戦闘vsミノタウロスの話2
僕は目の前の化け物と対峙する。何故か僕は今、使っている未知の力の使い方が分かる。化け物は警戒の声を挙げながら僕を睨んでいる。『ミノタウロス』かな?
神話の本に丁度載っていた怪物の名前を思い出す。
「BU MOOOOO!!!」
怪物が突進してきた。僕は女の子の手を引いて左に跳んで避ける。怪物は僕たちのいた場所を通り抜けて木に激突した。そこそこ太い幹の木は一撃でへし折られていた。ぞっとする。あんなのを喰らったらひとたまりもない。
「あいつはただの『ミノタウロス』じゃないわ。『ミノタウロス・デミ』。『ミノタウロス』の亜種よ。」
「って言われてもなぁ。」
正直、亜種どうのこうの言われても普通のを見てないし。
「せめて、もう少し魔力が残っていれば!」
゛いや、奴は雷に耐性を持っているようだ。いくら当てても毛ほどのダメージも与えられないだろう。゛
「なるほど。」
2人(?)の話を聞いているとまた『ミノタウロス』らしい化け物が吼えた。先程、自分で折っていた、木を持って走ってくる。
「やれやれ、だね。」
僕は双剣を握りしめて駆け出した。『ミノタウロス』が木を振り回してきた。それをスライディングして避けて、中指辺りを切り裂く。けれど刃が通らない。恐ろしい堅さだ。
「ふむ。」
「BU MOOOOO! 」
『ミノタウロス』が殴りかかってくる。
僕は右手を前に出して呟く。
「カード31【竜人化・片腕ードラグライズ・アーム】」
右手に軽い痛みが走った。と同時に熱を感じる。真っ赤な鱗が生え、爪が伸び切り裂く為の武器に変異する。
今の僕の右腕は西洋の竜の腕。僕の魔法はきっと竜の力も再現してくれる。
「BU MO?!
「・・・。」
予想通り僕は片腕だけで『ミノタウロス』の攻撃を防いだ。
「ふっ!」
腕に力を込めて『ミノタウロス』を持ち上げる。そしてー
一気に叩きつける!
地面に小さなクレーターが出来た。僕は一旦後ろに下がって両手を重ね突き出した。それはさながら口を開けた竜の頭。
「カード10」
両手の中心に力が貯まっていくのがわかる。
頭の中に詩が流れている。多分、この魔法を完成される為の言霊だ。
僕は無意識にそれを唱えていた。
「『我、求は滅竜の焔
世界を焼き、神を焼き、理を滅ぼす
破滅の吐息
刮目しろ そして散れ
【滅竜の焔ーメギドー】!」
漆黒の火球が飛んでいく。それは『ミノタウロス』の体に触れると膨張した。
無駄な破壊をせずにそれは『ミノタウロス』だけを呑み込み。消滅した。
「はぁ、はぁ。」
体から一気に力が抜けて息をするのも辛くなってきた。僕は誰かの叫び声を聞きながら気を失った。