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#25

 幸いにも宿はあっさりと見つかり、俺とディーノは二人部屋、リュネットとグローリアはそれぞれ個室を取った。

「さて……今回が多分最後の機会だな」

「うん。実を言うと、僕はもうあの二人のことはかなり信用しているけど……でも教会外の人間である以上《智慧の大樹》を見せるわけには行かないからね。キーワードはどうする?」

「そうだな、いくつか候補はあるが……よしこれだ。『アストラルガード』で頼む」

「わかった」

 数日前にリュネットのことを調べた時と同じように、ディーノは長ったらしい神聖語の呪文を唱え始める。そして、部屋が眩い光に包まれるところまではあの時と同じだったが――

「……ダメだ、いろいろ隠されている情報が多すぎる。誰かが意図的に、この『アストラルガード』に関する情報を知られないように細工しているみたいだ。それが過去の人間か現在の人間か、一人か複数かはわからないけど……」

「ということは、何もわからなかったのか?」

「そうでもないよ。黒く塗りつぶされた本だって、どの部分がどうやって塗りつぶされているかで情報を推測することができたりするからね。それに似た方法でちょっと探ってみる」

 そう言うなり、ディーノは目を閉じて何かを考えているようだったが、やがてゆっくりと顔を上げた。

「これは……原理としては『星の力を借りて動く戦士』らしいんだけど、ここで言う星ってのは何のことなんだろう? 文字通り夜空の星のことなのか、それとも何かの比喩的な表現なのか……昔はかなりの数が作られていたらしいけど、何か大きな失敗があって、そのことが西大陸の破滅と魔境化に繋がったみたい」

「うーん、微妙にもやっとしてるなぁ……他には?」

「他には……長らくその存在は途絶えていたけれど、つい最近一体だけ不完全な状態で生み出された……これはリュネットさんの儀式のことだね。それで今の場所は……僕たちが合流した宿場町と、情報屋のあったガラの悪い街の間くらいかな。正確な位置はわからないけど」

「となると、俺たちとは三日か四日の差か。ところで、そいつが何故西を目指しているのか、ってのはわかるか?」

「残念ながらそこまでは。でも、確実にこっちに向かっているのは間違いないよ」

 この状況で、そのアストラルガードとかいう奴が西に向かうとしたら、考えられる理由は二つしかない。一つは力の源である『元栓』に当たる場所――つまりリュネットが目指している場所を目指しているということ。そしてもう一つは、儀式の術者であるリュネットそのものを追っているということ。

 いずれにしても、モタモタしていたら遭遇は避けられないだろう。

「しかし魔境の霧か……巡回の兵士は対策のしようがないって言ってたけど、俺たちは大丈夫なのかな」

「魔境の霧を直接吸っても、よっぽど身体が弱ってるとか精神状態が不安定とかでない限り、一週間程度ならまず問題は起きないって、以前読んだ資料には書いてあったよ。もしも、霧が濃くなったというのが魔境でもそうだとしたら、もっと短くなるかもしれないけど」

「どっちにしろ急がなきゃいけないってことか。そのためにも、ここで体調を万全にしておかないとな。野宿続きで身体が痛くてしょうがない」


 その後、俺たちは最後の晩餐とばかりに、贅沢な食事と久々のちゃんとしたベッドを堪能した。

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