一日目
大好きなあなたと居れば、もう何もいらない。
アナタさえ居れば。
けど、本当にそう思う?
きっとそれは、あとから分かる物なのだ。
―――――世界が終わる、その日に。
Last Week
静かな午後に鳴り響いた。
一本の電子音が、朽木秕奈の家に響く。
お母さんは庭に出て、花に水をやっているので、
私はくつろいでいたリビングのソファーから立ち上がり、受話器を取った。
「はい、朽木です。」
「朽木、秕奈さんですか?」
聞いたことがない声だった。
受験生の私への家庭教師か何かの電話かと思った。
「朽木正人さんからのメッセージを預かっております。」
「え、はい・・・?」
そして、ピーと、電子音。
朽木正人は私のお父さんで、宇宙飛行士。
そう、今は宇宙にいるはずなのに。
何なのだろうか。
「落ち着いて、よく聞いてくれ。
今から七日後、世界は終わる。」
「世界が、終わる・・・?」
その時、一瞬時が止まった。
ソレが本当なのか嘘なのか。
七日後には分かるだろう。
嫌でも、嫌でも。
いつのまにか電話は切れていて、電話はただ、ツー、ツーと鳴るだけ。
「お、おかあさん・・・・・・っ!」
ガシャン、と受話器を叩き下ろして、
ただ、怯えた。
お父さんは、嘘は大嫌いなのだ。
そう、それが意味するのは。
今 日 は 、 世 界 が 終 わ る 、 七 日 前 。