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セカンド・ストーリー・オンライン 理想の魔女目指して頑張ります。  作者: 彩帆
第二幕

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51/130

51・SSOに興味がありますか?

/////////////////////////


【ヒストリーについて語ろう!#130】


 ――これは物語の断片

 ――この世界に生きる人々の人生の一部

 ――それこそがこの世界の歴史である


          SSO公式サイト、ヒストリーより抜粋。


 ここはSSO公式サイトにあるヒストリーについて語る場所です。


/////////////////////////


502://ななしの二人目さん

魔王勇者が目撃されたって本当?


503://ななしの二人目さん

>502 #101の映像にチラッと映ってる。ちょうど居合わせていたみたいだ


504://ななしの二人目さん

勇者と聞いて来てみればなんだエースのほうかよ。俺は女勇者ちゃんがよかった……


506://ななしの二人目さん

勇者って言えばまた新しい勇者発見したな。#105にいたよ


507://ななしの二人目さん

>497 MMちゃんなら#70に出てるっぽい。映像ないから確証はない


510://ななしの二人目さん

MMだったら#101にもいたなー。こっちもチラッと映っていた程度だけど


512://ななしの二人目さん

あの建国中の国の話って#21と#90の他にあった? どうなったか気になってるんだけど


516://ななしの二人目さん

MM! マイエンジェル! ラブ!


520://ななしの二人目さん

#105見てきた。勇者どころか赤フードの一味まで出ていたじゃないか


523://ななしの二人目さん

>512 国の様子見たいなら国王の配信サイト見に行ったほうがいい。


527://ななしの二人目さん

>507 それ、MMちゃんなのは確定している。本人の過去配信動画で確認してきた


532://ななしの二人目さん

#105に登場した騎士と忍者のPSが高そう。うちのクランに欲しい人材


535://ななしの二人目さん

#105、魔術師のあの技もやべーなおい。金ピカ連中もまた悲惨だな


536://ななしの二人目さん

闇の代償コンボぽいな。このコンボで有名といえば#68のやつとか


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 スキル【闇の代償】を使ったコンボって結構有名みたいですね。それにしてもここでも私達が出ていた動画が話題になっていました。また森に人が来そうですね……。


「今日もゲームをするんですか? 確かSSOという名前のゲームでしたかしら?」


 端末の画面を見ていたら目の前の彼女に声をかけられました。ホログラムの画面の向こうには、テーブルを挟んで座る彼女がこちらを覗き込んでいました。先程まで読んでいた今時珍しい古い本はテーブルの上に置かれている。


「ええ、そうです。今はメンテナンス中で終わるまでゲームにログインできませんけど」


 不具合、バグ等は快適なゲームプレイを阻害するものですから、それを修正するメンテとなると仕方ありません。


「メンテナンスは大事です。私もまだ機械だった頃、管理機能の不具合で充電切れを起こしてしまい、道端で倒れてしまった時は大変でした。ですがその時に旦那様が助けてくださいまして……」


 それから彼女の惚気が始まったのは言うまでもありません。まぁ彼女の旦那さんには会ったことがありますがとても良い人でした。……もう会えないのが寂しいですね。


「あぁそうでしたわ。この本、とても面白い本でした」


 一通り惚気が終わった後に彼女は手に持っていた本を差す。相変わらず読むのが早いですね。


「こちらの物語には続きがあるような終わり方でした。次の巻は……」

「そう言うと思ったので二巻をすでに郵送しておきました」

「まぁ本当ですか、ありがとうございます」


 ごく自然な笑顔をして彼女は微笑みました。今時こんな古い本を読んで喜ぶ人はいないでしょうね。今の時代、本といえば電子書籍ですから。


 彼女と話していると私の端末が鳴ります。どうやらメンテナンスの延長が決まってしまったようです。あぁ……これは私も今日はログインできなくなったみたい。残念ですね。


「そのゲームは面白いのですか? 評判を今検索してみましたが普通の評価らしいのですが……」


 彼女が興味を持ったようで私の開いていた端末の画面を見ます。確かに世間的にこのゲームの評判は普通です。というか数年前に出た別のVRMMOの人気が凄いので、ヒットをしていたとしても霞んでいるんですよ。


「でも、このゲームは一部には人気のゲームですよ」

「ロールプレイヤー……ですか」


 またいつの間にか検索をして結果を知ったようで彼女が頷きます。この前見たゲーム紹介サイトにはロールプレイヤー人気ナンバーワンという感じで紹介されていました。ですがロールプレイヤーばかりとあって、一般的なプレイヤーは入り辛いゲームのようです。ロールをしようにも敷居が高いとのこと。そんな環境なので一般受けがあんまりしないのかもしれませんね。


 それでも今のところサービス終了の兆しがないのは、大手のNR社のゲームだからでしょうか。ゲームをしない人でも名前は聞いたことがある世界的に有名な会社の一つですから。なので、なんだかんだで人はいるゲームなのが今のSSOですね。


「……ロールプレイヤーとはキャラクターを演じるプレイヤーのこと……元々ボードゲームの販売を行っていたNR社の影響か、かの会社におけるユーザーの大半がそう言った層を占めている。……その影響によりEOシリーズを初めA2、SSOといったゲームユーザーにロールプレイヤーが多いのではないか――類似する内容の記事が複数見つかりました。なるほど、少しSSOというゲームがどういった物が知ることができましたわ」


 どうやら検索が終わったようですね。レンズの目から視線を投げてきます。……彼女の悪い癖ですね。確かに今の世の中、検索すれば世界の国境すら関係なく情報が手に入ります。ですが、世間の情報だけで物事を決めるのはダメです。やはり自分が直接知ってこそ、真にその物事に関して自分の答えが出てくるというものですよ。知れる機会があればなおさらです。


「私もSSOをプレイする……?」

「そうですよ。ここまで知ってしまったからには少しは興味が出てきているでしょう。評価が普通だからって理由でプレイしないのは認めませんよ」


 どう評価するかなんて結局は人それぞれです。他人の言うつまらないゲームは自分にとっては楽しいゲームになりえます。参考にはなりますが、それが自分の答えになることはありませんからね。


「私もプレイできるのでしょうか? これは人がやるゲームなので私は……」

「今更何を言っているんですか? あなたは人じゃありませんか」


 人であると認められている事を忘れてしまったんでしょうか。制限されているとはいえ、私よりも普通の人よりも記憶力が良いというのに。それに――


「あなたの元仲間に会えますよ」


 先日、やっと公式から正式発表がありました。このゲームのNPCに搭載されているAIについて。話題になっていた通り、人型サポートロボットとして普及していたあの旧型機に使用されていたAIでした。


 今現在その旧型機は開発元であるノア・インダストリーに全て(・・)回収され見ることもなくなりましたが、どうやらそのAIをSSOに流用したようです。まぁこのSSOの開発にはノア社が関わっているのでありえない話ではないでしょう。ちなみにノア社はVR機器の販売もしています。私の使っているデバイスもノア社製ですね。


 発表に関して遅れたのは……まぁ色々事情があったのでしょう。あのAIは色々といわく付きの物ですから。


「確かにあなたの言う通りですね。……少し考えておきます」


 決まりですね。来月の募集枠は今までよりも募集人数が増えているそうです。なので彼女には来月の募集枠に応募するように勧めておきましたよ。


 ちなみに。それ以降に関しては順次いつでも新規プレイヤーの受け入れをできるようにすると公式から発表がありました。人数制限解除の時期が他のゲームに比べると明らかに遅い……らしいです。


 私も最近知ったのですが、まず第一にサービス開始直後から人数に制限かけないオンラインゲームが多いとのこと。プレイヤーが多すぎてサーバーがパンクした後の話ならありえますけど、このゲームは最初から制限をかけていました。


 公式はゲームを正常に運営する上でプレイヤーの人数に制限を掛けなければならなくなり、抽選による人数制限をかけたと発表を出しています。ですが、何が問題で人数を規制したのかは明らかにしていません。


 まぁこの問題は明らかでした。プレイヤーの間ではもっぱらプレイヤーそれぞれが操作するキャラクター達の設定が問題だったんじゃないかと言っていますね。ほら、生まれとか経歴とか。


 例えば……そうですね、勇者を例に出しましょう。あれが選定される確率は分かりませんが、今でこそ三、四人の人数が確認されています。もしもプレイヤーの数が今より多い場合、選定される勇者の数は倍になりそうですね。そうなると勇者が何十人もこの世界に溢れることになります。


 この辺は運営側が確率を制限してしまえば問題ないのかもしれませんが、それ以外でも問題がおきます。勇者以外の経歴。それもまた数に限りがありましょう。下手に増やすのは難しそうですね。


 ほらクロエは貴族の家の出です。その貴族の家系も運営がどれくらい設定したのか分かりませんが、貴族になりたいと希望する全員が貴族になれなさそうですよ。


 ……貴重な貴族枠を潰しておいて、家出した令嬢がいるらしいです。仕方ないじゃありませんか。貴族っていうネームバリューには負けました。でも勇者には負けませんでしたから。ねっ? だからいいでしょう?


 ……話を戻します。言ってしまえばこのSSOの世界にきちんとした背景を持った人口の限界が、プレイヤー人口の限界。誰がどこの誰になるかは決まっていませんが、ある程度の人数は決まっていたわけです。


 無制限に人を受け付けてしまうと、このSSOの世界が破綻してしまうおそれがあったのでしょう。


 あぁ意外にもこの世界は自由ではありませんね。現実世界の制約が伝わってきます。むやみやたらに人口を増やしてそれを管理できるほど、この世界の神様(運営)は有能ではないようですね。


「そういえば、今のあなたのアバターもSSOのキャラでしたかしら?」

「ええ、クロエという名前ですよ」


 そう言って私は椅子から立ち上がって彼女に全身が見えるようにする。普段はとんがり帽子を被ってゴスロリに近い服を着ているクロエですが、今はシンプルな白いワンピースを着ています。アバター機能なんて普段は使わないので、服のデータを持っておらずデフォルトの衣装のままですね。


 キャラデータを取り出して、ゲーム外でも使用できたので試しに使ってみました。ちなみにこの機能を使うとそのキャラクターの容姿を他のゲームでも使用できます。対応していればの話ですけど。ちなみに有料。


「ずいぶんと可愛らしい子ですね」


 そうでしょう。そうでしょう。ですが一番可愛いのは魔女姿ですよ。本当はゲーム内の衣装そのままで来たかったのですが、衣装データは別料金で有料なので今回は諦めました。


「あぁもうこんな時間ですね」


 気が付けば窓から夕日が差していた。白塗りの壁に黒い屋根からは煙突が伸びる家々が淡くオレンジに染まっている。昔ながらの景観を残した石畳の通りの上を、無骨な清掃ロボットが通り過ぎていくのが見えました。


「それではまた来ますね」

「はい、またお会いしましょう」


 手を振って見送られながら、メニューを操作して通信を切ると夕日に染まっていた彼女の部屋が視界から消える。そして真っ黒な暗闇が数秒続いた後、見慣れた白い部屋が視界に現れました。窓からは朝日が眩しいくらいに入り込んでいる。見慣れた風景がSSOをプレイする際にも使うヘッドギア型のデバイスを通して見えました。


 今では海を隔てた遠くの親友ともこうやっていつでも話すことができるようになりました。まったく技術の進歩は素晴らしいですね。


 まぁ、その全てが良いものであるとは限りません。……そう思う私はきっと古い考えを持つ人間なのでしょう。




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Gzブレイン様より出版しました!
大筋は変えず色々加筆修正やエピソードを追加してあります。
kaworuさんの超綺麗で可愛いイラストも必見ですので、どうぞよろしくお願いします!
i328604
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