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1億総活躍社会のディストピア  作者: シャム猫ジャム
ジパング
26/87

表のハロウィン

終皇79年10月31日 晴れ

肌寒い日も多くなってきた。


今日は学校が休みなこともあり、朝から裕さんたちの部屋にお邪魔している。

朝早すぎたのだろうか。

哲さんはまだお寝んねしているようだ。

お風呂場から音が聞こえるので、裕さんは朝シャンの最中のようだ。

健はよくわからないが、居ない。

(しばら)く待っていると、裕さんがシャワーから上がって来た。


「お、2人とも来てたんだね」

「「!?」」

バスタオルは持っているものの、全裸で頭を拭いていた。

絵里は慌てて顔を背ける。

「隠してから来たほうが良いかと・・・」

「ん?ああ、そうだね。ごめんね。居ると思わなかったから」

「いいえ、こちらこそ・・・」

「その・・・、立派ですね」

「でしょー?自慢なんだ!」

と、腰を僅かに振る。

そういう意味で言ったのではないのだが・・・

身体はかなり鍛えられていて、僕もああなりたいなと思う。

運動好きなので、余計そう思うのかもしれない。


「おまたせ。今日は何の用だい?」

「僕はなんとなく来ただけかな」

「私はハロウィンでもするのかと思ってたけど、違ったの?」

「え?あーそうだね。すっかり忘れてた」

「学校にもポスターが貼ってあったんだけど」

「そういうの全然見ないからね」

「お店でもイベントグッズ売ってし」

「最近はずっとここ来てたから、わかんないや」

「まぁでもハロウィンで盛り上がるのは良いかもしれないね」

「じゃー午前は買い物、昼は飾り付け、夜はハロウィンかな?」

「そうだね。それでいこう!」

「お金あるの?」

「お金は大丈夫だよ。哲の面倒見るのにいくらか貰ってあるし」

「あとは買い物に行ってる間の哲さんの面倒を見る必要があるよね。

財布預かるのは流石にあれだから、絵里かな?」

「別に構わないけど、」

「あーそれは、レシートだけ持ってきてくれれば大丈夫だよ。

それに起きたらお風呂に入れる予定だし、俺が残るよ」


裕さんは財布を取ってきてくれた。

「じゃー早速いこう!」

「まだお店やってないよ?」

「そうそう。大体9時か10時に開くからね」

「ホントだ、まだ8時だった。じゃあ哲さんの寝顔でも(いじ)る?」

「やめなさい」

「あはは!」

「それならコンビニで買えばいいんじゃない?」

「コンビニにそんな品揃え無いから」

「コンビニで立ち読みして、飲み物でも買ってから行くのは?」

「飲み物くらいは買っちゃってもいいよ」

「まぁそのくらいなら・・・」


-------------


そんなわけでキブン・イレブンに寄ってから、大手スーパーのライオンにやってきた。

「クリスマスの飾り付けはわかるけど、ハロウィンの飾り付けって、南瓜(かぼちゃ)

蝙蝠(こうもり)かと思ってたけど、白いお化けに魔女なんかもあるんだね」

「とりあえず部屋を飾るものを買いましょ」

「これなんてどう?魔女仕様の熊さん」

「良いんじゃない?置物としてはあり得ると思う」

「色や柄は違うけど、クリスマスでお馴染みのリースやメッキボールもいいよね」

「蜘蛛の巣のシールもいいかな。貼るだけだから剥がすのも簡単ね」

蝙蝠(こうもり)はぶら下がるんだね」

「それ何処に掛けるき?」

「天井とか?」

「穴開けるつもりなの?」

「んー観葉植物にでもつければいいと思うけど・・・」

「それなら買いましょ」


ということで大量に購入した。

全部で10万円と高額になってしまった。

ぬいぐるみが一番高いのだが・・・。

ハロウィン用のお菓子に、ハロウィン用の食材とレシピ集も買ったためだ。

仕方ないだろう。

絵里はレシートだけじゃなく、領収証も貰っていた。

マメである。


-------------


帰ってくると哲さんはお風呂を終え、髪を乾かしてもらっていた。

「「ただいまー」」

「あ、2人共おかえり!」

(てっ)ちゃんおはよう」

「おはよー!」

「おはよう、哲くん」

哲さんは手を振りこっちに振り向いて動きまくる。

「哲、落ち着いて。髪が乾かないよ?風邪引いたら大変」

「うん、わかったー」


着替えをきちんと済ませると

「それなーに?」

「ハロウィンだよ。これから飾り付けするんだ」

「僕もやっていい?」

「勿論!みんなでしよう」

「わーい。じゃあこれをねー、こうして!」

哲さんは自分に飾り付け始めた。

「そうじゃないよ。これは壁に貼り付けるんだよ。

お部屋を綺麗にお化粧するんだ」

「ふーん」


4時位には飾り付けは一通り完了した。

壁には蜘蛛の巣の巨大シールを貼ったが、余ったので天井にまで貼り付けた。

ぬいぐるみが気に入ったのか、机に置く予定だったが哲さんが離さないため諦めたくらいか。

玄関の飾り付けは日が暮れてからでいいだろう。


「一応食材とレシピ集も買ってきたけど、僕料理得意じゃないんだよね」

「私も手伝うから」

「大丈夫。こう見えて、俺も料理得意だから!」

「哲さんが怪我したら危ないから、僕は料理しないで待ってようかな」

「そうだね、助かるよ!じゃー絵里ちゃん行こうか」

「はい」

2人は台所へ向かい、僕は哲くんとお喋りをしながら飾り付けの微調整をしていた。


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