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プロローグ
太陽が昇り、やがて沈む。
たったそれだけの間にもこの世界では何かが起きる。
ある所では新たな生命が生まれ、
ある所では生命が終わる。
またある所では誰かが何かを企んでいる。
最近やってきたこの街でも、そこかしこで冒険者達が魔物退治の仲間を募っていたり、老人が神に祈りを捧げていたり、棺桶を引きずって歩く見るからにワケありな男女がいたり、立ち止まって人間観察をしようものならあっという間に寿命を迎えてしまいそうなほど飽きの来ない日常が送られている。
そんな世界を一人でただブラリと放浪し、気儘に生きる女冒険者がいるらしい。
肩よりすこし下のラインまで伸びた黒髪、整った顔立ちに黒い眼。細身の腰には小さなポーチと短剣。全体的に身軽で地味な色合いを意識した出で立ちの彼女はいつも一人、夜な夜な酒場に現れるという。
「まぁ私なんだけどね!!!」
この物語はそんな私、フィーナのどうでもいい日常を綴った冒険譚。