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望まぬ変化(ラルク視点)

 その日もいつもと変わらない執務室。

 ……だったが、空気は重い。


「ラルク様が遠征を避けるようになって4ヶ月。流石に周りも黙っていられないですよ」

「でも、リンが……」

「今回は公爵家の領地ですから、同等かそれ以上の地位の方がいないと難しいと思います」

「でも、リン……」

「リンちゃんの事は見ていますから、公爵領ならばラルク様なら最短で2日で行って帰って来れますよね」

「そうだが……リン……」


 イリヤの言葉にラルクは項垂れる。イリヤの言葉は正しいのだ。ラルクはチラッと凛を見る。いつもの如くソファで静かにドアの方を向いている。


「……分かった。じゃ、ユベルをリンの護衛に残していく。ユベルもいいな」

「しかしそれではラルク様が……」

「別の護衛を連れて行く」

「……はい。かしこまりました」


 その後、遠征準備を行いラルクは1度挨拶に執務室に訪れた護衛を伴って次の日には公爵領の、領地へ向かい



 ……3日経っても帰って来なかった。



♢♢♢



「イテテ。あー失敗した。ちょっと焦り過ぎてたかなぁ」


 公爵領での挨拶、討伐監督の後、帰れるという事で、公爵邸を出た後いつもの用に先行して飛んで帰ろうと飛行魔法で上昇していた時、恐らく封魔石を投げつけられ運良くラルクに当たり、飛行するのに使っていた魔力をかき乱され、地上に落ちた所を封魔石の枷で魔力を封じ込まれ捕まったという経緯だ。


 なんとも原始的な作戦である。

 だが、それが成功してしまったのだ。


「(いやぁ、護衛騎士5人のうち4人に裏切られるとはねぇ。あの最初に斬られていた護衛騎士は大丈夫だろうか。あまり傷は深そうでは無かったが)」


 まさか味方から攻撃されると思わず、焦っていたのもあり不意打ちに対応出来なかったのである。

 魔法を封じられだとはいえラルクも王子の為、護身術位は出来るが流石に本業の騎士4人にかなう筈はなく大人しく従っていた。


 馬車に入れられた後、眠りの魔法をかけられ、今に至ると。周りを見渡すとゴツゴツとした岩で出来ている牢のようだ。淀んだ空気ではあるが暑くもなく寒くもなく空調が管理されているのがうかがえる。

 よく見るとふんだんに封魔石が使われている。これだけ高級で希少な封魔石を使用出来るとなると相手は辺境伯以上だろうとあたりを付けた。

 体を起こすと、ジャラジャラ音がし、音の方を見ると少し長めの鎖がついた手枷と足枷がはめられていた。

 飛行魔法で落ちた時も含め、体は痛いが骨折等はしていないようだ。魔法が封じられ治癒の回復魔法も使えない為、癒す事は出来ないが。


 攫っていった状況からきっと王子と知っていて、この待遇。中々ヤバイかもしれないとラルクは思った。


 ーーそして嫌な予感は当たるもので、その日から拷問が開始された。



♢♢♢



 吊られていた体を下ろされ雑に床にころがされる。自分の体重を支えていた手首は痺れて感覚が分からず、肩も痛い。鞭を打たれた背中は燃えるように熱く指1本も動かせない。

 拷問開始前に目隠しをされ、誰が鞭打っているのか分からない状況、ラルクが顔を知っている相手なのか、ただより苦痛を合わせる為だけにしているのか、鈍った頭で情報を集める。


 1度去って行った男が水音をさせながら戻ってきたようだ。


「傷には消毒をしなければならないからな。はははっ」

 と、声をかけると動かないラルクに水をかけた。


「がぁぁぁあああああ、あ、あ、あ、あぁ……」


 水は水でもただの水ではなく”塩水“だった。先ほどまで少しも体を動かせなかったのが嘘のように床を転げ回る。


 水をかけた男は笑いながら去って行った。


「あ、あぁ、リン、リン、リン……」


 これは罰なのだろうか。

 凛を遠ざけてしまった罰か。

 凛を助けられなかった罰か。

 死を望んでいた凛を殺してやらなかった罰か。


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