五日目
今、考えて見れば、そう。
親からすれば、子供は何よりも、
大 切 な モ ノ 。
Last week-5-
「どういう事なの!?」
朝、寝心地が悪くて、目が覚めた。
「お父さん、どういう事なの・・・!?」
私が起きたのは空の上。
寝てたのも空の上。
それもそのはず、起きて見るとココは飛行機の中。
ファーストクラス。
「私は、残るって言ったじゃない!!」
「関係無い。」
「どうして!!」
「秕奈、お前がここにいるのは、私の、お父さんの大切なモノ、だからだ。」
「そんな、そんな・・。」
秕奈は絶望した。
まさか、こんな事になるとは思ってもみなかった。
多紀と、過ごせると思ってた。
一緒に登校しようと思ってた。
「それじゃぁ、それじゃぁ私は、私の願いは叶わないじゃない・・・。
多紀と、お祝いが出来ないじゃない・・・。」
「何のお祝いなの?」
お母さんが心配そうにして聞く。
優しく、私の背中をさすりながら。
お母さんの表情は見えないが、手がふるえていた。
「8月20日は、多紀の、多紀の誕生日なのに・・・っ」
とうとう泣き崩れた私を見てお母さんは言った。
「正人さん、まだ遅くないです、この子を多紀くんの元へ・・・。」
「駄目だ。」
お父さんの声はまだ、固いままだった。
「お願い、お願い・・・。」
私は呟き続けた、声が枯れようが関係なかった。
ただ、多紀に会いたい、それだけだった。
私、このままスペースセンターで生きても。
ちっとも嬉しくない。
多紀が居ないと。
多 紀 が 居 な い と 。
私が私でなくなってしまう。
あぁ、どうか、
私と多紀を引き離さないで。
どうせ、どうせ後2日の命なの。
この心を多紀で一杯にして。
地球滅亡まで後3日。
もうすぐ2日になろうとする。