第三十章 非日常の世界
私はシルバータウンに行ったり、タイムストーンを使って過去に遡ったり、コントローラーオブデスティニーの話を聞きに行ったりした。
シルバータウンは確かに理想の王国で、そこの住民はお互い独立していて、干渉し合うことはなかった。しかし、理想的過ぎて、少し退屈することもあった。
次にタイムストーンで過去に遡ってみた。私が行きたいと思ったのは、もちろんクラス旅行の前。そして、私は過去の自分にとにかくクラス旅行には行かないように伝えた。
最後にコントローラーオブデスティニーの話を聞きに行った。彼女は少年グリンにも言ったように、私たちは全てをコントロールできる訳ではないが、それでも物事が少しでも良い方向に向かうように努力する権利と義務を持っていると私に話した。
リタへの直接的な復讐についてはコントローラーオブデスティニーは賛成しなかった。どんなにリタに嫌なことをされても、私は十分強いのでそれを跳ね返す力を持っているから、わざわざ復讐なんてする必要ないと彼女は私に話した。自分の内なる力を信じなさい、と。
私はその通りだと思った。それをコントローラーオブデスティニーに伝えると、彼女は「魔法の消しゴム」を私にプレゼントしてくれた。それは自分や人の嫌な思い出を消す、つまり忘れるようにできるアイテムであった。
使い方は簡単。私が「消しゴムよ、この○○という記憶を消し去っておくれ」と唱えるだけで、その○○という記憶は消える。
つまり、リタがどんなに私に悪い記憶を植え付けても、私はそれをすぐさま消すことができる。すると、リタもだんだん意地悪する気力を失うであろう、という戦略である。
私はコントローラーオブデスティニーに感謝し、地球の現実世界に戻った。
しかし、そこで私は順番を間違えたことに気づいた。クラス旅行に行かないように自分に伝えたので、私はクラス旅行に行かなかったことになっていた。私は整形外科医で独身、メガネをしてキリキリとしていた。私は思わず笑いそうになった。そんな私も悪くはなかったが、私は今の、少し脆くても愛したり、愛されたりできる自分の方がよっぽど好きだった。だから、せっかく手に入れた魔法の消しゴムの効果を試す意味でも、私はタイムストーンを使ってクラス旅行の前の自分に会い、事情を説明し、あえてクラス旅行に行ってみるように提案した。
すると、案の定私は病気になり、留年し、精神科医になるも二回休職し、結婚して今の自分になるという運命を辿った。さて、明日から魔法の消しゴムを使って、どれぐらいの効果が得られるだろうか?




