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2 いただき卍という謎の儀式

とりあえず、私はシャナを屋敷に招き入れることにした。


「シャナ、風呂はいるノ?」

「風呂…。メイク、久ぶりに落とすか~」


リコとリンは初めての客人に大興奮。手際よく準備を始める。

「リン、お風呂いれるノ!」

「リコ、ベッド用意するヨ!」



「私は食事でも作ろう…」


…人間でも魔族でもないギャル種族が食べられるものって何なのだろう。

とりあえず人間が食べられるようなものならどの魔物でも毒にはならないはずだ。

無難にスープあたりでよいだろうか。

人間でも食べられそうなものをコトコトじっくり煮込む。


「マジュさま!見てなノ!」


そういって連れてきたのは、可愛いく可憐な少女…いや、むしろ神々しい。

メイクとやらを落としたその姿は、まるで絵画から抜け出したような美しさだ。

ギャルという新種族というより、むしろ噂に聞く聖女と言われた方がしっくりくる。


「マジュ?顔が赤いけど、どした?」


シャナが鈴の音のような明るい声をあげ、私をのぞきこむ。

目と目があうとシャナがにかっとイタズラっぽく微笑む。


「あっ!スープ?!これ食べていいやつ?」

「あ、あぁ。シャナのために作ったんだが…食べれそうか?」

「うん!誰かに作ってもらうとか久々~!」

「久々?」

「うちは親いないようなもんだったからね~」


年齢的にまだ幼そうだが、ギャルという種族は独り立ちが早いのだろうか。


「いただき卍~!」


そういってシャナは手と手をあわせてから食べ始める。

なんだその仕草は・・・ギャル種族の儀式的なものだろうか?


ステュクスの森は魔界と人間界の境界に広がる特殊領域だ。

魔界を追放された者たちの不毛の地で、群生する花や根から瘴気が出る。

人間には毒だと言われる場所だが聖女だけはその影響もないらしい。

だが、ギャル種族にとってはどうなのだろうか?


「ここにいて大丈夫なのか・・・?」


思わずでた疑問の声にリコとリンがつづく。


「ダイジョーブだヨ!」

「シャナもここにいるノ!」


「ん~、いていいなら助かるかな!」


そう言って笑うシャナと、無邪気なリコとリン。

追い出せば話は終わるのに……なぜかそうしたくない自分がいる。


(…もし、私なんかと一緒に暮らしたら、シャナも嫌われるんじゃ…?)

いや、でも。シャナはギャル種族だし…魔族にどう思われるとか怯える必要はない…のか?

だけどやっぱり、私は追放者。嫌われて当然の存在。やはりシャナのためには他にいったほうが・・・。


…その瞬間、シャナが寂しげに笑う。


「イヤならダイジョーブ。居場所がないのは別に慣れてるし。」

「い、イヤなんかじゃない!シャナが大丈夫なら一緒に住んでもいい。」

「まじ?!あーしは全然平気だし!本当にいいの?」

「・・・あぁ。ただし、困ったことがあったら必ず言ってほしい」

「うん!ありがとー!!マジュ最高!めっちゃラブ!」


そういって気安く私に抱き着いてくるシャナ。

なぜかざわつく胸。未知のギャル種族の行動に戸惑っているのだろうか。

それとも自分が嫌われものということを隠して一緒にいようとしている罪悪感からだろうか。


(…嫌われ者の私でも、こうして一緒に笑ってくれるんだ…)


不思議な感情の理由はわからない。

ただ一つわかるのは――このギャルという存在が、私の世界を少し明るくしてくれることだ。

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