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夢の様な話
揺れるー
世界が揺れるー
1人の男は燃える街を見下ろしている。
それは悲しげな顔で何かを呟いていた。
でも『僕』にはその声は聞こえない。彼が何を悲しんでいるのか分からない。でも1つだけ言えることはー
『僕』は燃える街の中で死にかけているー
もう痛みすら感じないー
この人はそんな『僕』を悲しそうに見ている。
『僕』の命はもう尽きかけているからかー
【俺のせいだ。すまない。】
ようやく彼の声が聞こえたー
【俺の命を君に。生きてくれ。そして、あの子達を救ってくれ。俺には出来ない。勝手な事を頼んでいるのは分かっている。瀕死の重傷を負わせた俺が。
だが】
悲痛な面持ちで話すこの人に『僕』は力を振り絞って答えた。
『いいよ。』
それはきっと声になっていない。
けれどこの人には伝わったみたいだー
紅の光に包まれて『僕』はー