俺、武器を取りに行く(1)
カランッカランッ
「失礼します。武器を取りに来たんですけど」
セイヤが鍛冶屋に入ると……
「あ! セイヤさん! お待ちしてました!」
カウンターにいたミアがこちらに話しかけてきた。
セイヤはミアの言葉に首を傾げる。
「待っていた?」
「はいッ! おじいちゃんが言うには今まで作った武器の中でも最高傑作だと言ってました」
(へぇ……最高傑作ねぇ。……楽しみだなぁ)
「?……セイヤさん、なにニヤニヤしてるんですか?」
「え? ニヤニヤしてるか?」
ミアもニヤニヤしながら答える。
「うん♪ とっても」
「アハハ……」と、セイヤのニヤニヤが苦笑いに変わる。
「ミアさんだってニヤニヤしてるじゃん」
「アハハ♪ そうですか?」
二人で和気あいあいと話していると店の奥からおじいさんがやって来た。
「何か楽しそうじゃな……お、セイヤさんかぁ。武器を取りに来たんですか?」
「そうなんです。良いのが出来てますか?」
おじいさんは「フォッフォッフォ!」と笑いだした。
「今まで作ってきた中で1番のできですよ。……これもセイヤさんが珍しい素材を持ってきてくれたおかです」
セイヤは照れるように頬をかく。
「俺はただ武器を作ってもらっただけですから」
「そんなことないですぞ。我々にとって最高の経験が出来ましたからのぉ」
「おじいちゃんの言う通りです! 貴重な体験が出来ました!」
「アハハ……」と、なんと返したらいいか分からず愛想笑いをする。
「フォッフォッフォ……セイヤさんは早く武器を見たそうですな。……ミア、持って来てくれ」
「はーい!」
ミアは奥へ急ぎ足で向かっていった。
「セイヤさん、楽しみにして下さい。剣の他にも2つ程作ってますから」
「へぇ……楽しみだ」
「お待たせー! 持って来たよ!」
奥から2つの箱を抱えたミアが戻って来た。
「おぉ、ありがとう。……こちらの箱に剣が2本入っています。どうぞ見てみて下さい」
パカッ……
セイヤが箱を開ける。
そこには刀身が水色の元鉄の剣と、持ち手と刀身が真っ黒な剣が入っていた。
「この水色の剣が、俺が渡した鉄の剣ですね」
「そうです。効果は周りの水分を吸収して、剣に纏わせたり水を放出したり出来ます。他にも何かあるかも知れませんがわしには分かりません」
(鑑定は後でするとしても、さっき聞いた効果だけでもかなり強いな。水蒸気があるからいつでも使えるのか)
セイヤがもう1つの剣に目をむける。
「この剣はやっぱり邪獣の素材を使ったんですよね」
「はい。鉄と組み合わせて作りました。効果は孔雀の目。この剣を持っていると周囲の様子が手に取るように分かります。こちらも他の効果があるかもしれません」
「…………凄い武器を作りましたね」
「まだまだこんなもんじゃありませんよ。もう1つの箱にも凄い効果の物が入ってありますよ」
(これ以上に凄いものって…………やっぱりこのじいさん凄腕だったな)
セイヤは苦笑いしながらもう1つの箱に手を伸ばした。
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