入学式の日
終皇80年4月6日 曇
風が強く、桜吹雪が起こっている。
今日は中学の入学式だ。
2組の教室に入ると、既に何人も生徒が来ていた。
黒板に座席割が書かれていた。
絵里も健十郎も同じクラスだ。大輝まで一緒なのは癪だが。
中学からはそれぞれで学校へ行こうってことになったので一人できたのだが。
初日だからと張り切りすぎて、早く来てしまった。
絵里も健十郎も未だ来ていない。
生徒は揃っていないが、先生が入ってきた。
直ぐに僕に気づいて、
「お?なんだ飛鳥。もう来てたのか?」
「うん。中学からはそれぞれで来ようって」
「ちゃんと仲良くしろよー」
頭をワシワシと撫でてくる。
教師は毎年1年ずつ持ち上がる。基本的には大学院までそうらしい。
だから先生も僕と同じ学年なのだが。
「合格面談は女の人だったんだけど、その人が担任じゃないの?」
「ああ、彼女は隣のクラスだな」
そう言うと先生は隣の部屋を指差す。
どうやら3組のようだ。
「名前はなんて言うの?」
「鷲獄遊花先生だな」
「え。苗字一緒?」
驚いてしまった。
「先生のお姉さんだ。ほら、先生の机に置いてあった写真に写ってただろ?」
暫く考えこみ、写真立てにあった写真を思い出すと・・・、確かに居た。
「あー!」
自分でもびっくりするくらい大きい声を出してしまい、周囲の注意を引いてしまう。
「なーにが“あー!”なんだよ」
健十郎が登校してきた。すぐ後ろには絵里も居たが。
「隣のクラスの担任が、先生のお姉さんだって話だよ」
「そうなのか」
どうでも良さそうな驚き方だった。
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初日だから恒例の如く午前中で終わった。
プリントを何枚も貰ったが、簡単なカリキュラムの内容が書かれていた。
前に健十郎が言っていた人体解剖実演も明記されていた。
体育は剣道が、保健では性行為実習まで書かれている。
性行為実習はよくわからないが濃そうだな。
帰ろうと思ったら、鷲獄遊花先生に呼び止められた。
「ちょっと飛鳥くん」
「何ですか?」
「これからちょっとお話いいかな?」
僕が少し困った表情をしていると、
「ふふっ。面談じゃないわ。弟の事が聞きたいだけよ」
「は、はあ・・・」
軽く話すだけなら。そう思って既に誰もいない3組に行った。
「飛鳥くんは文博と結構長いわよね」
「そうですね。7年連続担任です」
「そろそろ結婚して欲しいんだけど、そういう色恋沙汰とか聞かなかった?」
「さぁ、僕には未だ早いかと・・・」
「ふふっ。今月にはもう性教育始まるわよ?」
「性教育?」
わからなかったのでつい聞いてしまった。
「キスとか、エッチとか、子作りとか、ね」
顔が真っ赤になり、心臓簿爆発しそうなくらいだ。
動揺のあまり、僕は椅子から滑り落ちた。
「いててて・・・・・・」
「ふふっ。まだまだ子供ね」
そう言うと、遺体の痛いの飛んで行けーをしてくれた。
僕は床に座った状態で頭を撫でられたため、先生の胸が丁度いい具合で目に入る。
更に顔が赤くなるが、これ以上落ちようがないため平気だった。
「あら?」
先生が僕のズボンを見ている。
僕も見ると盛り上がっていた。このような現象は未だ知らない。
「これは何ですか?」
「急がなくても何れ授業で習うわよ。でも今教えてあげることも出来るわよ」
不敵な笑みだった気も、悲しそうな顔だった気もする。
「病気ですか?」
「違うわ。試しにこうよ」
そう言うと、先生はズボンの盛り上がりを揉む。
すると股間のあたりに感覚が伝わってきた。
とても気持ちよかった。初めての感覚だった。
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僕は保健室で目覚めた。
「あら、起きた?」
既に大分暗くなっていた。
「僕は一体・・・」
「寝ちゃったのよ」
「何で?」
「もう遅いから帰りなさい」
理由は教えてくれなかった。
廊下と言はんは電気がついていたのですんなりと下駄箱までこれたが、他の先生も居なかった。
今何時だろう?時計は、もう直ぐ6時を指していた。
桜吹雪く紫色の空の下、僕は家へと帰る。
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家に帰ると、お母さんが心配しているかと思ったら・・・、そうでもなかった。
もうご飯ができていて、食べたらそのまま部屋へ行ってしまった。
股間のあたりが気になるが、とりあえずそれは置いておこう。
今日も日記を読み進めようと思っているからだ。
本棚にある本を引き抜き、奥にある日記を取り出すいつもの作業をする。
だが、日記はなかった。あるはずの場所に。
知っているのは僕と絵里だけだ。
台所に戻ってくるとお母さんは食器を洗っていた。
「ねぇお母さん僕の本棚弄った?」
「何も触ってないわよ?掃除はしたけど」
何、可怪しな事言ってるのこの子。そんな表情でチラッと僕を見た。
「じゃあ今日、絵里は来た?」
「来てないわよ?」
・・・・・・。
無くしたか?いや、昨日ちゃんと本棚に隠したはずだ。
盗られたか?いや、お母さんはいつも家にいる。
いや、もしかすると・・・
「今日何処か出かけた?」
「今日?出かけたわよ。デパートに」
さも当たり前のように良い放たれた。
「なんで?」
「先生とデートしたのよ」
・・・・・・。
「わかった。もういい。ありがと」
「?」とハテナマークが出たような、そんな仕草と顔だった。
部屋に戻りながら考える。先生は何故今日、お母さんをデートに誘ったのか。
誘っても僕が居れば・・・。
今日は先生のお姉さんと一緒に保健室で寝てたんだった・・・。
でも2人共家にはきてないはずだ。
僕が何時起きるかわからないのだから。
となると他にも誰か居るのか?
例のサンタか?わからない。
解決しない山積する問題を頭に抱えながら眠りについた。




