室にいないかもしれないが、まずは事情を知っていそうなイリヤへの聞き取りだとイリヤの部屋へ向かう。
王宮で会う可能性は少ないだろうが、何となく気配を消して行動した方が良いという直感を元に、ユベルの分も含め部屋を出てから魔法で気配と姿を消して行動する事にした。
そして、イリヤの部屋へやってきた所、部屋には2人の気配。本当に妹さんだったら申し訳ないので少しだけドアに近づくと、何を喋っているかは分からないが、凛の声に聞こえた。
そう思った瞬間ノックもせず鍵を溶かして中に入ると、イリヤに押し倒されて服を脱がされそうな凛がいた。。。
ラルクは一瞬怒りに頭が沸騰しかけたがそれより優先事項があると思い直し、あわや魔力暴走という前回みたいな事にはならなかった。
イリヤを睨みつけつつ、呆然としている凛に近づくとイリヤを押し退け、凛を抱きしめた。
「リン会いたかった。俺が悪かったんだ。俺はどんなリンでも好きだ。例え暗殺者だろうが猟奇殺人犯だろうが大量虐殺が好きでも、痛いことするのが好きでも痛い事されるのが好きでも、どんなリンでも好きだ。愛する人を殺すのが好きなら俺も殺されたい。俺はもっとリンが知りたい。どんなリンでも相互に理解して一緒に生きたいと思う。俺も間違えるかもしれないし、傷つける事もあるかもしれないけど、なるべく気をつける、リンも我慢しないで思ったことはなんでも言って。リンは悪くないから。リンと一緒に生きていきたいんだ」
前半の言葉に凛含めた周りは笑えばいいのかドン引きすればいいのか困惑しつつ、後半はまともな事を言っているようでイリヤとユベルはホッとした。
「声を聞かせてリン」
凛の顔を両手でそっと掴むと、慈しむようにラルクは凛を見る。
凛は手紙を読んだ上で、もう向けられる事はないと思っていた以前と変わらない全てを包み込むような優しい目を、まだ自分に向けてくれているのだと理解した。
「ラル……」
再び目覚めてから全く動くことのなかった凛の表情が崩れ、泣き笑い顔をつくった。
「ラルが……好き(後少しだけど、ラルの時間をもらうね)」
やっと、2人のすれ違った心が重なったようで、ラルクも凛も抱き合ったまま暫く泣いていた。
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