俺薬を使用
「ここよ!」
「着いたか!」
レベッカの家は石造りの二階建てだった。
「急ぐぞ!もう時間がない!」
「分かったわ!」
そう言ってレベッカは靴を投げ捨て家へ入っていく。
セイヤもレベッカに続き家へ入っていく。
「お前のお母さんは何処にいるんだ?」
「二階よ!早く行きましょう!」
レベッカは二階へかけ上がる。
セイヤもレベッカのワンピースを下から覗かないようにあとを追う。
「この部屋よ」
ガチャ……
中に入ると……
「これは……」
ベッドに女性が苦しそうに横たわっていた。
顎から鼻の下まで緑に変色していた。
体は掛け布団に隠れて見えないが顔と同じ具合だと推測出来る。
(これは酷いな)
「お母さん、帰って来たよ」
「れ、レベッカ……おかえり……な……さい」
「ただいま。お母さんもう大丈夫だよ、薬を持ってきたから」
レベッカひそう伝えると、俺の方へ歩いてきた。
「ねぇセイヤ、ホントにこの薬は大丈夫なの?」
レベッカの顔には不安の色が見える。
「あぁ!大丈夫だ!俺を信じろ」
レベッカの不安をなぎはらうように力強く言い放つ。
レベッカはポカンとした表情でセイヤを見ていたが、すぐに笑顔になりこう言った。
「そうね。セイヤの言うことだもの、信じないわけにはいかないわね♪」
少し冗談まじりに言うレベッカにセイヤも……
「あぁ、俺は嘘つかないからな」
冗談まじりに返すのだった。
「ほら、もう時間がない。早く飲ませてやれよ」
「えぇ、そうするわ」
セイヤきら薬を受け取り、お母さんに飲ませにいく。
「お母さん、これを飲んで……」
「……うん」
ゴク……ゴク……
レベッカのお母さんが薬を飲んでいく。
するとみるみると肌の色が治っていき、緑色の肌が全てなくなった。
「すぅーすぅー」
「お母さん……ぐす!よかった」
安定した寝息にやっと安心したレベッカが、ベッドに顔を埋めて泣きじゃくる。
(俺はお邪魔だな)
セイヤはそっと部屋を出ていく。レベッカの家も出て、マユに預けたアリスを回収しに歩き出す。
「しっかしギリギリだったなぁ」
00:08
「あとちょっと遅かったら効果がなかったな」
「これでレベッカともお別れかな?」
これ以上することもないしな…………。
「セイヤ!待って!」
「ん?レベッカ!どうしたんだ!?」
息を荒くしてレベッカが走ってきた。
「はぁはぁ……お礼が言いたくて!」
「お礼?」
「うん!色々手伝ってくれてありがとう!」
「なんだそんなことか、いいよ別に」
「ううん、ホントにありがとう!……それとお願いがあるんだけど」
レベッカが上目遣いで言ってくる。
「お願い?なんだ?」
「うん。あのね……私に戦い方を教えて欲しいなって」
「戦い方?どうしてだ?」
「お母さんがあんな状態だから暫くは私が稼がないといけないから」
「だから冒険者に?」
「うん。ダメかな?」
「はぁ……仕方ないな」
そんな理由じゃあ断ることは出来ないよな。
「ホントッ!?ありがとうセイヤ!」
「いいって」
(まぁお別れはまだ先でいいかな)
「セイヤ」
「ん?どうし……ん!」
レベッカがいきなりキスをしてきた。レベッカの顔は真っ赤だ。
「ぷはっ。ま、またね!!」
「あ、あぁ」
レベッカは走って行った。
セイヤは唖然と薬屋へ歩いていくしか出来なかった。
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