最終日-終わりの日
言いたい。
一番に言いたい、誰よりも。
ただ、それだけの事なのに。
神様、神様。
どうか、間に合ってください。
Last week-7 終わりの日-
窓の外はただ、真っ黒。
でもだんだん日本に近づいているんだと思うと、
なんだかやはり、嬉しかった。
多紀に会える。
ただ、それが今の私を支えている。
私はやっぱり幸せ者だと思う。
運もいい。
日本に帰る、パイロットさん達に拾ってもらえたんだから。
太陽の光が無いフライトは危ないと思う。
飛行機のライトで、いけると思う?
普通の夜じゃないんだよ・・・。
だけど、そんなこと思っている暇はない。
ただ思うの。
間に合ってください。
「会いたい人が居るの?」
スチュワードさんが私に暖かいスープを差し出しながら聞いた。
寒い飛行機の中、差し出されたスープはすごく温かかった。
「はい、とても・・・大切な人です。」
そう言うとスチュワードさんはニッコリと笑って、
私もよ。
そう言った。
「会えるといいわね。」
「はい・・・。」
それからはずっと無言。
話せなかった。
どうしてか分からない。
寒くて、寒くて。
凍えてしまいそうだった。
けど、心まで凍らせまい、と。
私は必死だった。
寝たら死んでしまう、とかあったけど。
そんなもんじゃない。
そんな、もんじゃない。
飛行機についている暖房とか、効いてるのか効いてないのか。
でも、日本へ帰って多紀にあえるなら・・・。
私はいくらでも我慢してみせるよ。
耐えて見せるよ、私はただ言いたいだけ。
「おめでとう。」
これだけ、言いたいんだ。