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古巣

 イリヤの部屋を後に身一つで王宮の外へ出る。

 イリヤに説明したように朝でも良かったが、一刻も早く、辛くも幸せでもあったこの場所を離れたかった。


 それに。


「ネズミさん1匹みっけ」


 凛は音もなく男に近付くと、王宮近くの路地裏にいた柄の悪そうな相手に話しかける。


「もしかして私に用事じゃない?」


 突然話しかけられた男は驚いていたが、凛が前髪を上げると戸惑いつつも、周りを見回し、誰もいない事が分かるとニヤリと笑い”ついてこい”と言って歩きだした。


 男に案内された先に居たのは、凛がいた貴族の屋敷にも何回か出入りをしていた客だった。


 客は柄の悪い男に無理矢理連れて来られている訳ではなく、凛が何の枷もなく自ら歩いて来る事に驚いて怪しんでいた。


「俺に何の用だ?」

「用があるのは貴方だと思うけど。ずっとこそこそ王宮の周り探ってたよね? まぁ、私も用があるから良いんだけど。いくつかの条件の元で雇ってくれないかな?」


 元客は驚く。今第三王子の元で身を寄せていた筈だがこれはどうした事かと素早く周りをうかがう。


 凛は一気に妖艶な顔をすると


「ちょっと下手うっちゃって匿って欲しいの。貴方なら私の有用さを知ってるでしょう? 匿ってくれる間、こちらから提示する条件さえ守ってくれれば、何でもして良いから、貴方が私を雇うか何処か良い所紹介してくれないかなと思って」


 と言った。


 自分と同じように凛を忘れられない者は多く、第三王子の所有物を手に入れる事は困難だと分かってはいたが、何もせずにはいられず、柄の悪い男に見張らせ、情報を集めている段階だった。


 それが、第三王子所有となり贅沢三昧だったであろう凛が何の拘束もなく自らここに居ることが理解出来ず、何かの罠ではないかと思った。

 だが、一度手に入れてしまえば王族相手だろうと、隠し通せる自信があった。

 ならば、かけてみても良いかもしれないと思い取り敢えず条件を聞く為、元客は言葉を続けた。


「条件は何だ?」

「1つ目は、絶対このヘアピンは取り上げないこと。2つ目もこの青いリボンを取り上げないこと。この2つは壊すような事をするのも禁止。守れなさそうな人を紹介するのも禁止。3つ目は私の治癒能力を活かしてくれること。宮廷魔道士に言われたんだけど、私のようなタイプは使えば使うほど能力が伸びるんじゃないかって話」

「そうなのか?」

「分からないけどそうみたい。でもいきなり魔物退治とか怖いしそれなら安全な場所で頑張って能力伸ばせたら良いなと思ったんだけど、どーかな?」

「……分かった。良いだろう。その条件すべて守ろう」

「じゃ、契約成立だね。よろしく」

「ああ」

 

 凛の話は元客に取っては良すぎる話だ。

 何を目的としているかは不明だが、それでも凛が手に入れた後の利益が高いとみた。


 元客は凛と共に夜の町を進んでいく。


 ーーそして、凛の消息は不明となった。

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