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Skill Make Online  作者: 金平琥珀
2/10

二話、遭遇。

 ───【咎人】でよろしいですか。


 その問いに何のためらいもなく、奏音は頷いた。


 ───それではよい旅を。既存技能ノーマルスキルが三つプレゼントされます。


 一瞬眩い光に包まれると景色が一変した。一変したのは景色だけではなく、五感全てと言った方がいいかもしれない。


 風が頬を撫でる感触や、草木の匂い。そして足元の土の感触はまさに本物だった。


「凄い」


 そしてもう一つ。

 

 今自分が発した声がいつもよりも高いことに気付く。まるで女性のような声だとしっかりとした成人女性ではなく、まだあどけなさが残る子供の声のように聞こえた。


 近くを見渡しても鏡のようなものはなく、自分の容姿を確認することが出来なったが、それでもいつもより目線が低いことに少しばかりの疑問を感じていた。水辺にでも行けば自分の容姿は確認できるだろうが、生憎とそんなものは近くには無かった。


 今いる場所よりも少し離れた場所に城門のようなものが確認できることから冒険を始めるための街なのではと推測する。


 あらかじめ渡されていたフレンドコードを入力し、将宗に連絡を取る。


『将宗はいまどこにいる?』

 

『どこって始まりの街だよ、そこのギルド会館にいるぜ。ゲームスタートすると必ずギルド会館の前に出るんだよ、お前こそどこにいるんだ?』


『わかんないけど、見回す限りだと外だね。街の外』


『なんでそんなことになってんだよ。ギルド会館で初心者用の装備を貰わないと丸腰だぞ、……死に戻りってそんなことしてもダメか?……分かったちょっと待ってろ迎えに行く』


 将宗は絶対にそこを動くなよと念を押した。


「動くなと言われても、いきなり暇になったな」


 やはり少女のような声に違和感を感じながらもやることがないため自分の<ステータス>でも見ることにした。


<ステータス>


 名前 カノン

 種族 咎人

 レベル 1


 HP80/80

 MP40/40


 攻撃力5

 防御力1

 魔法攻撃力2

 魔法防御力1

 回避力7

 速度7

 技術力4

 幸運1


 所持金0ガルム

 貯金0ガルム


 固有技能ユニークスキル

 【ギルティブレイドⅠ】レベル1


 独自技能オリジナルスキル

 なし


 既存技能ノーマルスキル

 【投擲】レベル1 【採取】レベル1


 職業技能ジョブスキル

 【薬師】レベル1


<装備>


 武器 なし

 武器 なし

 盾  なし

 頭  なし

 胴体 薄汚れた衣服

 腰  なし

 脚  壊れかけのサンダル

 羽織 なし

 装飾 なし

    なし  

    なし

    なし


「攻撃系の【スキル】が発現してないな、でも職業技能ジョブスキルか」


 職業技能ジョブスキルの項目に目を通すと自身のレベルが上がることで既存技能ノーマルスキルに【調合】【調薬】【合成】が追加されるみたいだ。


 それにしても攻撃系のスキルがないのではどうやって戦えばいんだろうか。そもそもレベル上げに支障を来すのはでと。


「ま、それなら何か考えればいいし」


 カノンはどこまでも続く空を見ながら、一瞬視界の端で影のようなものを捉えた。


「ぇっ」


 声にも悲鳴を上げながら、無様にも転がった。


「ギシャ」


 影の正体はゴブリンと呼ばれるモンスターだった。錆びれた剣を持ったそれは転がったカノンめがけて振り落とす。


 カノンは呼吸を整えながら冷静に斬線を見極める。紙一重で躱すと起き上がりながら、姿勢を低くする。


「いきなりなんだよ」


 カノンは拳を強く握りながら、ゴブリンから一定の距離を保つ。逃げ出そうにも後ろを向いた瞬間に殺されかねない。


 さてどうしたものか。


 カノンは足元にあった石を拾いながら、投擲の構えを取る。多少野球のやったことのあるカノンは投げることに関して自信があった。


「それっ!」

 

 綺麗な投球フォームから投げられたそれはゴブリンの頭上を通り過ぎていく。


「やばっ」


 【スキル】を使用した動作である以上は必ず何らかの隙が生まれる。投げた後の一秒程度の硬直だったのに関わらず、ゴブリンとの間合いは斬撃が届く位置にまで迫っていた。


「させるかよ!」


 カノンが攻撃を覚悟して目を閉じる。


 だが、いつまでたっても攻撃がカノンに当たることはなかった。カノンが不審に思い目を開けるとそこには鉄製の剣でゴブリンの攻撃を受け止めている巨漢がいた。ビーストの中でもワイルドタイガーと呼ばれる種類のそれは二足歩行の虎そのものだ。


「大丈夫か?」


 ゴブリンを薙ぎ払ったそれは尋ねた。


「うん、大丈夫」


「それにしてもなんつー容姿してんだ、お前は。キャラメイクでもそこまで精密な設定は出来ないだろ」


 改め容姿のことを言われるとやはり違和感が生まれる。


 自分の容姿がいまどうなっているのかとても気になったが今はそれどころではない。


「ところで、誰?」


「将宗だよ、ここではグレイだ」


「ん、了解」


 ゴブリンが光の粒子になって消えるとそこには爪のようなものが落ちていた。どうやら将宗もといグレイはゴブリンの討伐に成功したようだ。


「これは?」


「ドロップアイテムだな。ゴブリンの爪……確かダガー系の武器の強化に使えたはずだ。それにしても」


 グレイは何やら含みのある笑みを浮かべる。


「お前、完全に女になったんだな。というよりも女の子だな」


 カノンは水溜りに映った自分の姿を見て絶句した。

<ステータス>


 名前 カノン

 種族 咎人

 レベル 1


 HP80/80

 MP40/40


 攻撃力5

 防御力1

 魔法攻撃力2

 魔法防御力1

 回避力7

 速度7

 技術力4

 幸運1


 所持金0ガルム

 貯金0ガルム


 固有技能ユニークスキル

 【ギルティブレイドⅠ】レベル1


 独自技能オリジナルスキル

 なし


 既存技能ノーマルスキル

 【投擲】レベル1 【採取】レベル1


 職業技能ジョブスキル

 【薬師】レベル1


<装備>


 武器 なし

 武器 なし

 盾  なし

 頭  なし

 胴体 薄汚れた衣服

 腰  なし

 脚  壊れかけのサンダル

 羽織 なし

 装飾 なし

    なし  

    なし

    なし

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