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第六章 戦場に戻る
時計はまた止めておいてもらうことにした。ピヨ星にいて、心が癒えるまでは時計をもう一度止めておくことにした。
ピヨ星では穏やかな毎日を過ごした。クックの作ってくれたおいしい野菜を食べたり、ラブーラと一緒に歌ったり踊ったり、色んなかわいい生き物に出会ったりした。
「君は悪くない。ただ信じるように生きただけだ。」
ピヨピヨの優しい言葉に、私の凍っていた心は解けて、視野が広がった。
「いつもありがとう。」
「僕はいつもそばにいるよ。」
タイムアウトは終了した。私は、精神科医としての使命を全うするために地球に戻ることにした。ピヨピヨにお願いして、周りの人の私に対する記憶や周りの人に対する私の記憶を全部消してもらい、白紙からやり直せるようにしてもらった。
不思議なことだ。本来、一日の始まりは、毎日が白紙のはずなのに。記憶というものは一体何なのだろう。なぜ、私たちをこんなにも苦しめることができるのだろう。
とにかく、私は記憶を捨ててみることにした。良い記憶も悪い記憶も全部。すると、人生の歯車がゆっくりと回り出すと共に、時計も再び動き始めた。