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サガシモノ
欠けたもの探しに今日も出かけた。いつも通りの朝。
とぼとぼと歩く一面黒の世界。何もなくなってしまったように思えるその世界。
足に突っかかる何か。視線をしたに向けると白い一冊の本があった。開くページに刻まれた記憶。これは誰の記憶なのだろうか。パラパラとめくってみても、自分とは関係のないような記憶。
でも、置き去りにはできなかった。その本を握りしめ、また歩く。黒だった世界にはぽつぽつと白い光が浮かび上がる。本の白と共鳴しているようだった。
歩く歩く。
走らなくたって良い。そのうち探し物も見つかるだろう。今はただ、一歩、歩けば良い。
一歩進めば光が生まれた。自分に向けられた光ではないとしても、その光がまた光を生む。
歩け歩け。
たとえゴールが見えなくても、最後にきっと探し物が見つかるはず。決意を胸にもう一度本を開く。一枚一枚めくる手に力がこもる。
探し物、さがしもの、サガシモノ……。
いつか、きっと。