ハロウィンパーティー
僕は今、電話をかけている。
【プルプルプル、プルプルプル、プルプルプル】
もう夕飯の支度始めちゃってるかもしれないな。
「もしもし、卍山下です」
「あ、お母さん?飛鳥だよ」
「どうしたの?」
「今裕お兄ちゃんたちの所にいるんだけど、ハロウィンパーティーするから、今日は食べてから帰ろうかなって。いいかな?」
「いいけど、あまり遅くならないようにね?」
「はーい」
「じゃあ今日は夕飯無しでいいのよね?」
「うん!ありがとう、お母さん!じゃあね」
ガチャ・・・。
よしこれで問題なく遊べるね。
「どうだったの?」
「遅くならなければいいって」
「良かったね」
「絵里は電話しなくていいの?」
「私は最初からハロウィンだと思ってたから、もう言ってあるし」
「なんだー。なら昨日教えてくれればよかったのに」
「てっきりそうだと思ってたんだから、仕方ないでしょ」
「そっか。料理は順調?」
「今オーブンで焼いている所。じゃー戻るね」
「うん」
「哲ちゃん、次は何する?」
「んーっとね・・・」
ピンポーン。
誰かが来たようだ。
「はーい。僕が出るから、哲ちゃんはここに居てね」
「うん、わかった」
「どちら様です、か・・・なんだ健十郎か」
「おう」
「鍵持ってるんじゃないの?」
「ちょっと無くしてな」
「ちゃんと警察に聞きに行ったの?」
「そこまでする必要はないかと思って行ってない」
「なら良いけどね」
「哲、こんばんは」
「あ、健お兄ちゃん!こんばんは~」
「今何してるんだ?」
「見ての通り、ハロウィンだよ?」
「いやそうじゃなくって、哲と何してるんだっつー話だ」
「ああー。料理できるまでここで遊んでるんだよ」
「そっか。じゃー俺も混ざるか。
よーし哲!何して遊ぼっか!」
「んっとね、んっとね。
南瓜さんと一緒にわるーい悪魔を退治するんだ」
「おっけー。悪―い悪魔だぞー!がおー」
「わー。やっちゃえカボチャマン!」
「うわーーー。や、やられたあ」
ガオーってなんだ、ガオーって。
「皆、ご飯できたよ!」
「何やってるの?」
2人がご飯を運んできたようだ。
「南瓜で戦隊ごっこしてるみたい。
健十郎が変だけど大丈夫かな?」
「変なのはいつものことじゃない。吹っ切れただけなんじゃないの?」
「なら良いけど・・・」
「さぁ手を洗ったら座ってね」
「「「はーい」」」
今日のメニューは南瓜尽くしだった。
ハロウィンパーティーなのだから当然といえば当然なのだが。
メニューはこうだ。どうやらネズミーランドでこの時期に販売しているメニューを真似たようだ。
『ハロウィンパイ』
パイ生地の上に南瓜サラダを乗せ、その上からジャック・オ・ランタンの顔に切り抜いたパイ生地を乗せて焼いたもの。
『ハロウィンバーガー』
下から順にパン、ハンバーグ、ジャック・オ・ランタンの顔に切り抜いたチーズとなっているハンバーガー。
『ハロウィンピザ』
お化けの形をしたチーズを乗せたピザ。とろけて美味しそうだ。
『ミミズゼリー』
赤色のゼリーの材料をストローに入れて固めたもの。
絵里が持ち込んできたものらしい。
『キウイとパンナコッタのラズベリーソース添え』
キウイとパンナコッタが乗った皿にラズベリーソースがかけられたデザートなのだが・・・
「何で僕のだけグロいの?」
「特別に私が作ってあげたから」
「誰が作ったからとかじゃなくってさ。
パンナコッタが白目、キウイが黒目になってるよ?
ソースがまるで血みたい・・・。やめてくれないかな?」
「ハロウィンでしょ?」
「哲さんに悪影響が出たらどうするの」
「飛鳥にしかそれ出してないから。心配ならささっと食べて」
「・・・」
その後に出てきたミミズゼリーが更に上を行った。
「絵里にはこういう趣味あったんだね・・・。意外」
ストローの中で固めたゼリーを取り出すと、まるでミミズのようだった。
表面はツルツルしていて、表面の湿りが光を反射し、ミミズの光沢を想像させる。
ストローの蛇腹部分がミミズの体節の様で、更に本物に近づけている。
ゼリーなので、ミミズのように自由に曲がりくねる。
哲に悪影響があるかと思ったら、全く無かった。
寧ろ喜んでいた。
小学生は昆虫が好きだったりするので、絵里はそこを理解していたということだろうか。
僕は耐えられると思ってのことなのだろう。
全然嬉しくないのだが。
ピンポーン。
ワイワイしながら食べていると来客があった。




