俺、サプライズを受ける
「ヤバい! もう少しで日が暮れる!」
夕暮れに染まる草原をひた走る男が1人……そうセイヤである。
何故この男が急いでいるかと言うと……。
「門がしーまーるー!!」
こう言うことである。
遊び過ぎて門限に遅れそうになるとは……。もはやただの子供である。
あのミノタウルスを倒してからも、出会ったモンスターを倒してたらもうこんな時間だよ!!
「アリスとの約束もあるし、速く帰らないとーーーーー!!」
周囲にバレない程度の能力を使い、より一層速くなるセイヤ。
そういややった事なかったけど、車とかバイクとかも影で作れるのか?……あぁ、レベッカと森へ行った時のあれもあるし出来るんだろうな。
レベッカと言えばあのキス……。俺、そんなに好かれるようなことしたか?
セイヤの顔が赤く染まる。いや、元から夕日で赤かったけど……。
明日にでもレベッカに会いに行ってみるか。
「っと、やっと門が見えた!」
どうやらまだ開いているようだ。
ふぅ、これなら間に合いそうだな。
「ふぅ、思った通り間に合って良かった」
無事に街に入る事が出来たセイヤは真っ直ぐ宿を目指して歩く。
「あぁ~、やっと帰ってこれた」
歩く事数分、やっと宿へたどり着いた。
「あ、セイヤちゃん。遅かったわね」
宿へ入って直ぐ、ヤンさんが話しかけてきた。
「あ、ヤンさん。はい、モンスターを狩ってたら遅くなっちゃって」
「さすがは若くても冒険者ね。それよりアリスちゃんが待ってると思うから行ってあげて」
やっぱりアリスを待たせちゃったか。
「はい、分かりました」
ヤンさんに背を向けて部屋へ向かう。
コンコン!
自分の部屋だが一応ノックはする。だって着替え中とかだったらイヤじゃん!
「アリス、入っていいか?」
「セイヤ!? うん!入っていいよ!」
何か物凄く元気じゃないか?
そう考えながらドアを開ける。
「セイヤお帰り!! ご飯作って待ってたよ!」
「……あぁ、ただいま。それよりアリスがご飯作ったのか? 凄いじゃないか」
そっと頭を撫でる。
「えへへ♪ うん! セイヤに喜んで欲しくてヤンおばさんに教えて貰ったんだ!」
「そうか俺の為に……ありがとうなアリス。凄く嬉しいよ」
本当に嬉しかった。この世界に来てからこんなに嬉しかったことは合ったかな?
「えへへ♪ さぁ、冷めない内に食べて食べて!!」
「あぁ、いただきます。……モグモグ、うん! 美味しいな!」
少し不恰好な唐揚げだったけど味はとても美味しかった。
「良かった~。さぁ、どんどん食べて」
「あぁ」
「ふぅ、ごちそうさま。美味しかったよ」
「やった!……実はねプレゼントも用意したんだ!」
「プレゼント?」
プレゼントか……。だから最近よく外に行ってたんだな。
「うん! マユとか色々な人に聞いて用意したんだ!! 受け取ってくれる?」
そんな不安そうな顔をするなよ。受け取らないわけ無いだろ。
「あぁ、ありがたく貰うよ」
「ホントッ!? じゃあこれ!」
「ありがとう」
2つあるな。何だろう?
「開けてもいいか?」
「うん! 開けて開けて!」
「じゃあ遠慮なく」
プレゼントを開けていく。
「これは……ミスリルのイヤリングとネックレスか?」
「うん! ドワーフのおじちゃんから買ったんだ!」
「そうか。ありがとうな」
ミスリルは高いはずなのに……。
「近い内に俺からもプレゼントをあげるよ」
「えへへ♪ ホント? 嬉しい!」
「あぁ、期待しててくれ」
二人の間に幸せな空気が漂う。
「アリス、これからもずっとよろしくな」
「ずっと?」
「あぁ、ずっとだ」
「……うん! ずっとよろしくね!」
「(これからもこの幸せな時が続きますように)」