隣の世界とスキルとレベルの話
シーリアの放った言葉を秋斗は直ぐに飲み込んだ。
つまりはー
彼女は別世界の人間でー
その世界には先刻の『ミノタウロス』の様な化け物が居て、それがどういうわけかこちらの世界に来てしまったと言うわけだ。
「そう、なんだ。隣の世界。鏡の中とか?」
「んー、近いかな。光を反射する物なら何でもいいんだけどね。まぁ、鏡に魔力を込めると此方の世界の入り口になるの。逆に此方から彼方に戻りたいなら光が当たらない所で魔力を軽く流せばいいの。」
「へぇ。あの『ミノタウロス』は魔力を扱う知恵が有ったんだ。」
「いいえ。魔力はあるでしょうけど『ミノタウロス』に大した知性はないわ。せいぜい其処らに落ちてる手頃な木を武器に振り回す程度。」
「じゃあ、あいつはどうやって此方に?」
「・・・わからないわ。私は向こうであいつと戦ってたんだけどね。急に近くにあった泉が歪んで『ミノタウロス・デミ』を吸い込んでしまったの。慌てて追いかけてみたわいいけど結果はあの様。」
「へぇ。あれ?そういえばシーリアさんはどうやって僕の家を?」
「ん?貴方の電磁波を辿ったの。生物には微量でも流れてるものよ。」
「へぇ。」
「じゃあ、札魔術師について説明を続けるわね。
札魔術師、と言うより向こう側にはレベルの概念が存在しているの。因みに私は30ね。札魔術師はレベルが上がる毎にカードつまり使える魔術が増えるわ。中には強い思いでカードを生み出す人もいるけどね。」
「へぇ。僕のカードは今、何枚だろ?」
秋斗は無意識にカードホルダーに手を添えていた。『ミノタウロス』と戦っているときは気づかなかったがいつ、こんなものを付けたのか。
「カードホルダーは札魔術師として覚醒すれば手に入るものよ。割りと数は少ないけど。次にスキルね。これは実績をこなしたら人だけが手に入れられるものよ。
私なら
『紫電の使い手』
『斧使い』
『ビーストキラー』ね。
『紫電の使い手』は雷の属性のみを鍛えた者に与えられるスキルね。紫電の属性を得られるだけだけど。
『斧使い』はまんまね。斧を扱う精度が高くなるの。
『ビーストキラー』は獣系統のモンスターを大量に倒せば手に入るスキルね。獣系統のモンスターに与えられるダメージを上げてくれるの。」
「ふむふむ。」
「と言うわけで取り合えず大まかな事を教えたわ。
ここで本題。秋斗くん。私の世界に来ない?」
「ん?」