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セカンド・ストーリー・オンライン 理想の魔女目指して頑張ります。  作者: 彩帆
第一幕

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20/130

20・人が集まる所には

 今日もSSOにログイン……しようと思ったらメンテナンス中だということを忘れていました。どうしましょうか? あと一時間くらいで終わるようですけど……。


 そういえば以前カイルさんに公式サイトの世界観くらい見ておけと言われていました。せっかくなのでそれについて調べてみましょう。その世界の人間なのに歴史を知らないのはダメですからね。公式ホームページから世界観ページに移動。


 ……ざっと読みました。この全てを一回読んだだけでは覚えきれませんね。


 まぁ要約すると、初めにこの世界は星の神々という名前の通りの神様たちから祝福を受けている世界だそうです。


 そんな世界に現れたのが大いなる混沌。混沌が現れてから世界は大変なことになったそうな。

 大いなる混沌自体は星の神々の加護を受けた人たちによって倒されましたが……完璧にはいかなかったのでしょうね。倒した際に混沌は世界各地に散らばってしまったそうです。散らばってしまった混沌の力は各地で封印するなりしてなんとか被害を抑えたそうな。


 そんな中で混沌竜という第二の驚異が現れましたが、五人の英雄が倒すことに成功し、数百年くらい経って今に至る。――というわけですね。


 まぁそんなことより、私はこの話を読んで気になる人を見つけました。

 それは五人の英雄の中の一人に魔法使いがいたんですよ。


 エルフの魔法使いで今の時代も生きているかもしれないとの記述。そして英雄になったのは好き勝手やっていたらそう呼ばれてしまったかのように紹介されています。


 ――混沌に呪われた者の末路を観察して、そして面白そうだから倒しただけ。


 かつて英雄の一人にその魔法使いが言った言葉だそうです。


 これは使えそうですね。クロエが魔女……というかどうして魔法を使うのかの理由付けに。ついでに貴族を止めた理由にも。クロエはこの魔法使いに憧れたのでしょう。


 自分の思うままに、自由に生きるこの魔法使いに。貴族で決められた人生を歩いていようとしたクロエを突き動かしたものは、あの英雄の存在……よし、これで行きましょう!


 そうこうしている内にメンテナンスが終わったようですね。さっそくログインしましょうか。



 *****



 ログインしてニルを召喚する。ニルは相変わらず眠そうに目を開けたり閉じたりしながら、私の肩に乗っています。


「あなたは相変わらずですね、ニル」


 ふとニルがこちらを見ました。なんだかジッとこちらを見ています。その視線、止めてください。そんな目線をしているから【冷たい視線】なんてスキルを取得したんですよ。


 私が知らない間に覚えていたこのニルのスキル。効果はどうやら対象に掛けられた効果を一つ取り除くそうです。能力値を上げるバフなどがかかっている相手だったら、そのバフを無効にするわけです。


 もう一つ取得していた【看破】スキルは隠された物、見えない情報を見破るスキルのようですね。これまでのニルの行動を振り返ると何かあったらジッと見つめる仕草をしていたので、多分そういう動きが反映されたのでしょう。


 だからと言って私をジッと見ないでください。バフが消えてしまうでしょう。今のところ何もかかっていませんが、心を守るバフが一つずつ削られていく感覚がします。もしくは見破られてしまいます。何が見破られるかって、それはクロエじゃない部分ですよ。中の人などいないって言葉を知っていますか、ニル? なんとなくニルに対してこの辺は手遅れ感があるように感じます……。


 しばらくして眠るように目を閉じました。……あの目で見てきたのはなぜでしょう?

 ふと視界に帽子の端が映り込みます。あぁ、装備を替えたからでしょうか? 前回装備を買いに行った時、ニルはいませんでしたから。見慣れない格好だから見ていたのかもしれません。


「ニル、私の格好はどうですか?」

「…………」


 ニル、寝ていないで答えてください。それとも似合わないんですか? そう聞いたらやっと目を開けて私を見ます。そして首をコテンと傾げます。……フクロウってファッションセンスがあるんでしょうか。思わず私も首を傾げてしまいます。ニルに聞いたのが間違いでした。


 ちなみに。このとんがり帽子だけは高い値段とあって他の装備より性能が頭ひとつ抜けています。


【ニッカーズの魔術師のぼうし:防御力+20・魔法防御力+20 最大MP上昇:魔法使いの為に作られた帽子。特徴的なシルエットは辺りの魔力を吸い寄せるための物】


 MPの量が微量に増えています。うれしいですね。ニッカーズ、というのはあの店の名前なのでしょう。一緒に買った上着やマントなどにもその名前が付いています。あぁマントも新調したので、最初の頃に買ったフード付き黒マントはインベントリに入れてあります。


 あとは……武器ですね。思わず手元の杖を見つめます。


 防具の新調は終わりましたがまだ武器は終わっていません。武器も新しいのに替えたいです。武器屋に行ってみた所、良さそうな武器が三万Gでした。安く済ませようと思えば出来ましたがデザインが気に入ってしまったんですよ。あの黒い杖欲しい……あぁ稼がないと。


 あとは従者ですか。結局従者契約書を買ってしまったんです。まぁこれは後回しでいいでしょう。となると優先的に武器の為にお金を集めないといけません。


 今は昼間ですから……そうですね、とりあえずまたポーションでも作りましょうか。



 *****



 【黄昏の森】にやって来ました。なんだが以前来た時よりも様子が違います。それというのも、森の入り口を出入りする人が多いし、テントが立てられておりさながら臨時の野営地のようです。調べた結果、どうやら第二期プレイヤー達の平均レベルが20を超えた辺りで、その辺りとなるとこの森を超えていく段階らしいです。


 だからこの森にプレイヤーが多くなっているんですね。森の入口にはこの森を攻略するパーティ員を募集していたり、そこで修理屋をしているプレイヤーがいます。人集まる所ですからね、商売には適しているでしょう。


 するとまた森の入り口から一つのパーティが出てきました。全員、満身創痍のようですね。


「クソッまさかポーションが切れちまうとは……」

「この森を甘く見ていたな……ちょっと街までポーション買いに行ってくるわ」

「おう、頼んだぞ」


 そんな会話が聞こえてきます。……良いことを聞けました。


 どうやらパーティによっては準備が不十分だった所があるようです。周りを見渡すとそんな人達がチラホラといました。これはお金が稼げそうな予感がします。善は急げです。ポーションの材料を揃える為に森に入りましょう。


 森の中にはやっぱり以前来たときよりも人の姿を見かけます。あちこちから戦闘をしている音が聞こえますね。そうやって周りで戦闘が起きているということは、当然モンスターの数も減っています。つまりは採取が比較的安全にできるんですよ。ですが私のレベルはまだ16です。とりあえず行ったことのある範囲だけで採取を行いましょう。


 採集活動は順調でした。鑑定スキルが上がったお陰で味見しなくても良い薬草が手に入るようになりましたよ。ついでに毒草と麻痺草が見つかります。睡眠草はまだ見つかりません。


 ちなみにスキルだけを使わずに味を見ても採取をしていました。味を見たほうがいい物が手に入る可能性がありますから。


「……この味は」


 味見をしながら選別していた時でした。このスキッとするハーブ系の味。よく採取する用途の分からない雑草の一つ。それを味見した時、思い付いたように攻略サイトを開きました。


 ありました、毒消しポーション。それの材料には毒草とそしてホワイトハーブなる物の名前が乗っていました。その材料を組み合わせる事で毒消しポーションが作れるようです。


 とりあえず片っ端からハーブの味がする物を採取していく。その中で味が違うものを分けていきます。どうやらハーブ系は種類が沢山あるようなので、味が違うという事は種類が違うというわけでしょう。


 インベントリにズラッと並んだ雑草の数。全て味別に仕分けられて置いてありますから、下手に混ざらないように気をつけないといけません。


 味は違っても同じ雑草とされるアイテムとして認識されてしまうようなので。この辺はまだ私の鑑定スキルが低いからでしょう。一応先程の選別で少しレベルがあがりましたがまだまだのようですね。


 採取を一旦切り上げてインベントリから調合キットを取り出します。【野宿】持ちなので、このような森の中だろうと生産活動ができてありがたい。普通だったら一旦街に戻らないとできませんから。


 毒草とハーブを一緒にすり潰していく。もちろんどの味のハーブなのかをしっかりと確認。一回目は失敗。二回目も失敗。そして三回目にして――


【毒消しポーション】


 やりました。どうやらこのあまりキツくなく爽やかな風味の謎の雑草が、ホワイトハーブだったんですね。ちなみに水はあのどこからか出て来る謎の水。なので味は美味しくはないでしょう。


 ついでに麻痺消しとか眠気覚ましとかを試しに試作しようとしましたが失敗が続きました。材料が足りないかレベルが足りないかのどちらかでしょう。多分後者ですね。


 とりあえず今現在制作できる回復ポーションと毒消しポーションを量産していきます。中級キットの鍋なので煮込みやすいです。すぐに作業を終わらせる事ができました。


【初心者回復ポーション:☆☆】×100

【初心者回復ポーション:☆☆☆】×30

【毒消しポーション】×25


 さて準備は整いましたので、森の入口に戻りましょうか。



 名前:クロエ

 種族:人間

 性別:女性


【生まれ:ブラッドリー子爵家】

【経歴:家出し旅に出た】


 LV16 残りSP19


 基本スキル


 【両手杖LV13】

 【闇魔法LV14】【風魔法LV12】

 【魔法知識LV14】【魔力LV14】

 【月光LV9】【下克上LV7】

 【召喚:ファミリアLV14】

 【命令LV8】


 【味覚LV10】【暗視LV14】

 【鑑定:植物LV15】【採取LV14】

 【調合LV14】

 【毒耐性LV5】【麻痺耐性LV4】【睡眠耐性LV3】


 【言語:スワロ王国語LV8】



 ユニークスキル


 【言語:ヘイス地方語】

 【身分:エンテ公国・ブラッドリー子爵家】


 【野宿】【土地鑑】


称号


 【ベリー村の救世主】



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Gzブレイン様より出版しました!
大筋は変えず色々加筆修正やエピソードを追加してあります。
kaworuさんの超綺麗で可愛いイラストも必見ですので、どうぞよろしくお願いします!
i328604
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