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1億総活躍社会のディストピア  作者: シャム猫ジャム
ジパング
27/87

ハロウィンパーティー

僕は今、電話をかけている。

【プルプルプル、プルプルプル、プルプルプル】

もう夕飯の支度始めちゃってるかもしれないな。

「もしもし、卍山下(まんざんか)です」

「あ、お母さん?飛鳥だよ」

「どうしたの?」

「今裕お兄ちゃんたちの所にいるんだけど、ハロウィンパーティーするから、今日は食べてから帰ろうかなって。いいかな?」

「いいけど、あまり遅くならないようにね?」

「はーい」

「じゃあ今日は夕飯無しでいいのよね?」

「うん!ありがとう、お母さん!じゃあね」

ガチャ・・・。

よしこれで問題なく遊べるね。


「どうだったの?」

「遅くならなければいいって」

「良かったね」

「絵里は電話しなくていいの?」

「私は最初からハロウィンだと思ってたから、もう言ってあるし」

「なんだー。なら昨日教えてくれればよかったのに」

「てっきりそうだと思ってたんだから、仕方ないでしょ」

「そっか。料理は順調?」

「今オーブンで焼いている所。じゃー戻るね」

「うん」


(てっ)ちゃん、次は何する?」

「んーっとね・・・」

ピンポーン。

誰かが来たようだ。

「はーい。僕が出るから、(てっ)ちゃんはここに居てね」

「うん、わかった」


「どちら様です、か・・・なんだ健十郎か」

「おう」

「鍵持ってるんじゃないの?」

「ちょっと無くしてな」

「ちゃんと警察に聞きに行ったの?」

「そこまでする必要はないかと思って行ってない」

「なら良いけどね」


「哲、こんばんは」

「あ、健お兄ちゃん!こんばんは~」

「今何してるんだ?」

「見ての通り、ハロウィンだよ?」

「いやそうじゃなくって、哲と何してるんだっつー話だ」

「ああー。料理できるまでここで遊んでるんだよ」

「そっか。じゃー俺も混ざるか。

よーし哲!何して遊ぼっか!」

「んっとね、んっとね。

南瓜(かぼちゃ)さんと一緒にわるーい悪魔を退治するんだ」

「おっけー。悪―い悪魔だぞー!がおー」

「わー。やっちゃえカボチャマン!」

「うわーーー。や、やられたあ」

ガオーってなんだ、ガオーって。


「皆、ご飯できたよ!」

「何やってるの?」

2人がご飯を運んできたようだ。

南瓜(かぼちゃ)で戦隊ごっこしてるみたい。

健十郎が変だけど大丈夫かな?」

「変なのはいつものことじゃない。吹っ切れただけなんじゃないの?」

「なら良いけど・・・」

「さぁ手を洗ったら座ってね」

「「「はーい」」」


今日のメニューは南瓜(かぼちゃ)尽くしだった。

ハロウィンパーティーなのだから当然といえば当然なのだが。

メニューはこうだ。どうやらネズミーランドでこの時期に販売しているメニューを真似たようだ。


『ハロウィンパイ』

パイ生地の上に南瓜(かぼちゃ)サラダを乗せ、その上からジャック・オ・ランタンの顔に切り抜いたパイ生地を乗せて焼いたもの。


『ハロウィンバーガー』

下から順にパン、ハンバーグ、ジャック・オ・ランタンの顔に切り抜いたチーズとなっているハンバーガー。


『ハロウィンピザ』

お化けの形をしたチーズを乗せたピザ。とろけて美味しそうだ。


『ミミズゼリー』

赤色のゼリーの材料をストローに入れて固めたもの。

絵里が持ち込んできたものらしい。


『キウイとパンナコッタのラズベリーソース添え』

キウイとパンナコッタが乗った皿にラズベリーソースがかけられたデザートなのだが・・・


「何で僕のだけグロいの?」

「特別に私が作ってあげたから」

「誰が作ったからとかじゃなくってさ。

パンナコッタが白目、キウイが黒目になってるよ?

ソースがまるで血みたい・・・。やめてくれないかな?」

「ハロウィンでしょ?」

「哲さんに悪影響が出たらどうするの」

「飛鳥にしかそれ出してないから。心配ならささっと食べて」

「・・・」


その後に出てきたミミズゼリーが更に上を行った。

「絵里にはこういう趣味あったんだね・・・。意外」

ストローの中で固めたゼリーを取り出すと、まるでミミズのようだった。

表面はツルツルしていて、表面の湿りが光を反射し、ミミズの光沢を想像させる。

ストローの蛇腹(じゃばら)部分がミミズの体節(たいせつ)の様で、更に本物に近づけている。

ゼリーなので、ミミズのように自由に曲がりくねる。


哲に悪影響があるかと思ったら、全く無かった。

寧ろ喜んでいた。

小学生は昆虫が好きだったりするので、絵里はそこを理解していたということだろうか。

僕は耐えられると思ってのことなのだろう。

全然嬉しくないのだが。


ピンポーン。

ワイワイしながら食べていると来客があった。


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