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セカンド・ストーリー・オンライン 理想の魔女目指して頑張ります。  作者: 彩帆
第一幕

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31・暗黒魔法とコロッケ


 がやがやと騒がしい東門の前。これからレベル上げに行くのだろうと思われるプレイヤーや、荷物を運搬する商人の馬車が通りがかっていきます。


「いいですか、アール。あなたはオークです。そして魔物です。他の人に姿を見られたら厄介ですから、肝に銘じておいてください」


 フードに隠れて表情が見えませんが、頷くようにアールは首を動かしました。二メートルを超える巨体は今は黒いローブに包まれています。大きな黒い塊のようですね。


 このローブは以前私が使っていた物です。ゲームですから装備品の大きさは自動的に着用者に合わせられています。ついでに服が腰布だけだったので、初心者用の服を着せました。これで少しは人っぽく見えるでしょう。


 そんなアールを連れて門を通ります。アールは不安なのかキョロキョロと挙動不審に辺りを見渡していました。


「もっと堂々としなさい。逆に疑われてしまいますよ」


 門の前に立つ兵士がこちらを見ているではありませんか。

 オークに見えなくても怪しい人には見えてしまいますからね。私の忠告を聞いて挙動不審な行動を抑えたアールを連れてなんとか街の中に入りました。


 しばらく歩けば緊張が解けてきたのかアールが落ち着いてきます。周りの景色を楽しむくらいにですね。


 ――グオオオォ。


 なんですか、今の大きな音は。驚いて振り返るとそこには、恥ずかしそうにお腹を抑えたアールがいました。


「……そうですね。お腹が空きましたのでご飯にしましょうか」


 丁度私も空腹状態になりかけていました。


 適当なベンチを見つけてそこにアールと並んで座ります。二人がけのベンチですがアールが大きいので若干狭い。ニルは場所がないからか地面にいます。


 今日はライスコロッケの屋台を見つけたのでそれを買ってきました。一口頬張るとサクリとした外側、そしてライスに包まれた中からとろりとしたチーズが出てきます。おいしいです。


 アールもおいしそうに食べていました。アールにはこのライスコロッケは小さいのか、一口で一個を食べてしまえるでしょう。ですがおいしいからか、二個目は少しずつ食べていました。


「たくさん買ってきましたから、遠慮せず食べていいですよ」


 インベントリにしまってあった残りを出してあげます。本当に貰っていいのかというかのようにアールがこちらを見ていました。


「それ相応の働きをしてくれる事をこれから期待していますよ」


 その言葉にどきりとしつつも、アールは頷いてもう一つコロッケを取ります。そしてもう一個もニルに取られました。


 ニルはフクロウですがなんでも食べられるようですね。ゲームの中の動物だからでしょうか。いや元はモンスターでしたね。


 ご飯を食べて一息ついた所で、後回しにしていた事をしましょうか。それはスキルの確認です。派生スキルが取得可能になったようなのでスキル一覧を開いてみます。


 【闇魔法】の派生先である【暗黒魔法】【幻術魔法】と、【風魔法】の派生先である【雷魔法】【空間魔法】が現れていました。ちなみに派生先のスキルは一つ取ると選べなくなるようです。どうしても覚えたかったら他の手段で取らないといけないみたいですね。


 まぁ私は迷わず【暗黒魔法】を選びますけど。【幻術魔法】も気になりますがこっちが気になりました。【暗黒魔法】は代償を払って能力を得るスキルが多いようですね。


 取得しようとして気が付きました。所持スキルが二十個を越えたためか、取得の為に必要なSPが1増えていました。さらに派生スキル取得には追加で1必要。なので【暗黒魔法】の取得に必要なSPは4になりました。


 とりあえずSP4を払って【暗黒魔法】を取得。他の派生先だった【幻術魔法】は一覧から消えました。また機会があれば取ってみたいですが、片っ端から取るとSPが無くなりそうですね。【風魔法】の派生先である【雷魔法】【空間魔法】はとりあえず保留にします。


 【暗黒魔法】の初期魔法である【ドレイン】を習得しました。対象の体力を吸収し自分の体力を回復させるスキルですね。


 それからレベルアップで変化したスキルの確認。【魔法知識】はレベルが二十になったので【二重詠唱】なるものを習得。


 二つの魔法を同時に詠唱できるようになったようです。これはなかなかありがたい。【闇魔法】の殆どは詠唱が遅いものばかりです。なのでその詠唱中に他の魔法を唱える事ができるようになりました。


 次に変化があったのは【召喚:ファミリア】ですね。同時召喚できる使い魔の数が二体に増えたようです。今はニルしかいませんのであまり関係ありませんね。スキル確認はこんなところでしょうか。


 あとはそうですね。あの剣の確認でしょうか。インベントリを開きます。探していたアイテムはすぐに見つかりました。


【大剣レックス:勇者の一人、英雄レックスの大剣。この剣は選ばれし者が扱える】


 あの少年くんが持っていた大剣です。あの場に落ちていたので拾ってしまいました。


 どうやら英雄の大剣だったようですね。取り出してみても分かります。鞘の装飾や、その剣から感じる物がそんじょそこらの剣ではない。


「あ、抜けない」


 鞘に入った剣を抜こうとしましたがいくらひっぱっても剣は抜けません。装備をしてないからだと思いましたが、どうやら私では装備不可らしいです。やはり選ばれた者しか使えないのですね。ちょっと残念です。


 もしかしたら経歴で【勇者】を選んでいたら使えたかもしれません。まぁどうせ抜けた所で大剣なので使いませんけど。だって私は魔女ですよ? 杖が使いたいです。……どこかに杖バージョンはありませんか?


 とりあえず大剣を大人しくインベントリにしまいます。


「あっもうこんな時間ですね。ログアウトしなくては」


 私の呟きにアールが首を傾げます。そういえばアールは、私がログアウト中はどうなるのでしょうか。アールは従者になっていますが、基本的にはそのへんのNPCと変わらないでしょう。つまり私がログアウト中、アールは一人になるのです。


 ニルですか? ニルは私の使い魔なのでログアウト中は未召喚状態ですよ。未召喚状態なので実体はこの世界にありませんね。


 さて……アールを街中で一人置いておくわけにはいきません。だからと言って外に出すのも危険でしょう。


「宿を取りましょうか」


 宿の場所はもちろん把握しています。その中でも一番の安宿も。このまま街中に放置しておくよりも宿の個室にいてもらったほうが安全だと考えます。


 このゲームはどこでもPKが出来てしまうので安全とはいえませんけど。ある意味で現実に近いとも言えますね。


 安宿は一泊八十G。安いからか一部屋は小さく、ベッドと机だけの部屋です。もちろん食事付きではありません。


「少し出かけてきます。私が帰ってくるまでここにいてくださいね、アール」


 アールはこくりと頷いてくれました。その姿に安心して私はログアウトボタンを押し、この世界から離れます。





 名前:クロエ

 種族:人間

 性別:女性


【生まれ:ブラッドリー子爵家】

【経歴:家出し旅に出た】


 LV20 残りSP19


 基本スキル


 【両手杖LV20】


 【魔法知識LV20】【魔力LV20】


 【闇魔法LV20】【暗黒魔法LV1】

 【風魔法LV20】【土魔法LV8】


 【月光LV13】【下克上LV11】


 【召喚:ファミリアLV20】【命令LV14】


 【暗視LV20】【味覚LV17】


 【鑑定:植物LV19】


 【採取LV18】【調合LV19】【料理LV1】


 【毒耐性LV9】【麻痺耐性LV9】【睡眠耐性LV8】


 【言語:スワロ王国語LV11】



 ユニークスキル


 【言語:ヘイス地方語】

 【身分:エンテ公国・ブラッドリー子爵家】


 【野宿】【土地鑑】


 称号


 【ベリー村の救世主】



 名前:ニル

 種族:使い魔

 性別:オス


 LV19


 基本スキル


 【闇の知恵LV19】【ダークミストLV12】

 【看破LV14】【冷たい視線LV13】


 ユニークスキル


 【森の賢者】【夜行性】



 名前:アール

 種族:オーク

 性別:オス


 【生まれ:デュオ地方・東の森】

 【経歴:オークとして生まれ育った】

 【経歴:クロエの従者になった】


LV14


 基本スキル


 【データ閲覧不可】


 ユニークスキル


 【データ閲覧不可】




基本的に他人のスキルは見れません。なのでアールのスキル情報はクロエには見えない。

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Gzブレイン様より出版しました!
大筋は変えず色々加筆修正やエピソードを追加してあります。
kaworuさんの超綺麗で可愛いイラストも必見ですので、どうぞよろしくお願いします!
i328604
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