魔界
「つっきましたぁ」
「…だいぶ慣れた。」
なんだ、ここ。森か?
「思ったんですけど、なんでこんな移動程度のもので酔うんですか?」
「なんか、いろいろな方向からさ、風みたいなの吹いて、頭を揺さぶられるんだぜ。それが、魔力の波動なんだろうけどさ」
「あー、それなら、わからなくいですね。多分、私も酔うかもです」
「で、今の移動でだいぶ慣れてきた…」
「慣れって、怖いですね…」
「そうだな」
とは言ったものの…ここはあまりにも暗すぎないか。
「ここは?」
「あぁ、魔界の森ですよ、はい」
「あぁ、はい」
思わず頷いたが…具体的に何すれば良いんだ…。俺をここに連れてきて何をさせたいんだろう。
「なぁ、お前の城に行くんじゃなかったのか?もしかして、まだ魔法が使えるまで回復してなかったのか?」
「いえ、まだルート30回は出せますよ」
「じゃぁ、なんで…そ…」
と、言いかけて、止まった。少女の目が妖しく嗤っている気がする。
「男さん?ここで、あなたを降ろした理由分かります?」
「…分かんねぇよ」
「あなたはまだ小魔力玉しか出せない…あなたには修行が必要です。」
「は?お前が教えてくれるんじゃなかったのか?」
「誰が言いましたか?そんなこと」
…一応、こいつが言ったことを思い出してみた…確かに練習すれば使えるとしか
「……言って…ない、な」
「それでは、魔道書一つあげますので頑張ってくださいね」
「おい、待て!」
「では、どうぞ。魔法は、初期魔法のスラッシュをあげます。あ、一つ言い忘れてました。ここ、魔物もたくさん出るので、気をつけてくださいね。では、ルート」
「待て…よ…」
………………………………
2時間後…
「あぁぁぁぁ!この世界のルール聞いとけば良かったぁ、おいおい、ステータスとかないのかよ」
ステータス☆とか叫んだら、そういう画面出るかな、出るよね、出そうだな、試そう
「よぅし、ステータス☆」
ふいに、ピコンッという音が頭の中に響いた。そして、
『ふわぁ…おはようございます。ステータスの初回呼び出し、ありがとうございます』
…………
「は!?」
なにこれ?とりあえず、おはようって言えば良いのか?それとも、よろしくとか
「……」
うぁ、だめだ、何言えばいいんだ…とりあえず
「あんた、だれだ?」
『私はあなたに能力を伝えるための道具です。ステータスと呼べば、あなたの頭の中で返事をします。さっきのように』
「分かった…あんたは、実体になれないのか?」
『なれますが、実体というよりホログラムと言った方が正解ですね』
「なるほどな、なら今の能力値を教えてくれないか」
『分かりました』
ヴヴゥッという音が響き、自分の目の前に、ホログラムが現れた。
「うーん、どれどれ」
男 18歳 Lv.1
天職 職業
体力:10
筋力:10
耐性:10
敏捷:10
魔P:5
魔耐:0
技能:ステータス展開 言語理解
スペル:なし
ユニークスペル:なし
スラッシュの魔道書
『では、順に説明していきますね。体力はヒットポイント、つまりあなたの体の限界点。0になれば、疲れて動けなくなるでしょう。筋力は、あなたの物理での力です。耐性、敵の攻撃を防ぐ力。別の言い方をすれば防御力ですね。敏捷はあなたの足の早さや、瞬発力です。魔Pはマジックポイントです。魔法を使うためのゲージですね。0になると、やはり疲れます。次は魔耐。魔法に対する防御力です。やはり、異世界人は普段から魔力には慣れていないため低いですね。ここまでで、何かわからないことはありましたか?』
「ありません。続けてくれ」
『はい。では、技能ですね。技能はパッシブスキルです。任意で止めることができるものもありますが、基本、ずっと発動します。スペルです。スペルは、詠唱とも言い、一般的な魔法です。次に、ユニークスペルです。固有詠唱とも呼びます。これは、作ったり自分で呼び出したりしないと発動出来ません。以上です。何か聞きたいことは?』
「そうだな……。そうだ!固有詠唱は他人のものも使えるのか?」
『えぇ、使えますよ。これは、発現でも目覚めますので、他人と被ることもよくあります』
「ありがとう。だけど、あれだな、ステータス値が低いな」
『これは、現実世界での影響も出てくるんです』
「うぐ!?あっはは…」
『ステータス値は酷いですが…魔導書持ってますね。魔法は覚えないのですか?』
「やりかたがよく分からん」
『魔導書を開き、ただ魔法の名前を読めば良いのですよ。ですが、マスターの魔力が少ないので使えるかどうかは…別ですが…』
「えぇと、スラッシュ」
ピコォン
『やりました、スラッシュが使えるようになりました、見てください』
男 18歳 Lv.1
天職 職業
体力:10
筋力:10
耐性:10
敏捷:10
魔P:5
魔耐:5
技能:ステータス展開 言語理解
スペル:スラッシュ
ユニークスペル:なし
「やった、初めての魔法だ」
『やりましたね』
「だけど、これどういう魔法なんだ?」
『これはですね、風属性の初期魔法ですね。敵に風の刃を飛ばし、敵を切り裂くことができます。発動方法は、敵に切りつけるように、手首を斜めに振り下ろせば、発動出来ます』
「よし、早速使ってみるか」
『あ、待ってくださ…』
手首を斜めに振り下ろしながら、
「スラッシュ!」
と叫んでみた。
手首が描いたその軌道は、薄い緑色にひかり、そこから同じ色の刃が、自分の放った方向に飛んでいった
「おぉ、これは凄い…な…」
だけど…体がふらつく…なんでだ
『理由を教えましょうか。マスターの魔力はまだ、魔法を使うのには足りなく、それにマスターはまだ魔力の波動に慣れていないんですよね、それが原因です』
自分も魔力の波動の影響を受けるのか…
「まじか…」
自分はふらつく体を抑えきれずにそのまま地面に倒れた…
ドサッ
『あ、マスター!マスター……』
あぁ…だんだん、その声も薄れていく…。
『……ー!』
焦ったような声を聞きながら、俺は意識を失った…
ステータスってしゃべるんですね〜
いつか、絵にしてみたいです
テーゼの裏切りは水紫の心に響いたでしょうね